地震保険は、地震により住宅が損壊した場合の生活立て直しにおいて大きな助けとなります。
一方で、住宅が倒壊するほどの大規模な地震は数年に1回程度であるため、地震保険への加入を迷っている人も少なくありません。
この記事では、地震保険の概要やその他の地震を保障する金融商品、地震保険の加入が必要な世帯などについて詳しく解説しています。
地震保険の加入を迷っている人は、検討する際の参考にしてください。
この記事でわかること
- 地震保険には政府が関与している
- 地震保険は被害が大きくなるほど再保険により政府が多くの保険金を支払う仕組み
- 地震保険の目的は被災者の生活の安定化である
- 地震保険の商品内容は統一されている
- 地震保険の保険料は構造や所在地で決定する
- 地震保険で支払われる金額は損壊の程度によって異なる
- 地震により被災した場合、公的支援が受けられる
- 火災共済に地震保険は付加できない
- 少額短期保険と地震保険は重複して加入できる
- 地震保険は全ての人にとって有効であるが経済的に困窮する世帯は特に加入が必要
まずは地震保険の概要について、詳しくみていきます。
地震保険は大規模な被害が起こりえるため政府が関与している

地震保険は、地震が発生する時期や規模が明確に予測できないため保険商品として成立しないとされていました。
しかし、1964年6月の新潟地震での被害を教訓として地震保険に関する法律が定められました。
このような経緯で取り扱いが始まった地震保険の運営には、大規模な被害が起きても被災者の生活を守るため、政府が関与しています。
地震保険に関する法律
第1条 この法律は、保険会社等が負う地震保険責任を政府が再保険することにより、地震保険の普及を図り、もつて地震等による被災者の生活の安定に寄与することを目的とする。
上記のとおり地震保険に関する法律では、保険会社だけでは保険金支払いに対応できないほど大地震により多くの建物が損壊した場合、政府もその一部を負担すると定めています。
地震保険は再保険により12兆円までの保険金が支払い可能である

地震保険では、大地震などで多数の住宅が損壊した場合でも、迅速かつ公平に保険金が受け取れるよう再保険を活用しています。
再保険とは、保険会社が他の保険会社や政府などを相手に再度保険をかけることです。
再保険は、保険会社にとって高額の保険金支払いが発生した場合でも経営や資金繰りが悪化するリスクの回避が見込めるため、さまざまな保険で活用されています。
地震保険では、各保険会社が地震が起きたときすみやかに保険金が支払えるよう、日本地震再保険株式会社を相手に再保険をかけています。
日本地震再保険株式会社は、全ての地震保険の管理や運営を行っており、地震保険に関する法律に則って損害保険会社20社の出資により設立された再保険専門の会社です。
さらに日本地震再保険株式会社は政府を相手とした再保険をかけており、建物が多く倒壊するほどの大地震などでの多額の保険金支払いが発生した場合、最終的に政府が支払いを負担する仕組みとなっています。
このような最終的には政府を相手とした再保険の活用によって、1回の地震などで支払われる全ての保険金を合計した金額の上限は、現在12兆円です。
なお、発生から72時間以内は何度振動が起きても1回とカウントされますが、被災地域が全く異なる場合はそれぞれを1回として扱うと地震保険に関する法律では定めています。
地震保険に関する法律
第3条4項 72時間以内に生じた2以上の地震等は、一括して1回の地震等とみなす。ただし、被災地域が全く重複しない場合は、この限りでない。
保険金総額の上限は地震保険がスタートした1966年は3,000億円でしたが、大地震を契機に引き上げられ、現在関東大震災が起きても地震保険の保険金支払いに支障がないよう2021年4月に12兆円まで引き上げられました。
なお、平成23年東北地方太平洋沖地震で支払われた地震保険の保険金額は、過去最高の1兆2,894億400万円でした。
したがって、平成23年東北地方太平洋沖地震を超える大規模地震が起きても、保険金支払いが滞るリスクはかなり低いと推測できます。
さらに、保険金支払いにおける保険会社と政府の負担割合は、支払われる保険金額の総額によって以下のように異なります。
地震保険で支払われる保険金総額 | 保険会社負担分 | 政府負担分 |
---|---|---|
1,827億円まで | 100%負担 | 負担なし |
1,827億円から3,807億円まで | 50%負担 最大990億円 | 50%負担 最大990億円 |
3,807億円から12兆円まで | 0.5%負担 最大597億円 | 99.5%負担 最大11兆5,596億円 |
例えば、大地震により支払う地震保険の合計額が1兆5,000億円であった場合、保険会社と政府の負担額は以下のとおりです。
地震保険で支払われる保険金総額 | 保険会社の負担額 | 政府の負担額 |
---|---|---|
1,827億円まで | 1,827億円 | 0円 |
1,827億円から3,807億円まで | 990億円 | 990億円 |
3,807億円から1兆5,000億円まで円まで | 55億9,650万円 (1兆5,000億円-3,807億円) ×0.5%=55億9,650万円 | 1兆1,137億350万円 (1兆5,000億円-3,807億円) ×99.5%=1兆1,137億350万円 |
それぞれの負担額合計 | 2,872億9,650万円 | 1兆2,127億350万円 |
上記のとおり地震保険の保険金支払いが高額になるほど、政府の負担割合が大きくなる仕組みとなっているため、大地震の際にも速やかに保険金が支払われる可能性が高い保険といえるでしょう。
地震保険とは地震などによる住宅や家財の損壊を補償する保険のこと

地震保険とは地震や噴火、津波による住宅や家財の損壊などを補償し、加入を自身で決められる保険のことです。
地震保険と火災保険では、補償の対象が以下のとおり異なります。
補償の対象 | 火災保険 | 地震保険 |
---|---|---|
火災、破裂、爆発、落雷 | 〇 | × |
風災、雹災、雪災 | 〇 | × |
水災 | 〇 | × |
水濡れ | 〇 | × |
物体の落下、飛来、衝突 | 〇 | × |
盗難 | 〇 | × |
破損、汚損 | 〇 | × |
地震 | × | 〇 |
噴火 | × | 〇 |
上記のとおり火災保険では地震や噴火による住宅や家財は補償されないため、地震保険は地震に不安を感じる人にとって、加入すべき保険といえます。
地震保険の保険料には、保険会社の利益は含まれていません。
そのため、保険会社では事務コストや人件費を抑えられるよう火災保険とセットでのみ取り扱っています。
なお、現在火災保険のみ加入している人も、契約の中途での地震保険の加入が可能です。
基本的に地震保険の加入制限はありませんが、地震保険に関する法律では大規模地震対策特別措置法に基づく地震防災対策強化地域に指定された地域にある住宅は、新たな地震保険へ加入できないと定めています。
地震保険に関する法律
第4条の2 大規模地震対策特別措置法(昭和53年法律第73号)第9条第1項の規定に基づく地震災害に関する警戒宣言(以下のこの条において「警戒宣言」という。)が発せられたときは、同法第3条第1項の規定により地震防災対策強化地域として指定された地域のうち当該警戒宣言に係る地域内に所在する保険の目的については、保険会社等は、当該警戒宣言が発せられた時から同法第9条第3項の規定に基づく地震災害に関する警戒解除宣言が発せられた日(当該警戒宣言に係る大規模な地震が発生するに至った場合にあっては、財務大臣が地震保険審査会の議を経て告示により指定する日)までの間、政府の再保険契約に係る地震保険契約(政令で定めるものを除く。)を新たに締結することができない。
大規模地震対策特別措置法とは、地震が想定される地域において国や地方自治体、民間事業者が災害の防止や軽減を目的とした地震防災応急計画の策定などを定めた法律のことです。
2012年4月1日時点では、大規模地震対策特別措置法における地震防災対策強化地域として、東海地震が起きた場合に被害を受けると想定される1都7県の157市町村が指定されています。
都及び県名 | 地震防災対策強化地域として指定されている市町村 |
---|---|
東京都 | 新島村、神津島村、三宅島 |
神奈川県 | 平塚市、小田原市、茅ヶ崎市、秦野市、厚木市、伊勢原市、海老名市、南足柄市、高座郡寒川町、中郡大磯町、中郡二宮町、足柄上郡中井町、足柄上郡大井町、足柄上郡松田町、足柄上郡山北町、足柄上郡開成町、足柄下郡箱根町、足柄下郡湯河原町、足柄下郡真鶴町 |
山梨県 | 甲府市、富士吉田市、都留市、山梨市、大月市、韮崎市、南アルプス市、北杜市、甲斐市、笛吹市、上野原市、甲州市、中央市、西八代郡市川三郷町、南巨摩郡早川町、南巨摩郡身延町、南巨摩郡南部町、南巨摩郡富士川町、中巨摩郡昭和町、南都留郡道志村、南都留郡西桂町、南都留郡忍野村、南都留郡山中湖村、南都留郡鳴沢村、南都留郡富士河口湖村 |
長野県 | 岡谷市、飯田市、諏訪市、伊那市、駒ヶ根市、茅野市、諏訪郡下諏訪町、諏訪郡富士見町、諏訪郡原村、上伊那郡辰野町、上伊那郡箕輪町、上伊那郡南箕輪村、上伊那郡飯島町、上伊那郡中川村、上伊那郡宮田村 |
岐阜県 | 中津川市 |
静岡県 | 全域 |
愛知県 | 名古屋市、豊橋市、岡崎市、半田市、津島市、碧南市、刈谷市、豊田市、安城市、西尾市、蒲郡市、常滑市、新城市、東海市、大府市、知多市、知立市、高浜市、豊明市、日進市、田原市、愛西市、弥富市、みよし市、あま市、長久手市、愛知郡東郷町、海部郡大治町、海部郡蟹江町、海部郡飛島村、知多郡阿久比町、知多郡武豊町、知多郡東浦町、知多郡美浜町、知多郡南知多町、額田郡幸田町、北設楽郡設楽町、北設楽郡東栄町 |
三重県 | 伊勢市、桑名市、尾鷲市、鳥羽市、熊野市、志摩市、桑名郡木曽岬町、度会郡大紀町、度会郡南伊勢町、北牟婁郡紀北町 |
上記の地域では、契約中の火災保険への中途付加を含めて新たな地震保険への申し込みは受け付けてもらえませんが、すでに加入している場合は以下のとおり契約内容に変更がない場合に限り更新可能です。
- 物件と被保険者に変更がない
- 保険金が更新前の金額以下
地震保険に関する法律施行令
第5条 法第4条の2第1項に規定する政令で定める地震保険契約は、同項に規定する警戒宣言が発せられた時までに締結されていた地震保険契約の期間満了に伴い引き続いて締結される地震保険契約であって、次に掲げる要件を備えるものとする。
1 被保険者及び保険の目的が直前に締結されていた地震保険契約と同一であること。
2 保険金額が直前に締結されていた地震保険契約の保険金額を超えないこと。
引用元:地震保険に関する法律施行令 | e-Gov 法令検索
一方で災害が発生した際の行動指針や基本的役割を示している災害対策基本法では、東海地震を始めとした南海トラフ地震や首都直下地震などを想定し、37の都道府県が地震防災対策強化地域として指定されています。
この災害対策基本法によって地震防災対策強化地域に指定されている37の都道府県の中で、大規模地震対策特別措置法による地震防災対策強化地域に該当していない所は、地震保険の新規加入に制限はないため誰でも申し込み可能です。
地震保険の金額は火災保険の金額をベースに決定される

