コラム

【完全版】本当に必要な保険の賢い選び方

コラム

生命保険や医療保険、損害保険など本当に必要な保険の選び方を詳しくご紹介します。

新しく加入する保険だけでなく、現在加入している保険の見直し方も同時に解説していますのでぜひ参考にしてみて下さい。

「保険に加入したくても、種類が多くて選び方が分からない」

「どういった商品が自分に必要か知りたい」

保険を選ぶ時に、このように考えてしまう方も多いのではないでしょうか。

この記事では、生命保険や医療保険から、自動車保険などの損害保険まで生活に必要な保険の種類や選び方を徹底解説しています。

自分や家族にとって、今後どのような保険に加入すれば良いか、一緒にチェックしていきましょう。

この記事でわかること

  • 生命保険や医療保険はライフプランに合わせて見直すことが大切
  • 自動車保険は「自賠責保険」と「任意保険」の両方への加入がおすすめ
  • 自転車に乗るなら家族で「自転車保険」も視野に入れよう
  • 自分だけでなく家族の保険も見直すと安心
  • 「ペット保険」で大切な家族を守ろう
  • 今加入している保険に重複した保障はないかチェックして整理整頓しよう

自分にとって今必要な保険とは

自分にとって今必要な保険は、これからの生活で考えられる「万が一の時」に備えられる商品を選ぶと良いでしょう。

特に生命保険や医療保険は、突発的な病気やケガで働けなくなった時や、万が一亡くなった時でも手厚い保障が受けられます。

具体的にどのような商品が必要なのか、保障内容はどういったものがあるのかを詳しくご紹介します。

急な入院・治療に備える医療保険は必須

医療保険は必須。事故や病気に備える

医療保険は、急な入院や治療が必要になった場合に備える必須の商品です。

突発的な事故や病気の発症での入院費や手術費に充てられます。

入院が長期化すれば働けない状況が続き、収入が減少する可能性も。

生命保険文化センターが行った令和元年度「生活保障に関する調査」によりますと、入院時の1日あたりの自己負担額は約2万8,400円、入院日数は15.7日間でした。

これは治療費だけでなく、食費や衣類、日用品、差額ベッド代なども含まれた金額です。

収入が減少するなかで入院費も自己負担となると、家計にも大きく影響します。

いつどこで病気やケガが起こるかは誰にも分かりません。

生命保険は、一度病気になってしまうと加入できない保険や、加入できたとしても健康な人に比べ保険料が割高になるケースもあります。

元気で過ごせるうちに、今後発生するかもしれない「万が一」を考えておくことが大切です。

生命保険は何歳から入れば良い?|年齢よりライフステージの変化で意識する

生命保険は何歳から?ライフステージで決める

「生命保険は何歳頃から入れば良いのだろう」と迷う方も多いのではないでしょうか。

生命保険に加入するタイミングは、「年齢」ではなく「ライフステージ」で決めると良いでしょう。

中でも、20代~30代は結婚や妊娠を機に養っていく家族が増える時期ですが、このタイミングで生命保険に加入するのがおすすめです。

独身のうちは、万が一のことがあったとしても、遺族に遺すお金はさほど必要ありません。

しかし、結婚や妊娠を機に養っていく家族が増えることで、必要となる保障内容も変わります。

例えば、幼い子どもがいる場合、今後の生活費など将来的にかかる費用を予測して死亡保険へ加入するのが必要不可欠です。

特に20代や30代のうちは、病気による死亡リスクを感じづらいため、あまり必要性を感じられないかもしれません。

20代~30代で生命保険に加入すると、毎月支払う保険料負担が少ないといったメリットがあります。

年齢が上がるにつれて病気のリスクと共に保険料も上がるため、若いうちでの生命保険の加入により、少ない負担で大きな保障が受けられます。

若い世代が特に注意したいのは、交通事故などでのケガにより高度障害状態に陥るケースです。

高度障害状態になってしまうと、今まで通りの仕事はもちろん、日常生活にも大きく影響します。

「死亡保険はまだ良いかな」と安易に考えず、病気や事故は誰にでも起こる可能性があることを意識してみて下さい。

必要な保険を必要なタイミングで選ぶ

必要な保険を必要な時に

生命保険は、必要な保険を必要なタイミングで選ぶことが大切です。

自身のライフプランを見据えた時に、将来どのような保障が必要かを検討してみましょう。

生命保険は「死亡保険」、「生死混合保険」、「生存保険」「その他」の4種類から成り立っています。

生命保険の基本形
死亡保険生死混合保険生存保険その他
保険の種類・定期保険
・終身保険
・養老保険・個人年金保険
・学資保険
・医療保険
・がん保険
特徴死亡時や高度障害状態になった時に支払われる。
保障性が高いため、万が一に備えられる。
死亡時や高度障害状態になった場合は死亡保険が、満期まで生存していた場合は生存保険が支払われる。契約から満期まで生存していた時に支払われる保険。
将来のライフイベント資金に備えられる。
病気やケガによる入院、手術、通院等で支払われる給付金。