地震保険は以下の損害保険会社で取り扱っているため、火災保険に付加する方法により加入できます。
- あいおいニッセイ同和損害保険会社
- アクサ損害保険株式会社
- アメリカンホーム医療・損害保険株式会社
- アリアンツ火災保険海上保険株式会社
- AIG損害保険株式会社
- SBI損害保険株式会社
- キャピタル損害保険株式会社
- 共栄火災海上保険株式会社
- 現代海上火災保険株式会社
- ジェイアイ傷害火災保険株式会社
- スイス・リー・インターナショナル・エスイー
- スター・インデムニティ・アンド・ライアビリティ・カンパニー
- セコム損害保険株式会社
- SOMPOダイレクト損害保険株式会社
- ソニー損害保険株式会社
- 損害保険契約者保護機構
- 損害保険ジャパン株式会社
- 大同火災海上保険株式会社
- Chubb損害保険株式会社
- チューリッヒ保険会社
- 東京海上日動火災保険株式会社
- 日新火災海上保険株式会社
- ザ・ニュー・インディア・アシュアランス・カンパニー・リミテッド
- 三井住友海上火災保険株式会社
- 明治安田損害保険株式会社
- 楽天損害保険株式会社
- レスキュー損害保険株式会社
地震保険では住宅及び家財を補償の対象としており、住宅及び家財のそれぞれのみ補償の対象とする契約も可能です。
例えば地震により以下の事態となった場合、地震保険金が支払われる可能性があります。
- 地震により建物が倒壊した
- 地震によりテレビが倒れて壊れた
- 地震によりストーブが倒れて火災が起きた
- 地震による隣家の火事が原因で自宅が焼失した
- 地震により液状化現象が起きたため建物が傾いた
- 地震による津波で建物が流失した
上記のように地震により住宅や家財が損壊もしくは焼失などした場合は地震保険の対象ですが、金額は被害の程度によって異なるため、軽微な損壊では支払われる保険金額が0円となるケースもあります。
一方で、店舗や事務所など住宅として利用できない建物や、以下のような高価な家財や換金性が高い家財は地震保険の対象外となっています。
- 小切手や株券、商品券などの有価証券
- 預貯金証書
- 自動車
- 印紙、切手
- 1個または1組の価値が30万円を超える貴金属や宝石、骨董品
なお店舗や事務所が住宅と同じ建物内にある併用住宅は補償されますが、営業や事業に使用する什器や備品、商品は家財として扱われないため地震保険で補償されません。
地震保険で契約できる保険金額の上限は、以下のとおり火災保険の保険金額をベースに決まっており、住宅と家財では異なります。
補償の対象 | 保険金額の上限 |
---|---|
住宅 | 火災保険の保険金額の30~50%かつ5,000万円まで |
家財 | 火災保険の保険金額の30~50%かつ1,000万円まで |
上記のとおり地震保険は火災保険よりも保険金が少額となるため、地震により損壊した住宅の修繕費用や建替費用は賄えない可能性は高いですが、生活立て直しには大きな助けとなります。
地震保険の保険料は保険会社による違いはなく、構造や所在地などで決まる

地震保険は、地震による被害が甚大であるほど政府が保険金を多く支払う公共性が高い保険であるため、補償される内容や保険料は全ての保険会社で同じです。
地震保険で支払う保険料は、火災保険や自動車保険の参考となる保険料も取り扱っている損害保険料算出機構で定められており、保険金1,000円あたりの年間保険料を表す基準料率を用いて求めます。
保険料=基準料率×保険金額÷1,000
この保険料算出において最大の要因である基準料率を求める算式は、以下のとおりです。
基準料率=基本料率×(1-割引率)×長期係数
上記のとおり基準料率は、住宅の構造や所在地によって決まる基本料率と耐震性能により決まる割引制度の割引率、保険期間が2~5年である場合に適用される長期係数によって決まります。
住宅の構造

地震による倒壊や火災のリスクの高さは住宅によって異なるため、損害保険料算出機構では以下の2つの構造に分けており、その概要は以下のとおりです。
構造 | 概要 | 具体例 |
---|---|---|
イ構造 | 耐火性能や準耐火性能を持つ建物 | 鉄骨造り、コンクリート造り |
ロ構造 | イ構造に該当しないもの | 木造 |
耐火性能や準耐火性能とは、火災が発生した際に柱や壁など主要構造部の機能が一定時間以上維持できる性能のことであり、その基準などは建築基準法で定められています。
したがって耐火性能や準耐火性能がないロ構造は、イ構造よりも地震の際の火災リスクが高いため、基本料率はイ構造の1.49〜1.79倍で設定されています。
所在地

損害保険料率算出機構では地震発生リスクの高さを3段階に分けており、それぞれに該当する都道府県は、以下のとおりです。
等地名 | 該当する都道府県 |
---|---|
1等地 | 北海道、青森県、岩手県、秋田県、山形県、栃木県、群馬県、新潟県、富山県、石川県、福井県、長野県、岐阜県、滋賀県、京都府、兵庫県、奈良県、鳥取県、島根県、岡山県、広島県、山口県、福岡県、佐賀県、長崎県、熊本県、大分県、鹿児島県 |
2等地 | 宮城県、福島県、山梨県、愛知県、三重県、大阪府、和歌山県、香川県、愛媛県、宮崎県、沖縄県 |
3等地 | 茨城県、埼玉県、千葉県、東京都、神奈川県、静岡県、徳島県、高知県 |
3等地が多い関東を中心に、太平洋側の都県が地震発生リスクは高い傾向にあり、一番高い基本料率は一番低い基本料率の3.67〜3.77倍で設定されています。
損害保険料算出機構では、住宅の構造及び都道府県ごとに定められた以下の基本料率を用いて、基準料率を算出しています。
所在地 | イ構造 | ロ構造 |
---|---|---|
北海道 | 0.73 | 1.12 |
青森県 | 0.73 | 1.12 |
岩手県 | 0.73 | 1.12 |
宮城県 | 1.16 | 1.95 |
秋田県 | 0.73 | 1.12 |
山形県 | 0.73 | 1.12 |
福島県 | 1.16 | 1.95 |
茨城県 | 2.30 | 4.11 |
栃木県 | 0.73 | 1.12 |
群馬県 | 0.73 | 1.12 |
埼玉県 | 2.65 | 4.11 |
千葉県 | 2.75 | 4.11 |
東京都 | 2.75 | 4.11 |
神奈川県 | 2.75 | 4.11 |
新潟県 | 0.73 | 1.12 |
富山県 | 0.73 | 1.12 |
石川県 | 0.73 | 1.12 |
福井県 | 0.73 | 1.12 |
山梨県 | 1.16 | 1.95 |
長野県 | 0.73 | 1.12 |
岐阜県 | 0.73 | 1.12 |
静岡県 | 2.75 | 4.11 |
愛知県 | 1.16 | 1.95 |
三重県 | 1.16 | 1.95 |
滋賀県 | 0.73 | 1.12 |
京都府 | 0.73 | 1.12 |
大阪府 | 1.16 | 1.95 |
兵庫県 | 0.73 | 1.12 |
奈良県 | 0.73 | 1.12 |
和歌山県 | 1.16 | 1.95 |
鳥取県 | 0.73 | 1.12 |
島根県 | 0.73 | 1.12 |
岡山県 | 0.73 | 1.12 |
広島県 | 0.73 | 1.12 |
山口県 | 0.73 | 1.12 |
徳島県 | 2.30 | 4.11 |
香川県 | 1.16 | 1.95 |
愛媛県 | 1.16 | 1.95 |
高知県 | 2.30 | 4.11 |
福岡県 | 0.73 | 1.12 |
佐賀県 | 0.73 | 1.12 |
長崎県 | 0.73 | 1.12 |
大分県 | 0.73 | 1.12 |
熊本県 | 0.73 | 1.12 |
宮崎県 | 1.16 | 1.95 |
鹿児島県 | 0.73 | 1.12 |
沖縄県 | 1.16 | 1.95 |
上記の基本料率は、毎年の検証によって必要と判断される度に変更されていますが、2021年6月以降変更されていません。
例えば保険金額が1,000万円の地震保険に加入する場合、割引率や長期係数を考慮せずに以下の都府県及び住宅の構造による基本料率のみで算出した地震保険料は、以下のとおりです。
所在地 | イ構造 | ロ構造 |
---|---|---|
東京都 | 2.75×1,000万÷1,000=2万7,500円 | 4.11×1,000万÷1,000=4万1,100円 |
大阪府 | 1.16×1,000万÷1,000=1万1,600円 | 1.95×1,000万÷1,000=1万9,500円 |
福岡県 | 0.73×1,000万÷1,000=7,300円 | 1.12×1,000万÷1,000=1万1,200円 |
上記の例では一番高い保険料は東京都のロ構造であり、一番低い福岡県のイ構造の5.63倍となっています。
一方で、耐震性能など地震対策をしている住宅に適用される割引制度の要件や割引率、必要書類は以下のとおりです。
割引制度の名称 | 割引制度の要件 | 必要書類 | 割引率 |
---|---|---|---|
免震建築物割引 | 住宅性能表示制度の免震建築物に該当 | 住宅性能評価書 | 50% |
耐震等級割引 | 住宅性能表示制度の耐震等級1~3に該当(国土交通省の指針に基づく耐震等級も含む) | ・住宅性能評価書・耐震性能評価書 | ・耐震等級1:10%・耐震等級2:30%・耐震等級3:50% |
耐震診断割引 | 耐震診断、耐震改修により、現行耐震基準を満たしている | ・耐震診断または耐震改修の結果により減税措置の適用を受けるための証明書・国土交通省の定める基準への適合を証明した書類 | 10% |
建築年割引 | 1981年6月1日以後に建築 | ・建物登記簿・売買または賃貸の際に交付される重要事項説明書 | 10% |
上記の耐震等級とは地震に対する住宅の耐久力のことであり、その概要や基準は国土交通省による日本住宅性能表示基準に記載されています。
耐震等級 | 概要 |
---|---|
耐震等級1 | 極めて稀に(数百年に1度程度)発生する地震による力(建築基準法施行令第88条第3項に定めるもの)に対して倒壊、崩壊、損傷等しない程度 |
耐震等級2 | 極めて稀に(数百年に1度程度)発生する地震による力(建築基準法施行令第88条第3項に定めるもの)の1.25倍の力に対して倒壊、崩壊、損傷等しない程度 |
耐震等級3 | 極めて稀に(数百年に1度程度)発生する地震による力(建築基準法施行令第88条第3項に定めるもの)の1.5倍の力に対して倒壊、崩壊、損傷等しない程度 |
上記の数百年に1度程度発生する地震とは、東京で震度6強から7程度の揺れのことであり、以下の事態が想定されるレベルです。
震度 | 想定される事態 |
---|---|
6強 | ・はわないと動けない、飛ばされる場合もある ・固定していない家具の移動し、倒れるものが多くなる ・大きな地割れや大規模な地すべりが起きる可能性がある ・耐震性の低い木造建物は傾くものや倒れるものが多くなる |
7 | ・耐震性の低い木造建物は傾くものや倒れるものがさらに多くなる ・耐震性の高い木造建物でもまれに傾く場合がある ・耐震性の低い鉄筋コンクリート造建物では倒れるものが多くなる |
参照:震度について | 気象庁