万が一に備える|死亡保険

結婚し、子どもを授かるといった、家族が増えるタイミングで考えておきたいのが死亡保険です。

死亡保険に加入することで、万が一のことがあった場合でも遺された家族の生活費や、子どもが自立するまでの学費や養育費に充てられます。

死亡保険は、主に定期保険と終身保険の2種類があります。

定期保険は、契約時に定めた期間内で保障される掛け捨て型の保険です。

契約期間中に被保険者が亡くなった場合に遺族へ保険金が支払われます。

定期保険を保障期間中に途中解約した場合の解約返戻金はごくわずかで、保険期間終了時に支払われる満期返戻金もありません。

そのかわり、他の死亡保険に比べると割安で大きな保障が得られます。

一方終身保険は、契約後保障が一生涯続く保険です。

途中解約しない限り、遺族は必ず保険金が受け取れます。

終身保険は一般的に、途中解約したとしても受け取れる解約返戻金があり、契約期間が長ければ長いほど解約返戻金を多く受け取れるため「貯蓄型の保険」と呼ばれることも。

ただし、保険金の支払いが確約されているため、定期保険に比べて保険料は割高です。

大きな保障というよりも、被保険者が亡くなった後も遺族が当面不自由なく生活できるだけの資金として備えるとよいでしょう。

資産形成をしながら万が一にも備えたい|生死混合保険

生死混合保険とは、その名の通り死亡保険と生存保険を組み合わせた保険です。

代表的なものに「養老保険」が挙げられます。

養老保険とは、被保険者が契約期間中に死亡した場合は死亡保険金が支払われ、生存していた場合は満期保険金が支払われるといった保険です。

マイホーム資金や子どもが自立するまでの教育費、老後の年金といった計画的な資産形成をしながら、万が一にも備えられます。

長期的な資産形成が苦手な方、将来的にゆとりのある暮らしをしたい方におすすめです。

将来のライフイベント資金に備える|生存保険

生存保険とは、被保険者が満期に生存していた場合に支払われる保険です。

将来的にかかる子どもの養育費に充てられる「学費保険」や、公的制度とは別に定年後に備える「個人年金保険」が該当します。

学費保険とは、毎月決まった額の保険料を支払うことで、子供の成長に合わせて「祝い金」や「満期金」といった名目で保険金を受け取れる貯蓄型の保険です。

小学校~大学の入学時の制服代や教科書代、授業料など、何かと資金が必要になるタイミングで保険金を受け取れます

さらに、子どもが自立する前に契約者が死亡、もしくは高度障害状態になった場合、月々の支払いが免除される「払込免除特約」が付いているのが一般的です。

契約者にもしものことがあったとしても、子どもに負担なく資金を残せます。

生存保険のうち、老後に向けて資金を貯蓄したい方におすすめなのが「個人年金保険」です。

個人年金保険とは、公的年金制度とは別に自身で年金を貯蓄し、老後の資金不足に備えられる保険です。

60歳か65歳まで保険料を支払い、払込み終了後に年金として受け取れます

日本人の平均寿命は年々上がっており、80歳や90歳まで長生きすることも考えられます。

そうなると、60歳、65歳で定年を迎え、それまでの貯金や公的年金だけで生活できるか不安に感じる方も多いのではないでしょうか。

公的年金の支給開始年齢がこれから引き上げられる可能性も。

老後を安心して迎えたい方や、施設や介護サービスなど充実したサービスを受けたい方におすすめの保険です。

ケガや病気に備える|医療保険やがん保険

突発的な事故や病気になった時に役立つのが「医療保険」です。

医療保険は、入院費や手術費用など、ケガや病気への治療費に充てられます。

また、医療保険の中でも「がん保険」はがん治療に特化した商品です。

2018年の統計では、日本人の2人に1人が「がん」と診断されるといわれているこの時代。

手術だけでなく、化学療法や陽子線治療といった、外来で長期的に治療する方法も支持されているため、費用も高額になる傾向があります。

病気による心身機能の低下で現在の仕事に影響を及ぼすと、家計を圧迫する恐れも。

公的医療保険制度の補完として備えておくことをおすすめします。