地震保険の基準料率算出では、保険期間が2〜5年である場合に以下の長期係数を用いるため、1年で更新するよりも保険料を抑えられます。
保険期間 | 長期係数 |
---|---|
2年 | 1.9 |
3年 | 2.75 |
4年 | 3.6 |
5年 | 4.45 |
例えば、東京都で10%の割引率が適用されるロ構造の居住用建物に保険金額1,000万円の地震保険をかける場合、保険期間ごとの保険料は以下のとおりです。
保険期間 | 保険料 | 1年ごとに更新した場合の保険料 | 長期係数による差額 |
---|---|---|---|
1年 | 3万6,990円 4.11×(1-10%)×1,000万÷1,000=3万6,990 | 3万6,990円 | 0円 |
2年 | 7万281円 4.11×(1-10%)×1.9×1,000万÷1,000=7万281 | 7万3,980円 3万6,990×2=7万3,980円 | 3,699円 7万3,980-7万281=3,699 |
3年 | 10万1,722円 4.11×(1-10%)×2.75×1,000万÷1,00≒10万1,722 | 11万970円 3万6,990×3=11万970円 | 9,248円 11万970-10万1,722=9,248 |
4年 | 13万3,164円 4.11×(1-10%)×3.6×1,000万÷1,00=13万3,164 | 14万7,960円 3万6,990×4=14万7,960円 | 1万4,796円 14万7,960-13万3,164=1万4,796 |
5年 | 16万4,605円 4.11×(1-10%)×4.45×1,000万÷1,00≒16万4,605 | 18万4,950円 3万6,990×5=18万4,950円 | 2万345円 18万4,950-16万4,605=2万345 |
上記のとおり保険期間が長いほど長期係数による効果は大きくなるため、保険料を抑えるためにも積極的に5年での契約をしましょう。
地震保険の保険料は所得税や住民税の控除対象

地震保険で支払う保険料は火災保険と異なり、所得税や住民税において以下の金額が所得から控除されます。
地震保険の年間保険料 | 所得税における控除額 | 住民税における控除額 |
---|---|---|
5万円まで | 保険料全額 | 保険料の1/2 |
5万円超 | 5万円 | 2万5,000円 |
所得税の算出は、以下の手順で行います。
- 給与や事業、不動産など各収入からその収入を得るためにかかった費用を差し引き、各所得を算出します。
- 各所得を合算し、総所得金額を算出します。
- 社会保険や生命保険、地震保険などの所得控除を総所得金額から差し引き、課税対象所得を算出します。
- 算出した課税対象所得から所得税率を掛けて算出します。
- 住宅ローン等がある場合は、所得税額から対象となる税額控除を差し引き、最終的に納付する所得税額を算出します。
上記のとおり、所得税は所得控除を差し引いた金額に所得税率を掛けて算出するため、地震保険の保険料の金額が所得税から差し引けるわけではありません。
例えば給与収入が500万円、所得控除120万円の場合で、地震保険加入に伴う41,100円の保険料支払いの有無による所得税額の違いは以下のとおりです。
項目 | 地震保険未加入 | 地震保険加入 |
---|---|---|
給与収入 | 500万円 | 500万円 |
給与所得控除 | 144万円 500万円×20%+44万円=144万円 | 144万円 500万円×20%+44万円=144万円 |
給与所得 | 356万円 500万円-144万円=356万円 | 356万円 500万円-144万円=356万円 |
所得控除 | 120万円 | 124万1,100円 120万円+4万1,100円=124万1,100円 |
課税対象所得 | 236万円 356万円-120万円=236万円 | 231万8,900円 356万円-124万1,100円=231万8,900円 |
所得税額 | 13万8,500円 236万円×10%-9万7,500円=13万8,500円 | 13万4,980円 231万8,900円×10%-9万7,500円=13万4,980円 |
上記のとおり、このケースでは、所得税が地震保険の保険料の10%にあたる4,110円ほど抑えられます。
さらに、住民税でも所得税と同様に地震保険料は控除の対象で住民税の税率は一律10%であるため、所得税と合算して支払った保険料の15〜55%ほど税金を抑えられます。
地震保険で支払われる保険金額は損壊の程度により定められている

一般的に火災保険では火災など補償の対象となる事態が起きた場合、損壊の程度を調査したうえで個別に支払われる保険金額を決定するため、相当な時間が必要です。
地震保険でも損壊の程度は調査しますが、多くの住宅が倒壊する地震で個別に支払われる保険金額を決定していては時間がかかりすぎてしまうため、保険金が支払われる損壊の程度を4つに分けています。
地震による4つの損壊の程度と、それに連動して支払われる保険金額は、以下のとおりです。
損壊の程度 | 住宅 | 家財 | 支払われる保険金額 |
---|---|---|---|
全損 | ・主要構造部の損害の額が建物の時価額の50%以上 ・焼失、流失した部分の床面積が建物の延べ床面積の70%以上 | 家財の損害額が家財の時価額の80%以上 | 時価額を上限に地震保険金額の100% |
大半損 | ・主要構造部の損害の額が建物の時価額の40%以上50%未満 ・焼失、流失した部分の床面積が建物の延べ床面積の50%以上70%未満 | 家財の損害額が家財の時価額の60%以上80%未満 | 時価額の60%を上限に地震保険金額の60% |
小損壊 | ・主要構造部の損害の額が建物の時価額の20%以上40%未満 ・焼失、流失した部分の床面積が建物の延べ床面積の20%以上50%未満 | 家財の損害額が家財の時価額の30%以上60%未満 | 時価額の30%を上限に地震保険金額の30% |
一部損壊 | ・主要構造部の損害の額が建物の時価額の3%以上20%未満 ・いずれの損壊にも該当しない場合で床上浸水または地盤面から45cmを超える浸水 | 家財の損害額が家財の時価額の10%以上30%未満 | 時価額の5%を上限に地震保険金額の5% |
上記の主要構造部とは柱や壁など建築基準法で定められている構造耐力上主要な部分のことであり、個別の損傷割合から求めた住宅の損壊割合によって損壊の程度が判定されます。
損傷割合を算出する主要構造部は構造や工法によって異なっており、例えば在来軸組工法で立てた木造2階建ての住宅の場合、以下の4つの損害割合から住宅の損壊割合を求めます。
調査対象の主要構造部 | 物理的損傷割合の求め方 |
---|---|
軸組 | 全ての柱の本数に対する損傷した柱の本数の割合 |
基礎 | 外周布コンクリートの長さに対する損傷布コンクリートの長さの割合 |
屋根 | 全ての屋根の面積に対する屋根の葺き替え面積の割合 |
外壁 | 全ての外壁面積に対する損傷した外壁面積の割合 |
さらに各主要構造部の損傷割合が20%であった場合、木造2階建て住宅の損壊割合は、以下のとおり45%です。
調査対象の主要構造部 | 住宅の損壊割合 |
---|---|
軸組 | 31% |
基礎 | 7% |
屋根 | 2% |
外壁 | 5% |
合計 | 45% |
したがって、この例における損壊の程度は大半損と判定され、時価額の60%を上限に地震保険金額の60%が支払われます。
このような流れで損壊の程度は判定されるため、塀や給排水設備、窓ガラスなど主要構造部ではない部分のみの損壊では地震保険金は支払われません。

一方で家財の損壊の程度は、以下の家財の種類ごとに定められた損害割合を、損壊した家財の個数分の加算により決定します。
種類 | 代表的な品目 | 加算できる1品目あたりの損害割合 | 加算できる損害割合の最大値 |
---|---|---|---|
食器陶器類 | 食器、陶器、食料品、調理器具など | 1.0% | 5% |
電気器具類 | 冷蔵庫、電子レンジ、洗濯機、テレビ、パソコン | 2.5% | 20% |
家具類 | 食器棚、タンス、机、椅子、ベッド | 4.0% | 20% |
身の回り品 | カメラ、靴、かばん、レジャー用品 | 2.5% | 25% |
衣類寝具類 | 衣類、寝具 | 15% | 30% |
例えば、地震により以下の7点の家財が損壊した場合、家財における損壊の程度は一部損壊となります。
- テレビ
- タンス
- パソコン
- カメラ
- 机
- 椅子
- 電子レンジ
上記の損壊した家財から算出される種類ごとの損害割合は、以下のとおりです。
種類 | 地震により損壊した家財 | 損害割合 |
---|---|---|
電気器具類 | テレビ、パソコン、電子レンジ | 2.5%×3点=7.5% |
家具類 | タンス、机、椅子 | 4.0%×3点=12.0% |
身の回り品 | カメラ | 2.5%×1点=2.5% |
したがって、この場合の家財の損害割合は7.5%+12.0%+2.5%=20.0%となり、一部損壊に該当します。
なお、住宅や家財の損害が以下に該当する場合は、程度にかかわらず保険金の支払対象外です。
- 地震などの発生日の翌日から起算して10日経過後に生じた損害
- 地震等の際の紛失、盗難による損害
- 故意もしくは重大な過失または法令違反による損害
- 戦争、内乱などによる損害
万が一地震で住宅や家財が損壊した場合、その状況を撮影しておくと、調査から損壊の程度が決まるまでの時間短縮が見込めます。
地震による公的支援は少額であるため、それだけでは不十分である

地震に被災した場合、地震保険の加入有無に関わらず公的支援を受けられますが、少額である場合が多いため被災した際の生活立て直しには足りない可能性があります。
地震が起きた場合に受けられる公的支援策は、以下の4つに分けられます。
公的支援策 | 具体的な支援 |
---|---|
給付など | 被災者生活再建支援金、災害弔慰金、災害障害見舞金、雇用保険による休業・失業手当、雇用保険による未払賃金立替払 |
支払の減免、延長 | 国税、地方税、健康保険や介護保険などの保険料、国民年金保険料、病院での窓口負担分、放送受信料 |
現物支給 | 住宅応急修理、仮設住宅 |
融資 | 災害援護資金、災害復興住宅融資、生活福祉資金制度、厚生年金・労災年金担保貸付 |
上記の被災者生活再建支援金は、住宅の被害や再建に対して支払われるものであり、給付による公的支援策の中核となるものです。
被災者生活再建支援金は建物の被害や再建に対して最高300万円の支援金が支払われる

被災者生活再建支援金は被災者生活再建支援法に基づき、以下の地域に適用される支援制度であり、1995年1月に発生した阪神・淡路大震災をきっかけに制定されました。
- 災害救助法施行令の適用基準1号または2号に該当する市町村
- 災害により全壊が10世帯以上の市町村
- 災害により全壊が100世帯以上の都道府県
- 被災者生活再建支援法が適用となった市町村と同一都道府県で全壊が5世帯以上かつ人口が10万人未満の市町村
上記のとおり、災害救助法施行令に定められている災害の程度が、被災者生活再建支援金の適用基準にもなっています。
災害救助法施行令の適用基準1号は、市町村単位での人口に対して住宅が無くなった世帯数であり、詳細は以下のとおりです。
市町村の区域内の人口 住宅が無くなった世帯数 5,000人未満 30 5,000人以上1万5,000人未満 40 1万5,000人以上3万人未満 50 3万人以上5万人未満 60 5万人以上10万人未満 80 10万人以上30万人未満 100 30万人以上 150
住宅が無くなった世帯数の算定にあたっては、半壊2世帯や床下浸水3世帯を、それぞれ住宅が無くなった1世帯とみなされます。
一方で災害救助法施行令の2号が適用される地域は、以下に該当する都道府県で、かつ1号適用となる住宅がなくなった世帯数の2分の1以上が被害を受けた市町村です。
都道府県の区域内の人口 住家が滅失した世帯数 100万人未満 1,000 100万人以上200万人未満 1,500 200万人以上300万人未満 2,000 300万人以上 2,500
被災者生活再建支援金は、罹災証明書において被害状況に該当する世帯に対して支払われるため、一部損壊などの世帯は対象外となります。
被害状況 | 被災者生活再建支援金の対象となる世帯 |
---|---|
全壊 | 住宅が全壊した世帯 |
解体 | 住宅が半壊、又は住宅の敷地に被害が生じ、その住宅をやむを得ず解体した世帯 |
長期避難 | 災害による危険な状態が継続し、住宅に居住不能な状態が長期間継続している世帯 |
大規模半壊 | 住宅が半壊し、大規模な補修を行わなければ居住が困難な世帯 |
中規模半壊 | 住宅が半壊し、相当規模の補修を行わなければ居住が困難な世帯 |
上記の全壊などの被害状況の概要は、以下の災害に係る住家の被害認定運用基準指針で定められており、地震保険における損壊の程度とは異なります。

被害状況 | 概要 |
---|---|
住家全壊(全焼、全流失) | 住家がその居住のための基本的機能を喪失したもの、すなわち、住家全部が倒壊、流失、埋没、焼失したもの、または住家の損壊が甚だしく、補修により元通りに再使用することが困難なもので、具体的には、住家の損壊、焼失若しくは流失した部分の床面積がその住家の延床面積の70%以上に達した程度のもの、または住家の主要な構成要素の経済的被害を住家全体に占める損害割合で表し、その住家の損害割合が50%以上に達した程度のものとする。 |
住家半壊(半焼) | 住家がその居住のための基本的機能の一部を喪失したもの、すなわち、住家の損壊が甚だしいが、補修すれば元通りに再使用できる程度のもので、具体的には、損壊部分がその住家の延床面積の20%以上70%未満のもの、または住家の主要な構成要素の経済的被害を住家全体に占める損害割合で表し、その住家の損害割合が20%以上50%未満のものとする。 |
大規模半壊 | 居住する住家が半壊し、構造耐力上主要な部分の補修を含む大規模な補修を行わなければ当該住宅に居住することが困難なもの。具体的には、損壊部分がその住家の延床面積の50%以上70%未満のもの、または住家の主要な構成要素の経済的被害を住家全体に占める損害割合で表し、その住家の損害割合が40%以上50%未満のものとする。 |
中規模半壊 | 居住する住家が半壊し、居室の壁、床又は天井のいずれかの室内に面する部分の過半数の補修を含む相当規模の補修を行わなければ当該住宅に居住することが困難なもの。具体的には、損壊部分がその住家の延床面積の30%以上50%未満のもの、または住家の主要な構成要素の経済的被害を住家全体に占める損害割合で表し、その住家の損害割合が30%以上40%未満のものとする。 |
半壊 | 住家半壊(半焼)のうち、大規模半壊、中規模半壊を除くもの。具体的には、損壊部分がその住家の延床面積の20%以上30%未満のもの、または住家の主要な構成要素の経済的被害を住家全体に占める損害割合で表し、その住家の損害割合が20%以上30%未満のものとする。 |
準半壊 | 住家が半壊又は半焼に準ずる程度の損傷を受けたもので、具体的には、損壊部分がその住家の延床面積の10%以上20%未満のもの、または住家の主要な構成要素の経済的被害を住家全体に占める損害割合で表し、その住家の損害割合が10%以上20%未満のものとする。 |
世帯に対して支払われる被災者生活再建支援金の種類は、大規模半壊以上の被害が対象の基礎支援金と、中規模半壊以上の被害による住宅の建設や補修など再取得方法が対象の加算支援金の2つです。
基礎支援金で支払われる金額は、以下のとおり2人以上の世帯と単身世帯で異なります。
被害状況 | 2人以上世帯の支援金額 | 単身世帯の支援金額 |
---|---|---|
全壊、解体、長期避難 | 100万円 | 75万円 |
大規模半壊 | 50万円 | 37.5万円 |
上記のとおり被害状況が中規模半壊以下の場合、基礎支援金は支払われません。
一方で加算支援金は中規模半壊でも支払われますが、被害状況や世帯人数、再取得方法によって、以下のとおり金額が異なります。
再取得方法 | 全壊、解体、長期避難、大規模半壊に該当する2人以上世帯 | 中規模半壊に該当する2人以上世帯 | 全壊、解体、長期避難、大規模半壊に該当する単身世帯 | 中規模半壊に該当する単身世帯 |
---|---|---|---|---|
建設、購入 | 200万円 | 100万円 | 150万円 | 75万円 |
補修 | 100万円 | 50万円 | 75万円 | 37.5万円 |
公営住宅を除く賃貸 | 50万円 | 25万円 | 37.5万円 | 18.75万円 |
例えば、地震により住宅が全壊したため建設もしくは購入する2人以上の世帯に支払われる被災者生活再建支援金は、以下のとおり300万円となります。
基礎支援金100万円+加算支援金200万円=被災者生活再建支援金300万円
一方で、地震により住宅が中規模半壊したため賃貸物件に引っ越す単身世帯の場合は、以下のとおり18.75万円です。
基礎支援金0円+加算支援金18.75万円=被災者生活再建支援金18.75万円
このように被災者生活再建支援金では、被害状況や再建方法、世帯の人数によって支払われる金額が大きく異なります。
しかし、いずれの場合であっても生活を立て直すには、十分な金額とは言えないため、地震保険への加入が必要です。
災害弔慰金や災害障害見舞金は人に対して支払われる

給付型の公的支援である災害弔慰金や災害障害見舞金は、建物を対象とした被災者生活再建支援金と異なり、以下のとおり自然災害により死亡もしくは重度な障害となった被災者を対象としています。
名称 | 対象 | 支払われる金額 |
---|---|---|
災害弔慰金 | 自然災害により死亡した場合 | 生計維持者の場合500万円 生計維持者でない場合250万円 |
災害障害見舞金 | 自然災害により以下の重度な障害となった場合 ・両眼失明 ・常時要介護 ・両上肢肘関節以上切断 | 生計維持者の場合250万円 生計維持者でない場合125万円 |
災害弔慰金や災害障害見舞金が支払われる自然災害は以下のとおりであり、被災者生活再建支援金の要件と異なります。
- 市町村において住居が5世帯以上滅失した災害
- 都道府県内において住居が5世帯以上滅失した市町村が3以上ある災害
- 都道府県内において災害救助法が適用された市町村が1以上ある場合の災害
- 災害救助法が適用された市町村をその区域内に含む都道府県が2以上ある場合の災害
災害弔慰金や災害障害見舞金は、地震で被災した場合に受けられる公的支援の一つであるため、被災者生活再建支援金と合わせて覚えておきましょう。
火災保険に類似した金融商品はあるも金額は低くなる可能性が高い

地震保険以外でも、以下のような地震で建物が損壊した場合にお金が支払われる金融商品はあります。
- 火災共済
- 少額短期保険
火災共済は、火災保険と同じく火災が起きた際の建物や家財を保障しており、こくみん共済coopや都道府県民共済、JA共済などが取り扱っています。
共済は、組合員がお金を出し合って不測の事態に備える相互扶助を目的とした非営利組織が運営しており、保険との相違点は以下のとおりです。
項目 | 共済 | 保険 |
---|---|---|
運営母体 | 非営利組織 | 保険会社など一般法人 |
監督省庁 | 農林水産省や厚生労働省など組織によって異なる | 金融庁 |
根拠法 | 消費生活協同組合法や農業協同組合法など組織によって異なる | 保険業法 |
専門用語 | 掛け金、補償、共済金 | 保険料、保障、保険金 |
商品特徴 | シンプル | 複雑 |
上記のとおり共済と保険は異なる金融商品であるため火災共済に地震保険はセットできませんが、共済には地震で被災した場合見舞金が出るタイプや独自で地震を保障しているタイプがあります。
大手企業などの中には独自の火災共済を取り扱っているところもありますが、火災共済を取り扱っている代表的な共済は、以下の3つです。
- こくみん共済coop
- 都道府県民共済
- JA共済
一方で地震を補償する金融商品としては、少額の保険金額で1、2年の短期契約が大きな特徴である少額短期保険があります。
地震を補償対象としている少額短期保険の多くは、地震補償保険という名称で、以下の会社が取り扱っています。
- SBIいきき少額短期保険株式会社
- SBIリスタ少額短期保険株式会社
- 株式会社ヤマダ少額短期保険
少額短期保険はシンプルな補償内容で保険料も低く抑えられますが、保険金額も少額であるため、地震への備えをさらに強化する目的で地震保険に追加しましょう。
こくみん共済coopの地震等共済金は幅広く保障されているものの最高で2,000万円