高度先進医療特約で治療の選択肢を増やすことも可能

医療保険やがん保険には、公的医療保険の対象外である高度先進医療に備えるための「高度先進医療特約」が付加できます。

先進医療とは、厚生労働省が定める高度な医療技術を用いた治療のうち、公的医療保険の対象となっていないものを指します。

患者本人が治療を望み、且つ医師が必要と認めた場合にのみ受けられる治療です。

「公的医療保険の対象外」と聞くと、健康保険が使えない「自由診療」と同じように考える方も多いのではないでしょうか。

自由診療とは、健康保険が適用されず、診察や検査料を含めて全額自己負担です。

公的医療保険の治療は、自由診療との区別を明確にするため、原則「混合診療の禁止」とされています。

そのため、公的医療保険を使用した治療の一部が自由診療になった場合、公的医療保険の対象外となる可能性も。

ただし、先進医療を受ける場合は、診察や検査料などはそのまま公的医療保険の対象です。

先進医療で受ける技術料や薬剤料など、公的医療保険の対象外になる部分のみ全額自己負担となります。

つまり、先進医療は「混合診療の禁止の特例」と解釈できます。

では、先進医療の治療を受けるにはどのくらい費用がかかるのでしょうか。

令和2(2020)年7月1日~令和3(2021年)6月30日で実施された先進医療にかかる年間費用を一部抜粋してご紹介します。

先進医療の年間件数と1件あたりの平均入院期間と費用
年間実施件数平均入院期間1件あたりの費用平均
陽子線治療1,285件15.7日2,649,978円
重粒子線治療683件5.2日3,186,609円
抗悪性腫瘍剤治療における薬剤耐性遺伝子検査226件47.3日38,424円
ウイルスに起因する難治性の眼感染疾患に対する迅速診断(PCR法)614件4日27,863円
MRI撮影及び超音波検査融合画像に基づく前立腺針生検法1,338件2.6日108,183円
細胞診検体を用いた遺伝子検査459件7.1日75,610円

引用元:中央社会保険医療協議会「令和3年6月30日時点で実施されていた先進医療の実績報告について」

先進医療の治療費は全額自己負担になる上、治療できる病院も限られていることから、実際に利用する人はさほど多くありません。

ただし、いざ病気を申告され、限られた治療方法の中に先進医療が選択肢としてあれば望む声が挙がるのも事実です。

そんな時にこそ「高度先進医療特約」を活用できます。

先進医療の中に希望する治療法があったとしても、全額自己負担という壁に阻まれて治療を断念してしまうことは、本人だけでなく家族にとっても後悔が残る可能性があります。

高度先進医療特約を付けることは、病気に立ち向かう手段を一つでも増やせる希望に繋がります。

自動車と自転車の保険も視野に入れておくと安心

車・自転車保険。突発的な事故の備え

生命保険や医療保険など、ケガや病気に関する保険と同様に検討しておきたいのが、自動車保険や自転車保険です。

自動車や自転車を利用して生活している場合、必ず交通事故に遭うリスクを伴います。

自分が被害者側になる可能性はもちろん、加害者側となって相手への治療費や慰謝料を支払うといった状況も考えられます。

自動車や自転車に乗る時の保険にはどのようなものがあるかチェックしてみましょう。

自動車に乗るなら自賠責保険と任意保険の両方への加入がおすすめ

補償されない不足分を補う任意保険

自動車保険は、法律で加入が義務付けられている自動車損害賠償責任保険(自賠責保険=強制保険)と、車の保有者が加入する一般の自動車保険(任意保険)の2種類です。

原動機付自転車を含む全ての自動車は自賠責保険に加入していない場合、公道を走ってはならないと自動車損害賠償保障法で定められています。

自賠責保険に加入しないまま運転した場合、1年以下の懲役または50万円以下の罰金を受け、免許停止処分となります。

(責任保険又は責任共済の契約の締結強制)

第五条 自動車は、これについてこの法律で定める自動車損害賠償責任保険(以下「責任保険」という。)又は自動車損害賠償責任共済(以下「責任共済」という。)の契約が締結されているものでなければ、運行の用に供してはならない。