こくみん共済coopは、以下の地域や職域の生協を会員とした協同組合であり、住宅の保障として住まいる共済を取り扱っています。
会員の概要 | 具体的な会員名の例 | 会員数 |
---|---|---|
都道府県の区域ごとに設立された地域の勤労者を主体とする共済生協 | 北海道労済、新潟県総合生協、東京労済、山梨労済生協など | 47 |
都道府県の区域を越えて設立された職域による労働者を主体とする共済生協 | 全国交通共済生協、電通共済生協、全たばこ生協、自治労共済など | 8 |
生協連合会 | 日本再共済連、日本生協連、コープ共済連 | 3 |
参照:こくみん共済 coop の組織 |こくみん共済 coop
住まいる共済は、火災などが起きた場合に補償する火災共済と風水害や地震が起きた場合に補償する自然災害共済から成り立っており、それぞれの補償の範囲は以下のとおりです。
補償の範囲 | 火災共済 | 自然災害共済 |
---|---|---|
火災 | 〇 | |
落雷 | 〇 | |
破裂、爆発 | 〇 | |
突発的な第三者の直接加害行為 | 損害額が5万円以上のもの | |
他人の住居からの水漏れ | 〇 | |
消火作業による冠水、破壊 | 〇 | |
他人の車両の飛び込み | 〇 | |
建物外部からの物体の落下、飛来 | 〇 | |
竜巻を含む突風、旋風 | 〇 | 〇 |
台風、暴風雨、豪雨、長雨 | 〇 | 〇 |
洪水、高波、高潮 | 〇 | 〇 |
降雪、雪崩、降ひょう | 〇 | 〇 |
地震による損壊 | 〇 | |
地震による火災 | 〇 | |
噴火による損壊、火災 | 〇 | |
津波による損壊 | 〇 |
上記のとおり、地震の補償を確保するためには自然災害共済の契約が必要ですが、住まいる共済では以下の契約を取り扱っています。
- 火災共済のみ
- 火災共済と自然災害共済のセット
上記のとおり自然災害共済のみの契約は取り扱っていないため、火災共済とセットでの契約が必要です。
火災共済の補償の対象は住宅及び家財であり、以下のパターンで契約できます。
- 住宅と家財
- 住宅のみ
- 家財のみ
さらに自然災害共済にはベーシックとエコノミーの2種類があり、エコノミーのほうが補償額は低いうえ、毎月の掛け金も少なくなっています。
住宅や家財の損壊の程度に応じて支払われる自然災害共済金は、災害によって名称や金額が異なっており、地震の場合は最大で火災共済金の30%です。
災害の内容 | 共済金の名称 | 共済金額 |
---|---|---|
台風や洪水、降雪などの風水害 | 風水害等共済金 | 火災共済の住宅と家財の共済金の合計額 |
地震や噴火、津波 | 地震等共済金 | ベーシック:火災共済の住宅と家財の共済金の合計額×30% エコノミー:火災共済の住宅と家財の共済金の合計額×20% |
上記のとおり地震共済金は、火災共済金の30%が上限であるため、地震保険と比べて補償される金額は低くなっています。
地震等共済金にも影響する火災共済における住宅の共済金は、住宅の構造と所在地によって定められている1坪あたりの加入基準額に、坪単位での延床面積を掛けて算出します。
1坪あたりの加入基準額は3段階に分けられており、木造の場合は以下のとおり60~80万円です。
所在地 | 1坪あたりの加入基準額 |
---|---|
東京都、神奈川県、京都府、大阪府 | 80万円 |
宮城県、福島県、茨城県、群馬県、埼玉県、千葉県、新潟県、長野県、山梨県、静岡県、富山県、石川県、福井県、愛知県、岐阜県、三重県、滋賀県、奈良県、和歌山県、兵庫県、島根県、鳥取県、岡山県、広島県、山口県、福岡県、沖縄県 | 70万円 |
その他の道県 | 60万円 |
木造以外の鉄骨造や耐火構造、マンション構造での所在地ごとに定められている1坪あたりの加入基準額は、以下のとおり木造よりも高額となっています。
所在地 | 1坪あたりの加入基準額 |
---|---|
東京都、神奈川県 | 90万円 |
埼玉県、千葉県、山梨県、静岡県、愛知県、岐阜県、三重県、滋賀県、奈良県、京都府、大阪府、和歌山県、兵庫県 | 80万円 |
その他の道県 | 70万円 |
例えば、千葉県にある30坪の鉄骨造における火災共済金は、以下の算式により2,400万円まで契約可能です。
80万円×30坪=2,400万円
なお契約できる住宅の火災共済金は4,000万円が限度である一方で、算出した金額よりも低い金額での契約もできるため、自身の希望に合わせられます。
家財の火災共済金は、世帯主の年齢と家族人数によって以下のとおり決まっており、最高額は2,000万円です。
家族の人数 | 30歳未満 | 30歳以上40歳未満 | 40歳以上 |
---|---|---|---|
1人 | 500万円 | 600万円 | 700万円 |
2人 | 900万円 | 1,300万円 | 1,800万円 |
3人 | 1,000万円 | 1,400万円 | 1,900万円 |
4人 | 1,100万円 | 1,500万円 | 2,000万円 |
5人以上 | 1,200万円 | 1,600万円 | 2,000万円 |
上限の延床面積が10坪未満である場合は、上記で該当する金額もしくは700万円のいずれか低いほうが上限となります。
例えば、千葉県にある30坪の鉄骨造の家に45歳の世帯主と家族3人が住んでいる場合、住宅と家財の火災共済金は以下のとおりです。
建物/家財 | 契約可能な火災共済金 |
---|---|
建物 | 2,400万円 80万円×30坪=2,400万円 |
家財 | 2,000万円 |
建物+家財 | 2,400万円+2,000万円=4,400万円 |
したがって、上記の場合におけるベーシックとエコノミーの地震等共済金は、以下になります。
ベーシック/エコノミー | 地震等共済金の最高額 |
---|---|
ベーシック | 1,320万円 4,400万円×30%=1,320万円 |
エコノミー | 880万円 4,400万円×20%=880万円 |
こくみん共済coopの火災共済では、住宅と家財の合計で6,000万円が上限であるため、地震等共済金のベーシックで1,800万円が上限です。

地震等共済金は、以下のとおり建物の損害の程度に応じて支払われる金額は異なりますが、いずれも地震保険と比べて少額となる傾向にあります。
被害の程度 | 損害の程度 | ベーシックで支払われる地震等共済金 | エコノミーで支払われる地震等共済金 |
---|---|---|---|
全損、全焼 | 70%以上 | 地震等共済金全額 | 地震等共済金×2/3 |
大規模半損、大規模半焼 | 50%以上70%未満 | 地震等共済金×60% | 地震等共済金×40% |
半損、半焼 | 20%以上50%未満 | 地震等共済金×50% | 地震等共済金×1/3 |
一部損、一部焼 | 損害額100万円超かつ20%未満 | 地震等共済金×10% | 地震共済金×1/15 |
– | 20万円超100万円以下 | 地震等特別共済金として4万5,000円 | 地震等特別共済金として3万円 |
上記の一部損などにも満たない損害で支払われる地震等特別共済金は、200万円以上の火災共済への加入が必要です。
さらに地震による損害で以下に該当する場合は、地震等災害見舞金が支払われます。
- 火災共済の加入額が300万円以上
- 住宅の損害額が20万円を超えている
地震等災害見舞金は契約とは別扱いで支払われるものであり、予め年間の支払限度額が設けられているため、支払いや金額は確定していません。
一方で自然災害共済では、地震等共済金や風水害等共済金以外にも盗難で所轄警察署に被害の届けを出した場合、以下のように被害の内容に応じた補償がついています。
盗難による被害内容 | 保障額 |
---|---|
盗取、汚損、損傷 | 契約共済金額 |
1万円以上の通貨 | 以下のいずれか少ない金額・20万円・家財の契約共済金額 家財の契約がある場合に限る |
預貯金証書 | 以下のいずれか少ない金額・200万円・家財の契約共済金額 家財の契約がある場合に限る |
持ち出し家財 | 以下のいずれか少ない金額・100万円・家財の契約共済金額の20% 家財の契約がある場合に限る |
地震保険で補償対象外である盗難が補償されている点は、こくみん共済coopの大きな特徴です。
さらに自然災害共済では、以下の傷害状態及び付属建物に対する補償が付加されています。
付加されている保障 | 概要 | 保障額 |
---|---|---|
傷害費用共済金 | 火災等共済金、風水害等共済金、地震等共済金または盗難共済金が支払われ、共済契約関係者がその事故を直接の原因として傷害を受け、180日以内に死亡または身体障がいの状態になったとき | 1事故1人につき加入保障額10万円あたり10,000円、最高600万円 |
付属建物等特別共済金 | ベーシックの建物契約共済金が200万円以上の場合に限る。地震等により付属建物または付属工作物に20万円を超える損害が生じたとき。 | 1世帯当たり3万円 |
こくみん共済coopは盗難に対する補償など幅広いものの、地震等共済金は最高で1,800万円と地震保険よりも少額であるため、生活立て直しには心もとないと感じる人もいます。
都道府県民共済には地震特約があるものの地震の備えとしては心もとない設計

都道府県民共済は、非営利組織の全国生活用同組合連合会を元受け団体として運営しており、その会員である47都道府県にある各生協が業務委託を受けて加入や支払の事務手続きを行っている共済制度です。
したがって各都道府県民共済は名称こそ違うものの、保障内容などはほとんど統一されています。
都道府県民共済では、火災や落雷、爆発のほかにも風水害や地震が補償の範囲である新型火災共済を取り扱っています。
新型火災共済では、地震で住宅に損害が起きた場合にはそれに応じて地震等基本共済金が支払われますが、その概要と補償金額は以下のとおりです。
地震等基本共済金の概要 補償金額 地震による罹災証明にて建物が全壊、大規模半壊、中規模半壊、半壊のいずれかに被害認定された場合 加入金額の5%の範囲内で最高300万円 地震による罹災証明にて建物が準半壊、一部損壊と被害認定され、損害額が20万円を超える場合
ただし、加入金額が100万円以上の契約に限る一律5万円
上記の地震等基本共済金のほかに新型火災共済では、加入者や加入者と同一世帯の人が地震から180日以内に死亡もしくは高度障害状態となった場合には、500万円を上限として1人につき100万円支払われます。
地震等基本共済金で補償される金額の根拠となる加入金額とは、新型火災共済における住宅と家財の保障される金額の合計のことです。
新型火災共済において住宅の補償として加入できる限度額は、構造や所在地に関わらず1坪あたり70万円となっています。
つまり、延床面積が30坪である住宅の保障として加入できる限度額は、以下の2,100万円ということです。
70万円×30坪=2,100万円
なお、延床面積が58坪以上であっても住宅の補償として加入できる限度額の上限は、4,000万円となっています。
一方で家財の補償として加入できる限度額は、こくみん共済coopと同じく、以下のとおり世帯の人数によって決まります。
世帯の人数 家財の補償として加入できる限度額 1人 400万円 2人 800万円 3人 1,200万円 4人 1,600万円 5人以上 2,000万円
上記のとおり、世帯の人数が6人以上であっても家財の補償で加入できる金額は、2,000万円までです。
したがって新型火災共済では、住宅の延床面積が58坪以上かつ、世帯の人数が6人以上であっても6,000万円を超える契約はできません。
そして地震等基本共済金では、以上のように算出した住宅と家財の補償額を合算した加入金額の5%が、300万円を上限に支払われます。
さらに新型火災共済では、地震等基本共済金のほかに地震に対して以下の補償が追加される地震特約への加入が可能です。
地震等基本共済金の概要 | 保障金額 |
---|---|
地震による罹災証明にて建物が全壊、大規模半壊、中規模半壊、半壊のいずれかに被害認定された場合 | 加入金額の15% |
地震等基本共済金で加入金額の5%が保障されているため、地震特約を付加している場合は、加入金額の20%が支払われます。
つまり、新型火災共済の加入限度額は6,000万円であるため、都道府県民共済の地震による保障額は最高で1,200万円ということです。
地震保険は、火災保険における住宅及び家財の保障額の30~50%で6,000万円まで加入できるため、都道府県民共済の地震に対する補償はかなり少額に抑えられているといえます。
なお都道府県民共済の地震等基本共済金及び地震特約では、1回の地震における共済金総額の上限は3,000億円と定められているため、大地震の被害状況によっては共済金が契約どおりに支払われない場合があります。
これに対して地震保険は、被害が甚大な大地震であるほど政府が多くの保険金支払いを負担する仕組みとなっているため、保険金が削減される可能性はかなり低いです。
地震特約分の保険料は、構造と所在地によって加入金額1万円あたりの掛け金が異なります。
都道府県民共済では、各都道府県を地震のリスクの高さで3つのグループに振り分けています。
その内訳は以下のとおりです。
グループ名 | 地震のリスク | 該当する都道府県 |
---|---|---|
グループA | 低 | 北海道、青森県、秋田県、岩手県、山形県、宮城県、福島県、群馬県、栃木県、石川県、鳥取県、島根県、岡山県、広島県、山口県、福岡県、佐賀県、長崎県、大分県、熊本県、鹿児島県、沖縄県 |
グループB | 中 | 茨城県、新潟県、富山県、長野県、岐阜県、福井県、京都府、滋賀県、大阪府、奈良県、兵庫県、香川県、愛媛県、宮崎県 |
グループC | 高 | 千葉県、埼玉県、東京都、神奈川県、山梨県、静岡県、愛知県、三重県、和歌山県、徳島県、高知県 |
上記のグループ分けは、福島県が地震リスクが低いグループAに振り分けられているなど、地震保険のグループ分けと異なる地区があります。
さらに地震特約ではグループ及び構造によって掛金が、以下のとおり設定されています。
グループ名 | 構造 | 新型火災共済1万円あたりの月払いでの掛金 | 新型火災共済1万円あたりの年払いでの掛金 |
---|---|---|---|
グループA | 木造等 | 0.2625 | 3 |
グループB | 木造等 | 0.3675 | 4.2 |
グループC | 木造等 | 0.63 | 7.2 |
グループA | 鉄筋コンクリート造 | 0.13125 | 1.5 |
グループB | 鉄筋コンクリート造 | 0.18375 | 2.1 |
グループC | 鉄筋コンクリート造 | 0.34125 | 3.9 |
例えば東京都の木造の建物で、新型火災共済の加入金額が6,000万円である場合、加入できる地震特約の補償額及び年払いでの掛金は以下のとおりです。
地震特約の補償額
6,000万円×15%=900万円
年払いでの掛金
7.2×6,000万円÷1万円=4万3,200円
これに対して同じ保障額で比較した場合の地震保険は、地震特約よりも低い保険料で加入できます。
項目 | 地震保険 | 都道府県民共済の地震特約 |
---|---|---|
年間の保険料 | 41,100円 4.11×900万円÷1,000円=3万6,990円 | 43,200円 |
したがって都道府県民共済の新型火災共済はシンプルな保障であるものの、地震保険と比べて補償額の上限は低いうえに掛金も高いため、地震に対する備えとしては心もとない設計となっています。
JA共済の建物更生共済は満期金があるため保険料が高くなる傾向に