引用元:自動車損害賠償保障法-e-Gov法令検索

そのため、自動車登録する時や車検を受ける時には、自賠責保険に加入していないと手続きできない仕組みになっています。

自賠責保険は自動車事故の被害者救済を目的に作られた保険のため、補償対象は人身事故の損害賠償のみです。

相手方の損害時の治療費や慰謝料で被害者1人あたり120万円、後遺障害が残る損害であれば最高4,000万円、亡くなった場合の葬儀費用や慰謝料で3,000万円が支払われます。

自賠責保険の補償範囲と被害者1名あたりの支払限度額
補償内容支払限度額
(被害者1名につき)
傷害による損害治療費関係120万円
文書料
休業損害
慰謝料
後遺障害による損害逸失利益①神経系等の機能や精神、胸腹部臓器への著しい傷害で、介護を要する傷害・常時介護を要する場合
(第1級):4,000万円・随時介護を要する場合
(第2級):3,000万円
②上記以外の後遺障害(第1級)3,000万円~(第14級)75万円
慰謝料等
死亡による損害葬儀費3,000万円
逸失利益
慰謝料
死亡に至るまでの傷害の損害上記「傷害による損害」が適用120万円

引用元:国土交通省

一方、任意保険は、自賠責保険で補償されない物損事故や自身のケガ、自動車の修繕といった不足部分を補うために加入する保険です。

必ずしも全員加入する必要はないため、加入しないと運転できないといった強制力もありません。

ただし、任意保険に加入しておくことで、人身事故だけでなく物損事故で損害を受けた車両の補償や、自身のケガにかかった治療費にも保険金が支払われます。

自賠責保険と任意保険、2つの保険に加入することで、相互を補完し、万が一に備えられるという仕組みです。

自転車に乗るなら状況に応じて自転車保険に加入しよう

義務化が広がる自転車保険

自動車保険と同様、自転車による事故を補償する「自転車保険」があることをご存知でしょうか。

2015年に兵庫県で義務化されて以降、全国の自治体で義務化が広がっています

自転車保険とは、自転車運転中に起きた事故で発生する相手への損害賠償に備える保険と、自分自身のケガに備える保険がセットになった保険です。

相手への損害賠償への備えとは、自転車事故で相手にケガを負わせたり、万が一死亡させてしまった場合、相手の物を壊した場合などによる損害賠償責任が発生した時に支払われる保険金を指します。

自分自身のケガへの備えとは、自転車事故でケガをし、入院、通院が必要になった場合や死亡してしまった場合に保険金が受け取れます。

相手との示談交渉サービスや弁護士費用の補償、トラブルによる自走不可能になった際のロードサービスといった手厚い補償のある保険も。

また、自転車事故の他に、日常生活で相手方へケガをさせてしまったり、買い物中にお店の物を壊してしまったりといった状況で損害賠償責任を負った場合でも保険金が支払われます。

自転車保険は本人が契約する個人型」と、ご夫婦やお子さん、ご親族もまとめて契約する家族型」の2種類あります。

ご家族が全員自転車に乗る機会がある場合は、「家族型」への加入がおすすめです。

家族全員がそれぞれ個人型を契約するよりも保険料が抑えられる可能性があります。

契約者本人しか乗らない場合は「個人型」を選ぶと良いでしょう。

自転車保険の多くは年齢制限を設けられておらず、お子様からご年配の方までどなたでも加入できます。

自転車保険の対象者(例)

  • 契約者本人
  • 本人の配偶者
  • 本人または配偶者と同居している親族
  • 本人または配偶者の別居している未婚の子

商品によっては被保険者以外の補償範囲が異なる場合があります。

家族型の補償に加入する場合は、補償内容や条件が自分の希望に合っているか確認しておくと良いでしょう。

車の任意保険と自転車保険は入ってなくても罰則はないけれど…

任意保険と自賠責の補償範囲

車の任意保険や自転車保険、いずれも法律上入っていなくても罰則はない任意保険です。

加入は本人の自由意志であり、強制するものではありません。

ただ、自動車や自転車を日常的に利用するご家庭にとっては、常に事故のリスクを伴うことを忘れてはいけません。

任意保険に加入していない人の中には、

「保険料が安く済むし、そんな心配するようなことは自分に限って起きないだろう」

と考える方もいるのではないでしょうか。

毎月、任意保険の保険料を支払うことは、「無駄な出費」と捉えて良いのか、実際の例を挙げて考えてみましょう。

まずは、自動車保険(任意保険)の補償範囲をご紹介します。

自賠責保険と任意保険の補償範囲
相手方への補償自分への補償
死傷自動車・モノ死傷自動車
自賠責保険×××
自動車保険
(任意保険)