JA共済は、営農や農家の生活のための協同組合であるJAと主に共済事業を行っているJA共済連が共同で運営している共済制度です。
JA共済は農業協同組合法に基づき昭和23年に事業が開始され、これまでにも以下のとおりさまざまな地震で共済金を支払っています。
発生年月 | 地震名称 | 支払件数 | 支払金額 |
---|---|---|---|
1995年1月 | 阪神淡路大震災 | 101,535件 | 1,188億円 |
2004年10月 | 新潟県中越地震 | 87,659件 | 773億円 |
2007年7月 | 新潟県中越沖地震 | 32,335件 | 317億円 |
2011年3月 | 東日本大震災 | 684,820件 | 9,376億円 |
2016年4月 | 熊本地震 | 94,223件 | 1,487億円 |
2018年9月 | 北海道胆振東部地震 | 5,211件 | 85億円 |
2022年3月 | 福島県沖地震 | 186,994件 | 1,550億円 |
参照:主な自然災害に対する建物更生共済の共済金支払い状況|JA共済
JA共済には、火災保険と同じように住宅や家財を補償する建物更生共済があり、地震に対する補償も取り扱っています。
建物更生共済には以下の補償の対象が異なる2つのタイプがあるため、地震に対する備えを万全にしたい人は、2つとも契約が必要です。
建物更生共済の種類 | 補償の対象 |
---|---|
むてきプラス「建物」 | 住宅 |
むてきプラス「家財」 | 家財 |
建物更生共済の2つのタイプとも、以下のとおり同じ補償の範囲となっています。
保障の対象 | むてきプラス「建物」 | むてきプラス「家財」 |
---|---|---|
台風、暴風雨 | 〇 | 〇 |
洪水 | 〇 | 〇 |
豪雪 | 〇 | 〇 |
ひょう | 〇 | 〇 |
竜巻 | 〇 | 〇 |
地震、及び地震による火災、爆発、破裂 | 〇 | 〇 |
地震による津波 | 〇 | 〇 |
噴火、爆発 | 〇 | 〇 |
火災 | 〇 | 〇 |
落雷 | 〇 | 〇 |
爆発、破裂 | 〇 | 〇 |
建物外部からの物体の衝突もしくは建物内部での車両の衝突 | 〇 | 〇 |
給排水設備に生じた事故による水濡れ | 〇 | 〇 |
盗難による盗取、損傷または汚損 | 〇 | 〇 |
騒じょうなどに伴う暴力行為、破壊行為 | 〇 | 〇 |
火災等による損害の発生または防止にかかった消火費用 | 〇 | 〇 |
火災等により他人の所有物を滅失、損傷、汚損した場合の見舞い費用 | 〇 | 〇 |
盗難再発防止の費用 | 〇 | 〇 |
ドア鍵の盗難による盗取、損傷、汚損が生じた場合のドアロック交換費用 | 〇 | 〇 |
加入者又は同居の者が死亡した場合 | 〇 | 〇 |
加入者又は同居の者に後遺障害が残った場合 | 〇 | 〇 |
加入者又は同居の者が治療、施術した場合 | 〇 | 〇 |
さらに上記のとおり、建物更生共済の地震に対する補償の範囲は、地震保険と変わりありません。
建物更生共済の大きな特徴の1つは、火災共済金の30分の1から同額まで自由に設定できる満期金ですが、金額が大きくなるほど掛金も高くなる傾向にあります。
一方で契約7年目から5年ごと及び満期時に支払われる割り戻し金も建物更生共済の大きな特徴の1つですが、支払いや金額が確定しているものではなく、景気や金利など経済情勢によっては0円となる場合があります。

建物更生共済のむてきプラス「建物」およびむてきプラス「家財」では、地震により5%以上住宅が損壊した場合、以下のいずれか低いほうが地震共済金として支払われます。
- 火災共済金額の50%
- 損害額の50%
例えば火災共済金2,000万円で、地震により30%の損害があった場合に支払われる地震共済金は、以下のとおりです。
損害額:2,000万円×30%=600万円
損害額の50%:600万円×50%=300万円
火災共済金の50%:2,000万円×50%=1,000万円
損害額の50%=300万円<火災共済金の50%=1,000万円
支払われる地震共済金:300万円
上記のとおり建物更生共済では、地震保険のように損壊状態に応じた段階的な地震共済金の支払いではないため、損壊割合によっては地震保険よりも多くの金額が支払われる可能性があります。
例えば、火災保険及び火災共済金が2,000万円で、地震により15%の損害があった場合に支払われる地震保険及び地震共済金は、以下のとおりです。
地震保険 | 地震共済金 | |
---|---|---|
金額 | 50万円 地震保険金:火災保険金×50%=1,000万円 1,000万円×5%=50万円 | 150万円 損害額の50%=2,000万円×15%×50%=150万円 火災共済金の50%=2,000万円×50%=1,000万円 |
上記のケースでは地震共済金のほうが100万円多く支払われますが、住宅の損害割合の算定基準は異なるため、地震保険のほうが多く支払われる場合もあります。
このような地震共済金の根拠となる火災共済金額は、以下のいずれかから選択します。
- 1㎡あたりの建築評価額×延床面積
- 新築時の建築価格
1㎡あたりの建築評価額は構造や所在地によって異なり、建物更生共済で分類される構造は、以下の3つです。
構造 | 概要 |
---|---|
耐火造A | 建物の主要構造部分のうち、柱、はり、床、屋根および小屋組コンクリート造で、外壁のすべてがコンクリート造、れんが造または石造のいずれかに該当する建物 |
耐火造B,C | 外壁のすべてがコンクリート造、れんが造、石造または土蔵造のいずれかに該当する建物 |
木造、防火造 | 木造建物等、耐火造A、B、Cのいずれにも該当しないもの |
参照:建物更生共済 むてきプラス 掛金シミュレーション|JA共済
例えば、東京都と福岡県における構造ごとの1㎡あたりの建築評価額は、以下のとおりです。
構造 | 東京都 | 福岡県 |
---|---|---|
耐火造A | 270,000円 | 243,000円 |
耐火造B,C | 220,000円 | 198,000円 |
木造、防火造 | 190,000円 | 171,000円 |
上記のとおり所在地と構造によって、1㎡あたりの建築評価額は異なるため、同じ広さの建物であっても加入できる火災共済金額は異なります。
一方で、構造は掛金にも影響しており、木造よりも耐火造のほうが低くなっています。
例えば、東京都で75㎡の住宅で契約期間10年、満期共済金が100万円のむてきプラス「建物」の構造ごとの年間の掛金は以下のとおりです。
構造 | 火災共済金 | 年間の掛金 |
---|---|---|
耐火造A | 2,000万円 | 133,851円 |
耐火造B,C | 1,600万円 | 136,237円 |
木造、防火造 | 1,400万円 | 156,252円 |
このように建物更生共済のむてきプラス「建物」では構造と所在地、延床面積によって火災共済金額と保険料は異なるため、事前に公式サイトの掛金シミュレーションで確認しましょう。
一方で、むてきプラス「家財」で設定できる火災共済金の上限は2,000万円となっており、100万円単位で設定できます。
むてきプラス「家財」の地震共済金も、火災共済金の50%もしくは損害額の50%いずれか低いほうであるため、地震共済金の限度額は1,000万円となります。
公式サイトによると、むてきプラス「家財」で目安となる世帯ごとの火災共済金額は、以下のとおりです。
世帯 | 目安となる火災共済金 |
---|---|
独身世帯 | 600万円 |
夫婦世帯 | 800万円 |
ファミリー世帯 | 1,000万円 |
むてきプラス「家財」の掛金は所在地にかかわらず、火災共済金及び構造、満期金や期間によって異なります。
例えば契約期間10年、満期金が50万円で火災共済金800万円の場合、構造ごとの年間の掛金は以下のとおりです。
構造 | 保険料 |
---|---|
耐火造A | 6万3,575円 |
耐火造B,C | 6万6,292円 |
木造、防火造 | 7万6,943円 |
上記のとおり、むてきプラス「建物」と同様に、耐火造のほうが木造よりも年間の掛金は低くなります。
建物更生共済は、建物と家財それぞれに対して契約が必要ですが、満期があるなど他にはない特徴が多い共済です。
一方で、満期金を高く設定するほど年間の掛金も高くなる傾向にあるため、家計収支のバランスを確認したうえで無理のない範囲で加入しましょう。
SBIいきいき少短の地震の保険は世帯人数によって保険金額が決定