自賠責保険で補償されるのは、人身事故で負傷した相手方の治療費や慰謝料のみです。

物損事故や相手方の破損した自動車の修理費用はもちろん、自身の車や事故で負ったケガの治療費は全て対象外となり、全額自己負担となる可能性があります。

中には、5億円を超えるといった高額の損害が認められるケースも。

高額損害事例
認定損害額態様被害者性別・年齢職業
5億2,853万円死亡男性・41歳開業医(眼科)
4億5,381万円後遺障害男性・30歳公務員
4億5,375万円後遺障害男性・50歳コンサルタント
4億3,961万円後遺障害女性・58歳専門学校教諭
3億9,725万円後遺障害男性・21歳大学生

引用元:2021年度版自動車保険の概況-損害保険料率算出機構

最高額は、平成23年11月1日に横浜地方裁判所で判決が下された5億2,853万円でした。

事故状況から被害者に60%の過失があるとされ、実際に支払われた損害賠償は2億程度。

高額例の特徴としては、事故当時における被害者の年収の高さや年齢の若さ、後遺障害の状態などが挙げられます。

自賠責保険の死亡時に支払われる保険金は最高3,000万円です。

上記のような高額な損害額になった場合、自賠責保険の補償だけでは不十分になる可能性があります。

ちなみに、保険会社が取り扱う自動車保険と、JA共済や全労災などの共済が取り扱う自動車共済の加入率は以下の通りでした。

自動車保険・自動車共済対人賠償普及率
<2021年3月末>
自動車保険75.1%
自動車共済13.3%
合計88.4%

参考:2021年度版自動車保険の概況-損害保険料率算出機構

自動車を所有する9割近い人が、任意の自動車保険や自動車共済に加入していることが分かりました。

それでは次に、自転車保険の補償内容を見てみましょう。

自転車保険の補償内容【一例】
内容保険金
死亡保険金自転車事故により被保険者が死亡時に保険金が支払われる。
商品にもよるが、あまり高額ではないため生命保険の死亡保障に加入するなど他の手段を考えておくと良い。
200万円~1,000万円
入院・手術給付金自転車事故により入院や手術といった治療費に対し保険金が支払われる。
入院せずに通院のみの場合でも支払われる商品もあり。
2,000円~10,000円/日額
個人賠償責任自転車事故により、相手方に対し損害賠償責任を負う可能性がある。
商品によっては補償がないものもあり。
また、自転車事故以外の日常生活で起きた事故も対象となる。
例:お店で購入前の商品を壊した、飼い犬が人を噛んでしまった等
最高1,000万円~3億円
示談交渉サービス被害者から損害賠償責任を問われた際、被保険者に代わり保険会社が相手方と交渉するサービス。
弁護士費用の補償自転車事故で被害を受け、相手方への損害賠償請求を弁護士に委任した場合の負担した費用が補償される。

自転車保険は、自身のケガだけでなく、相手側にケガを負わせたり物を壊したりと、加害者側として責任を問われる際にも活用できます。

ただし、死亡保障で受け取れる金額は最高で1,000万円とありますが、多くの自転車保険では400万~500万円が相場です。

遺された遺族へ生活費や養育費を残したい場合は、生命保険などその他の商品で補填すると安心です。

個人賠償責任を負った場合、1,000万円~3億円まで補償されています。

自転車保険の多くは、補償額1億円で設定されていますが、「そこまで必要なのか?」と思われるかもしれません。

しかし、自転車事故も自動車事故と同様、高額な賠償事例も珍しくありません。

自転車事故の高額賠償事例
判決認容額事故の概要
9,521万円男子小学生(11歳)が夜間、帰宅途中に自転車で走行中、歩道と車道の区別のない道路において歩行中の女性(62歳)と正面衝突。
女性は頭蓋骨骨折等の傷害を負い、意識が戻らない状態となった。
(神戸地方裁判所、平成25(2013)年7月4日判決)
9,330万円男子高校生が夜間、イヤホンで音楽を聞きながら無灯火で自転車を運転中に、パトカーの追跡を受けて逃走し、職務質問中の警察官(25歳)と衝突。
警察官は、頭蓋骨骨折等で約2か月後に死亡した。
(高松高等裁判所、令和2(2020)年7月22日判決)
9,266万円男子高校生が昼間、自転車横断帯のかなり手前の歩道から車道を斜めに横断し、対向車線を自転車で直進してきた男性会社員(24歳)と衝突。
男性会社員に重大な障害(言語機能の喪失等)が残った。
(東京地方裁判所、平成20(2008)年6月5日判決)
6,779万円男性が夕方、ペットボトルを片手に下り坂をスピードを落とさず走行し交差点に進入、横断歩道を横断中の女性(38歳)と衝突。
女性は脳挫傷等で3日後に死亡した。
(東京地方裁判所、平成15(2003)年9月30日判決)
5,438万円男性が昼間、信号表示を無視して高速度で交差点に進入、青信号で横断歩道を横断中の女性(55歳)と衝突。
女性は頭蓋内損傷等で11日後に死亡した。
(東京地方裁判所、平成19(2007)年4月11日判決)

引用元:一般社団法人日本損害保険協会

このように、未成年者が起こした事故でも関係なく、1億円近い損害賠償を命じられる可能性もあります。

免許を取得しなくても乗れる自転車であれば大事には至らないだろう、という考え方が後に死傷者を出す大きな事故を招きかねません。

自転車は、道路交通法上は車両の一種とされています。

全国でも自転車保険を義務化する動きが高まっているのは、こうした事故で被害者側、加害者側両方にとって大きな損失が出ることが大きな理由の一つです。

自動車も自転車も、一歩間違えば加害者にも被害者にもなりかねません。

保険料を少しでも節約したい、といった金銭面を考える前に、こういった「もしもの時」に負うリスクを考えてみてはいかがでしょうか。

家族に関係する保険を整理する

家族関係の保険。今後必要になる保険

結婚や妊娠を機に家族が増えたら、自身だけでなく家族に関係する保険も合わせて把握しましょう。

国民皆保険制度に則った公的医療保険をはじめ、生命保険や学費保険、損害保険など今後必要となる保険はどのようなものがあるでしょうか。

被用者保険や国民健康保険

日本国民なら誰でも何らかの公的医療保険制度に加入すると定められています。(国民皆保険制度)

会社員であれば被用者保険、自営業や農林漁業、自由業では国民健康保険(地域保険)に加入します。

日本の公的医療保険制度
保険の種類対象者
被用者保険
(職域保険)
健康保険協会管掌健康保険(協会健保)・中小企業の従業員とその家族(被扶養者)
組合管掌健康保険(組合健保)・健康保険組合に加入している企業の従業員と被扶養者
共済組合公務員、私立学校の教職員
船員保険日本の船舶で働いている船長、海員、予備船員など
地域保険国民健康保険農林漁業、自営業、自由業