SBIいきいき少額短期保険株式会社は、SBIホールディングス株式会社及びSBIインシュアランスグループ株式会社の1つであり、医療保険やペット保険なども多く取り扱っている少額短期保険業者です。
SBIいきいき少額短期保険株式会社では、リスクを分散させるためにSBIリスタ少額短期保険株式会社と契約を共同で引き受ける地震に対する備えとして、SBIいきいき少短の地震の保険を取り扱っています。
このように共同で契約を引き受ける形態を共同保険といい、SBIいきいき少短の地震の保険では、2社がそれぞれの引受分のみに対して責任を負う仕組みとなっています。
つまり、いずれかの保険会社が破綻した場合、引受割合に応じた保険金額が削減されて支払われるということです。
SBIいきいき少短の地震の保険には、新耐震基準に適合した持ち家のみ加入できるため、新耐震基準に不適合な家や賃貸在住で家財の保障目的の場合加入できません。
新耐震基準とは、昭和56年6月1日に施行された建築基準法に基づく耐震基準のことであり、施行日以降に建築確認を受けた建物が該当します。
なお、施行日以前に建築された建物であっても、耐震補強工事などにより新耐震基準を満たしている場合は加入可能です。
また耐震基準を満たしていても、所在地が大規模地震対策特別措置法に基づく地震防災対策強化地域に指定された地域である場合は、新規加入が不可となっています。
しかし、所在地が規模地震対策特別措置法に基づく地震防災対策強化地域に指定された地域でも、すでにSBIいきいき少短の地震の保険に加入している建物であれば更新のみできます。
SBIいきいき少短の地震の保険では、以下の地震による住宅への被害が保障されており、地震保険と保障の範囲はおおむね同じです。
- 倒壊
- 火災
- 地崩れ、土砂災害
- 津波、流出
- 地盤沈下、液状化
- 噴石災害
SBIいきいき少短の地震の保険では、保険金により5つのタイプがありますが、以下のとおり世帯の人数で加入できるタイプに制限があります。
世帯人数 | 保険金300万円 | 保険金500万円 | 保険金600万円 | 保険金700万円 | 保険金900万円 |
---|---|---|---|---|---|
1人 | 〇 | ||||
2人 | 〇 | 〇 | |||
3人 | 〇 | 〇 | 〇 | ||
4人 | 〇 | 〇 | 〇 | 〇 | |
5人以上 | 〇 | 〇 | 〇 | 〇 | 〇 |
参照:SBIいきいき少短の地震の保険 | SBIいきいき少額短期保険
上記の保険金に対し、地方自治体が発行する罹災証明の被害認定に応じて支払われる保険金は、以下のとおりです。
被害状況 | 保険金300万円 | 保険金500万円 | 保険金600万円 | 保険金700万円 | 保険金900万円 |
---|---|---|---|---|---|
全壊 | 300万円 | 500万円 | 600万円 | 700万円 | 900万円 |
大規模半壊 | 150万円 | 250万円 | 300万円 | 350万円 | 450万円 |
中規模半壊、半壊 | 60万円 | 83.3万円 | 100万円 | 116.7万円 | 150万円 |
上記のとおり住宅が大規模半壊となった場合、SBIいきいき少短の地震の保険では、保険金の50%が支払われます。
これに対して同じ大規模半壊の場合、地震保険では保険金の60%が支払われるため、SBIいきいき少短の地震の保険は地震保険よりも保障される金額が低くなっています。
つまり、SBIいきいき少短の地震の保険のみでは地震の備えとしては不十分であるということです。
なお、SBIいきいき少短の地震の保険では、被害認定が準半壊や一部損壊の場合、保険金が支払われません。
一方でSBIいきいき少短の地震の保険の保険料は、木造と非木造のいずれかを選択する構造と都道府県を選択する所在地、加入する保険金により決まります。
例えば、東京都と福岡県にある木造の建物で、保険金ごとの保険料は以下のとおりです。
地域 | 保険金300万円 | 保険金500万円 | 保険金600万円 | 保険金700万円 | 保険金900万円 |
---|---|---|---|---|---|
東京都 | 1万9,960円 | 2万6,160円 | 2万9,260円 | 3万2,350円 | 3万8,550円 |
福岡県 | 1万3,660円 | 1万7,900円 | 2万0,020円 | 2万2,140円 | 2万6,380円 |
東京にある木造の建物で保険金900万円の地震保険に加入する場合、割引適用なしの保険料が以下のとおり3万6,990円円であるため、SBIいきいき少短の地震の保険の保険料は地震保険と比べて年間で1,560円高くなっています。
4.11×900万円÷1,000円=3万6,990円
一方、同じ東京都と福岡県にある非木造の建物で、保険金ごとの保険料は以下のとおりです。
地域 | 保険金300万円 | 保険金500万円 | 保険金600万円 | 保険金700万円 | 保険金900万円 |
---|---|---|---|---|---|
東京都 | 1万8,530円 | 2万4,280円 | 2万7,160円 | 3万30円 | 3万5,780円 |
福岡県 | 1万3,460円 | 1万7,640円 | 1万9,730円 | 2万1,810円 | 2万5,990円 |
上記のとおりSBIいきいき少短の地震の保険の保険料は、構造の違いよりも所在地の違いの影響を大きく受ける傾向にあります。
SBIいきいき少短の地震の保険は、地震保険と同程度の保険料で簡単に加入できるため、地震に強い不安を感じる人が地震保険の上乗せとして加入するのに適しています。
SBIリスタ少額短期保険ではさまざまな形態の地震補償を取り扱っている

SBIリスタ少額短期保険株式会社は、設立当初より地震に対する保障を取り扱っており、現在の取り扱い保険商品は、以下のとおりです。
- 地震補償保険Resta
- ミニリスタ
- マンション管理組合向け地震補償保険
- 地震補償付き住宅
- ダイナコンティ地震補償付きプラン
上記のとおり、SBIリスタ少額短期保険株式会社ではマンション管理組合や住宅メーカーが契約者となるなど、さまざまなバリエーションの地震補償保険を取り扱っています。
地震補償保険Resta

地震補償保険RestaはSBIリスタ少額短期保険株式会社が単独で引き受けていますが、SBIいきいき少短の地震の保険と保障内容や保険料などは同じであるため、地震に強い不安を感じる人が地震保険の上乗せとして加入するのに適しています。
ミニリスタ

ミニリスタは、所在地がある市区町村で震度6強以上の地震が発生した場合に以下の内容を保障していますが、現在は法人契約のみ契約可能です。
支払基準 | 支払われる保険金 |
---|---|
建物所在地の市区町村で震度6強以上の地震が発生した場合 | 5万円 |
建物が地震により全壊した場合 | 30万円 |
ミニリスタには、上記の5万円が支払われる保障のみを取り扱っている簡易版ミニリスタもあります。
ミニリスタ及び簡易版ミニリスタは法人のみ契約できるものの、加入できる建物は持ち家及び賃貸住宅となっているため、社宅などへの保障に活用できます。
マンション管理組合向け地震補償保険

SBIリスタ少額短期保険株式会社では、個人の地震保険などで保障されない共有部分が保障されるマンション管理組合向け地震補償保険も取り扱っています。
分譲マンションにおいて地震保険に加入する場合、保障されるのは専有部分といわれる自身の所有している範囲であり、エレベーターや階段など共有部分は保障されません。
したがって、地震により損壊した共有部分の修繕費用をマンションの住民で負担しなければならない場合、費用負担に反対する人がいるため修繕が難航する可能性があります。
このような事態を避けるには、個人の地震保険などで保障されない共有部分が保障されるため、マンション管理組合向け地震補償保険の加入が有効です。
万が一地震によりマンションの共有部分が損壊した場合、地方自治体が発行する罹災証明で半壊以上の被害が認定されれば、保険金が支払われます。
地震補償付き住宅及びダイナコンティ地震補償付きプラン

地震補償付き住宅やダイナコンティ地震補償付きプランは、住宅メーカーなどが契約者となる地震保険であり、付帯サービスの1つとして販売促進にも利用されています。
なおダイナコンティとは、株式会社オーディーエムが取り扱っており、地震による揺れや傾きを抑えるために木造の建物に取り付ける装置のことです。
このようにSBIリスタ少額短期保険株式会社では、さまざまな契約形態の地震保険を取り扱っており、地震に対する備えを強化できます。
ヤマダの災害安心保険の地震補償コースはシンプルな保障内容と手軽な保険料が特徴

株式会社ヤマダ少額短期保険は、ヤマダホールディングスグループの1社であり、主に住宅に関わる保険を取り扱っています。
株式会社ヤマダ少額短期保険では、地震の保障もしているヤマダの災害安心保険の地震補償コースを取り扱っており、保障される自然災害は以下のとおりです。
自然災害 | 具体的な内容 |
---|---|
風災 | 台風、旋風、竜巻、暴風などただし洪水、高潮は対象外 |
ひょう災 | 降ひょうなど |
雪災 | 豪雪の場合における雪の重み、落下等による事故または雪崩などただし融雪水もしくは凍結、融雪洪水または除雪作業による事故は対象外 |
水災 | 台風、暴風雨、豪雨等による洪水、融雪洪水、高潮、土砂崩れ、落石など |
落雷 | 落雷など |
地震等 | 地震または噴火、及びそれらによる津波など |
一方でヤマダの災害安心保険の地震補償コースでは、保障内容が以下のとおりである建物・家財プランと家財プランの2つを取り扱っています。
保障の対象 | 建物・家財プラン | 家財プラン |
---|---|---|
家財、家電 | 200万円 | 200万円 |
建物 | 300万円 | – |
家財の臨時費用補償 | 15万円 | 15万円 |
建物の臨時費用補償 | 25万円 | – |
傷害補償 | 300万円 | 300万円 |
上記のとおりヤマダの災害安心保険の地震補償コースでは、住宅のみを保障するプランの取り扱いはありません。
したがってヤマダの災害安心保険の地震補償コースは、地震保険のみでは不安なため、家財の保障を追加したい人にむいている少額短期保険といえます。
ヤマダの災害安心保険の地震補償コースでは、地震での家財の損害状況によって支払われる金額は異なっており、その基準は以下のとおりです。
支払基準 | 支払われる保険金 |
---|---|
家財の損害割合が80%以上 | 200万円 |
家財の損害割合が60%以上80%未満 | 120万円 |
家財の損害割合が30%以上60%未満 | 60万円 |
上記の家財の損害割合算出は、地震保険とは異なり、以下の手順で算出します。
- 5つに分類された家財の代表品目のうち、所有している品目及び損傷した品目にチェックをします。
- 分類ごとに、損傷した品目数÷所有している品目数を算出します。
- 分類ごとに設定されている係数を掛け、分類ごとの損害割合を算出します。
- 5つの分類ごとの損害割合を合算します。
保険商品の詳細が記載されている普通約款の中に、上記の損害割合算出方法とともに書き込めるようになっているため、万が一算出が必要になった場合はそちらを活用しましょう。
一方でヤマダの災害安心保険の地震補償コースでは、地震による住宅の損害状況に応じて支払われる金額は異なっており、その基準は以下のとおりです。
支払基準 | 支払われる保険金額 |
全壊 | 200万円 |
大半壊 | 120万円 |
半壊 | 60万円 |
上記のとおり、地方自治体が発行した罹災証明に記載されている被害の程度が、支払基準となっています。
家財及び建物の臨時費用補償は保険金と併せて支払われるため、支払基準に満たない軽微な損害の場合は対象外となります。
なおヤマダの災害安心保険の地震補償コースでは、被保険者及び同居の親族に対して死亡や入院など傷害を保障していますが、その支払基準と金額は以下のとおりです。
支払基準 | 支払われる保険金 |
---|---|
死亡、重度障害 | 300万円 |
入院 | 1万円×入院日数ただし保険期間を通じて80万円が限度 |
上記の重度障害は、事故の発生日から数えて180日以内に以下の状態となった場合に支払われ、生命保険の支払要件でもある高度障害状態と大きな違いはありません。
- 両眼が失明したもの
- 1眼が失明し、他眼の矯正視力が0.02以下になったもの
- 両岸の矯正視力が0.02以下になったもの
- 咀しゃく及び言語の機能を廃したもの
- 神経系統の機能または精神に著しい障害を残し、常にまたは随時介護を要するもの
- 胸腹部臓器の機能に著しい障害を残し、常にまたは随時介護を要するもの
- 両上肢の用を全廃したもの
- 両上肢を手関節以上で失ったもの
- 両下肢の用を全廃したもの
- 両下肢を足関節以上で失ったもの
地震保険の保険料は構造や所在地などで異なりますが、ヤマダの災害安心保険の地震補償コースは構造や所在地に関わらず、以下の保険料で統一されています。
プラン | 年間保険料 |
---|---|
建物・家財プラン | 27,200円 |
家財プラン | 13,800円 |
ヤマダの災害安心保険の地震補償コースは、シンプルな保障内容で保険金額も大きくないため、地震の備えとして地震保険だけでは不安を感じる人に向いている保険です。
地震保険加入は全ての世帯にとって有効である