例えば、結婚して夫婦2人の生活になったことを機に働き方を見直す方も少なくありません。

働き方が変わることで、同時に医療保険も変わります

専業主婦(主夫)やパート勤務になれば、被用者保険の扶養にも入れます。

事業を始めたり、農業で生計を立てたりといった状況であれば、国民健康保険に加入する必要があります。

扶養内でパートとして働くのであれば、「103万円の壁」などといった税金対策も視野に入れるなど、収入面の管理方法も確認しておきましょう。

お子さんが生まれた時がタイミング|生命保険や学費保険

お子さんが生まれた時。生命保険や学費保険

家族にとって待望のお子さんが生まれた時も、保険を見直す絶好のタイミングです。

死亡保障のある生命保険は、多くの家庭が家族の生活を支えるために働く世帯主にかけられています。

万が一世帯主が亡くなった場合、収入が得られず、残された家族だけではすぐに生活できなくなる可能性も。

独身時代にかけていた死亡保険は、現在の家族を支えられる保障になっているのかを確認しておきましょう。

幼い子どもがいる場合、子どもが自立するまでの生活費や養育費として十分な保険金が支払われるように設定すると安心です。

また、子どもの幼稚園から大学進学までを見据えた時に必要となってくるのが学費保険です。

入学時には制服代や授業料など、まとまった費用がかかるタイミングで支払われるように契約しておくことで、慌てずに済みます。

大学入試や引っ越し代など、進学で最もお金がかかるのが大学進学時といわれています。

そのタイミングで一括支払いを設定することも可能です。

いずれも夫婦で話し合い、ご家族に見合った内容で契約することをおすすめします。

必要な損害保険に加入しているか|火災・地震保険やペット保険など

損害保険。生活に欠かせないものにも

生命保険や医療保険など、命に関わる保険と同様、生活に欠かせない家や車などに掛けられる損害保険も見直しましょう。

損害保険は、火災や地震といった自然災害や交通事故などで損害が発生した場合に補償されます。

損害保険の種類

  • 火災保険
  • 地震保険
  • 自動車保険
  • 自転車保険
  • ペット保険
  • 海外旅行保険など

火災保険と地震保険の違い

火災保険や地震保険は、念願のマイホームを建てたり、マンションを購入したりと、建物を所有した際に入っておきたい損害保険です。

建物だけでなく、補償範囲を選択することで家の中にある家財も対象にできます。

火災保険で保障されるのは、火災や落雷、水災といった自然災害が原因の損害分です。

また、悪意のある第三者が建物内に侵入して盗まれた家財や貴金属類、侵入経路として割られた窓ガラス等も補償されます。

一方、地震保険は一般的に普及率が低く、自然災害との連動性が高いことから、火災保険とセットで加入する商品がほとんどです。

地震保険の対象は、地震が原因で発生した噴火や津波による建物の倒壊などが挙げられます。

いずれも自然災害が原因の損害ですが、補償範囲は災害の発生源で区別します。

例えば、地震が原因で起きた火災は火災保険と考えるかもしれませんが、発生源が地震のため、適用されるのは地震保険です。

火災保険と地震保険の違い
保険の種類補償内容補償される事故の内容補償対象外
火災保険建物、家財火災、落雷、破裂・爆発、風・雹・雪災、水災、水濡れ、自動車の飛び込み等による衝突、盗難、汚損・破損・通貨、有価証券、小切手、預貯金証書、印紙、切手、クレジットカード、プリペイドカード、電子マネー、乗車券など
・自動車及び付属品
・動物や植物といった生物
・データ、ソフトウェア、プログラム等の無体物
・商品や製品、業務用の設備や什器
地震保険建物、家財地震・噴火・津波による建物の火災、倒壊、埋没など・工場、事務所専用の建物など住居として使用されない建物
・1個または1組の価額が30万円を超える貴金属、宝石、骨董・通貨、有価証券(小切手、株券、商品券等)、預貯金証書、印紙、切手
・自動車

日本は地形やプレート、気象の関係から、海外に比べて火山活動や地震など自然災害が活発です。

また、アジアモンスーン域に位置していることから、梅雨や台風によって集中豪雨も頻回に発生する地域です。

近年発生した大地震や台風、大雨による水害などを教訓にして、自然災害に備えて水や食料などをあらかじめ準備する世帯も増えています。

火災保険や地震保険も同様です。

自然災害は、いつどこで発生してもおかしくありません。

損害保険料率算出機構2020年度版によりますと、火災保険契約者のうち、地震保険の付帯率の推移は以下の通りです。

【年度別】全国の火災保険契約者のうち地震保険付帯率の推移
201120162017201820192020
地震保険の付帯率53.7%62.1%63.0%65.2%66.7%68.3%

2011年に発生した東日本大震災以降、付帯率は10年間で14.4%上昇しています。

大地震を教訓に、日本国内でも地震対策への意識が高まりつつあることがうかがえます。

ペット保険

自宅で飼っている犬や猫などのペットがケガや病気で病院を受診した場合、人とは異なり原則自由診療です。

近年、ペットの寿命は延びておりますが、高齢化が進むと共にケガや病気が重症化して医療費が高額になるケースも。

更に高度な医療技術やチーム獣医療の普及に伴い、診療内容は多様化しています。

ペットの治療費を毎回全額自己負担していれば、家計にも影響を及ぼすことも。

そこで、少しでも負担軽減のために活用できるのが「ペット保険」です。

ペット保険に加入できるのは主に犬や猫ですが、商品によってはウサギや鳥、ハムスター、爬虫類なども加入できる場合もあります。

補償の対象は主に、保険加入後に発症した病気や見つかったケガに対する通院、入院、手術といった治療費です。

中には、歯科治療も補償範囲とした商品もあります。

ペット保険の補償は商品によって様々なため、病気やケガでも対象外となる疾患があることも。

例えば、小型犬が発症しやすい膝蓋骨脱臼(パテラ)という病気があります。

これは膝蓋骨という膝のお皿の部分が脱臼を起こしてしまうという疾患なのですが、膝蓋骨脱臼を補償の対象としている保険会社とそうでない保険会社があります。

小型犬と大型犬では発症しやすい病気も異なるため、ペットの種類からなりやすい病気を調べて保険に加入すると良いでしょう。

ペット保険の主な補償対象
補償対象補償対象外
・補償開始後に発症及び発見された病気やケガの治療費(通院、入院、手術など)・加入前に発症及び発見された病気やケガの治療費
・ワクチン等の予防接種費用・避妊、去勢手術費用など健康体に施した処置