地震が頻発している日本では被災する可能性が高いため、地震保険は日本に住んでいる全ての世帯にとって必要であると考えられ、地震保険への関心も年々高まっています。
指標 | 指標の概要 |
---|---|
付帯率 | その年の火災保険契約件数のうち地震保険を付帯している割合 |
世帯加入率 | 全世帯に対する地震保険の加入割合 |
上記の付帯率と世帯加入率は、地震保険の普及度合いを計る指標として用いられており、2014年から2023年の推移は以下のとおりです。
2014年 | 2015年 | 2016年 | 2017年 | 2018年 | 2019年 | 2020年 | 2021年 | 2022年 | 2023年 | |
---|---|---|---|---|---|---|---|---|---|---|
付帯率 | 59.3% | 60.2% | 62.1% | 63.0% | 65.2% | 66.7% | 68.3% | 69.0% | 69.4% | 69.7% |
世帯加入率 | 28.8% | 29.5% | 30.5% | 31.2% | 32.2% | 33.1% | 33.9% | 34.6% | 35.0% | 35.1% |
上記のとおり付帯率、世帯加入率が増加傾向にあるのは、地震保険が必要と感じる世帯の増加によるものと考えられます。
一方で、以下の理由により地震保険は不要であると考える世帯も少なくありません。
- 保険料がもったいない
- もらえる保険金額が少ない
地震がほとんど起きない地域に住んでいる世帯や、建物が鉄筋コンクリート造などの場合、損壊する可能性は低くなります。
そして、地震保険の保険金は最大でも火災保険の50%となっているため、万が一保険金が支払われても住宅の再取得費用には足りない可能性が高いです。
しかしリスクマネジメントの観点では、地震のように発生する可能性は低いものの発生した場合の影響が大きいリスクへの対処法として、保険加入などは適切とされています。
過去の代表的な地震において地震保険の保険金が支払われた件数と金額は、以下のとおりです。
地震名等 | 発生日時 | マグニチュード | 保険金が支払われた件数 | 支払われた保険金額 |
---|---|---|---|---|
平成7年兵庫県南部地震 | 1995年1月17日 | 7.3 | 65,427 | 783億4,600万円 |
平成23年東北地方太平洋沖地震 | 2011年3月11日 | 9.0 | 826,110 | 1兆2,894億400万円 |
2016年熊本地震 | 2016年4月14日 | 7.3 | 215,642 | 3,908億9,400万円 |
福島県沖を震源とする地震 | 2022年3月16日 | 7.4 | 320,920 | 2,654億2,700万円 |
上記のとおり2000年以降に発生した大地震では、数十万件に保険金が支払われています。
一方で2016年熊本地震では、以下のとおり震源地があった熊本県で地震保険を契約した世帯のうち7割超が、保険金支払いの対象となっています。
被災した県名 | 全壊 | 半壊 | 一部損壊 |
---|---|---|---|
熊本県 | 4.1% | 26.5% | 42.5% |
大分県 | 0% | 0.7% | 9.4% |
さらに2022年3月の福島県沖を震源とする地震では、地震保険を契約した世帯のうち保険金支払いの対象となった世帯は、以下のとおり3~4割です。
被災した県名 | 全壊 | 大半壊 | 小半壊 | 一部損壊 |
---|---|---|---|---|
宮城県 | 0.1% | 0.3% | 4.2% | 33.2% |
福島県 | 0.1% | 0.3% | 3.6% | 23.7% |
参照:2022年3月発生の福島県沖を震源とする地震による被災率|損害保険料算出機構
このように大地震が起きた場合は、地震保険の支払対象に該当するほどの被害を受ける可能性が高いです。
したがって、地震の発生リスクが高い日本においては、全ての世帯にとって地震保険の加入は有効であると考えられます。
一方で内閣府の防災情報ページによると、東日本大震災で住宅が全壊したため住宅を新築した場合、平均で2,500万円ほどかかりました。
これに対して、善意の義援金を合わせた公的支援の金額は400万円であったため、1戸あたり平均で2,100万円が不足しています。
この2,100万円に加えて、家財や引っ越し費用などを考慮すれば、生活の立て直しにはさらに多くの資金が必要と予想できます。
生活立て直しに必要な金額を全て補える可能性は高くありませんが、地震保険加入の有無は大きな差です。
さらに、将来発生が危惧されている南海トラフ地震では東日本大震災を超える被害が想定されているため、1日も早く生活が立て直せるよう地震保険の加入を是非検討しましょう。
地震保険は経済的に困窮する可能性が高い世帯は特に必要

地震保険は、日本に住んでいるすべての世帯にとって有効ですが、以下のような地震によって経済的に困窮する可能性が高い世帯は特に必要です。
- 住宅ローンの残高がある世帯
- 地震により収入が減少もしくは途絶える可能性がある世帯
- 貯蓄が少ない世帯
- 所在地の地震保険料が高い世帯
地震によって経済的に困窮しない場合であっても、生活の立て直しに対して地震保険の加入は大きな助けとなります。
住宅ローンの残高がある世帯

住宅が地震によって損壊した場合でも住宅ローンの返済は免除されないため、返済と新たな住宅の費用と二重に支払いが必要であり、経済的に困窮する可能性が高くなります。
例えば、地震により住宅が全壊したため、新たに3,000万円で購入するとします。
全額を返済期間35年で金利が年1.5%の住宅ローンで賄う場合の毎月の返済額は、9万1,855円となります。
これに対して仮に地震保険に加入していたため、住宅の全壊により保険金が1,000万円支払われた場合、新たな住宅購入に伴う住宅ローンの返済額は以下のとおりです。
項目 | 地震保険1,000万円加入 | 地震保険加入なし |
---|---|---|
全壊により受け取れる地震保険金額 | 1,000万円 | 0円 |
3,000万円の住宅購入に伴う住宅ローンの借入金額 | 2,000万円 | 3,000万円 |
毎月の返済額 | 6万1,236円 | 9万1,855円 |
住宅ローンの総返済額 | 2,571万9,333円 | 3,857万9,007円 |
上記のとおり地震保険の加入により新たな住宅購入に伴う住宅ローンの返済額は、月あたり3万円ほど抑えられ、総返済額では約1,300万円の差が生じます。
さらに既存の住宅ローンの支払いもあるため、地震保険加入の有無は、被災後の生活に大きな影響を与えます。
したがって住宅ローンの残高がある世帯は、新たな住宅費負担軽減のためにも地震保険の加入が必要です。
地震により収入が減少もしくは途絶える可能性がある世帯

会社員や公務員などのサラリーマンであれば、地震に被災した場合でも給与が支払われる可能性は高いですが、個人事業主などは収入が減少もしくは途絶える可能性があります。
したがって、地震により収入が減少もしくは途絶える可能性がある世帯は、収入の補填のためにも地震保険の加入が必要です。
一方でサラリーマンであっても地震によりケガをしてしまい、就労できない可能性があります。
何らかの障害が残る場合もあるため、入院や傷害などの保障にも加入しましょう。
貯蓄が少ない世帯
地震による住宅費の負担増や収入の減少なども、十分な貯蓄があれば生活の立て直せます。
十分な貯蓄の目安は、住宅が全壊した場合でも不自由なく生活ができる程度であり、以下の合計額以上がすぐに捻出できる金額です。
- 数ヶ月から1年程度の生活費
- 引っ越し費用
- 家財等の買い替え費用
具体的な金額は世帯によって異なりますが、例えば毎月の生活費が35万円である場合で500〜700万円程度の貯蓄が目安となります。
言い換えれば貯蓄が少ない世帯は、自力で生活の立て直しは困難であるため、地震保険が必要です。
所在地の地震保険料が高い世帯

地震保険料率が高い地域の世帯は保険料負担を抑えるために、低い保険金での契約やそもそも地震保険への加入を見送る傾向にあります。
しかし地震保険は、各保険会社の利益を含んでいないため、保険料の高低は地震による損壊のリスクを意味します。
つまり、保険料が高いほど地震発生リスクは高い傾向にあり、ひとたび地震が起きると建物や家財の損壊する可能性が高いということです。
一方で、住宅の所在地で地震発生リスクが高い場合は、防災科学技術研究所が取り扱っている地震ハザードステーションにある全国地震動予測地図で確認できます。
地震ハザードステーションとは、地震防災が目的であり、日本全国の共通情報基盤としての活用を目指して開発されたWebサービスのことです。
その中の全国地震動予測地図では、地震発生リスクが高い地域は赤く表示されているため、保険料も高い傾向にあります。
住宅の所在地が、地震保険の保険料が高い場合や全国地震動予測地図などで地震発生リスクが高いと想定される場合は、是非地震保険に加入しましょう。
一方で以下のとおり、持ち家や賃貸住宅などの住宅事情によって、加入しなければならない地震保険は異なります。
- 持ち家が一戸建ての場合
- 持ち家が分譲マンションの場合
- 住まいが賃貸の場合
一戸建てや分譲マンションを所有している場合は、住宅と家財のどちらも保障されている必要があります。
さらに分譲マンションにおける地震保険は専有部分は保障されますが、共有部分は保障されないため、共有部分の損壊による修繕費用負担を避ける目的でマンション管理組合を契約者とした地震保険への加入が必要です。
住まいが賃貸である場合、住宅の保障は不要であるため、地震保険へ加入しない人も多くいます。
しかし、地震によって電化製品や食器などが損害を受ける可能性は十分にあるため、家財への保障は必要です。
地震保険は被災した場合の生活立て直しに大きく貢献

地震保険は、保険金支払いが多くなるほど政府の負担が大きくなる公共性が高い保険であり、火災保険に付帯して加入します。
地震保険の保険金は火災保険の50%が上限であるため、万が一地震により建物が倒壊した場合の再建費用には足りませんが、生活の立て直しには大きな助けとなります。
一方で、地震で住宅に被害を受けた場合には公的支援を受けられますが、義援金を合わせても数百万円程度です。
さらに、地震保険以外にも火災共済の地震特約や少額短期保険の地震補償保険がありますが、いずれも地震保険ほどの補償ではないため生活の立て直しには十分とはいえません。
つまり、住宅が倒壊するほどの大地震が頻繁に発生している日本において地震保険は、被災する可能性が高いため全ての世帯に必要な保険であるということです。
特に、住宅ローンの残高がある世帯や収入が減少もしくは途絶える世帯など地震により経済的に困窮する可能性がある世帯は、地震保険が大きな助けとなります。
地震災害は豪雨災害や台風災害などと違い突然発生するため、被災する前に是非地震保険の加入を検討してみてください。