<補償される例>

  • ペットの犬が遊んでいたおもちゃを誤飲したため手術で取り除いた
  • ペットの犬が皮膚病にかかり通院で治療した
  • ペットの猫がベランダから落ちて骨折したため入院、手術した

ペット保険の加入で注意したいのは、ペットの年齢や犬種で保険料が異なる点です。

特に犬は小型犬〜大型犬、更に犬種によっても細かく設定されていることがあります。

公式サイトでは犬種や年齢で保険料が自動計算される商品もあるため、事前に調べておくと安心です。

また、ペット保険は人間と同様、年齢が上がると病気やケガのリスクも上がるため、保険料も高くなる傾向があります。

商品によっては、新規加入の年齢制限を設けていることも。

目安は8歳11ヶ月、9歳に満たない年齢までに検討すると良いでしょう。

ペット保険にも免責金額がある

一般的な生命保険と同様、ペット保険にも免責金額があります。

免責金額とは、保険金を請求する時に発生する契約者が負担する自己負担額です。

例)補償割合70%、免責金額5,000円の場合

ケース①

治療費3,000円の場合

免責金額の範囲内のため、全額自己負担です。

ケース②

治療費15,000円の場合

(15,000円-5,000円)×70%=7,000円

となります。

保険会社によっては、治療費が免責金額を超えている場合は差し引かずにそのまま補償割合を掛けて保険金額を計算するところもあります。

ケース③

治療費15,000円で免責金額を差し引かない場合

15,000円×70%=10,500円

となります。

保険会社によって計算方法が異なるため、事前に確認しておくと良いでしょう。

保険の補償内容と固定費は定期的に見直しを

定期的な見直し。不要な補償の整理

保険の補償内容は、ライフスタイルの変化と共に見直すと良いでしょう。

年月が経つにつれ、家族が増えたり、自身の健康状態への不安が出てきたりと、状況が変化すると自ずと必要な補償も変わります。

生命保険や自動車保険など、一度加入すると安心してしまい、きっかけがないとそのままにしている方も多いのではないでしょうか。

家族の変化に合わせてライフプランを設定し、保険内容も平行して整理すると必要な商品と不要な補償が出てきます。

若いころに加入してそのままにしている保険はないか、独身時代に加入した補償内容は今の生活に合っているか、定期的に見直すことが大切です。

補償内容の重複がないように

様々な保険に入り内容が重複

ライフスタイルが変化すると共に、必要な保険も変わります。

「医療保険や死亡保障に入った上で、子どもの養育費のために学費保険も加入しよう」

「養老保険に入っておけば死亡しても生存していても満期でお金が受け取れて安心」

というように、不安を少しでも解消するために様々な保険を組み合わせて加入する方も多いのではないでしょうか。

しかし、補償内容が充実している生命保険ばかり選択した場合、内容によっては重複している可能性があります。

そうなると同じような保障に保険料を多く支払っていることになり、結果的に損をしていることも。

保険に加入する前に、一度内容を確認してみましょう。

上位互換の保険がないかチェック

上非互換の保険がないかチェック

生命保険や医療保険など、あらゆる保険に加入している場合、上位互換の保険がないかチェックしておくと良いでしょう。

上位互換とは、補償内容が充実した商品が、補償の少ないシンプルな商品の補償内容も含まれていることを指します。

こんな人は補償内容の重複に注意

  • 複数の生命保険に加入している
  • 医療保険と生命保険の両方に加入している
  • 火災保険と自動車保険の両方に加入している

ただし、保険の補償内容が重複しているからといって、どちらかしか支払われないというわけではありません。

重複加入があった場合の対応
保険の種類保険金・給付金の支払い
医療保険どちらの契約も支払われる
生命保険どちらの契約も支払われる
損害保険
(火災保険、地震保険、自動車保険など)
2つ合わせて被害額まで支払われる

医療保険と生命保険は保障内容が2つの契約で重複していたとしても、どちらからも保険金が支払われます。

一方、損害保険の場合、被害を受けた分だけの保険金が支払われる仕組みになっているため、支払われる保険金は2つを合算して被害額に達した分だけです。

ムダな保険は思い切って解約を

ライフステージに合わせて見直しを

保障内容が重複してしまっている、いわゆる「ムダな保険」は思い切って解約しましょう。

人間の本質として「損をしたくない」といった気持ちから、重複していると理解しつつ「念のためとっておこう」といった保守的な考え方に走ってしまうことも。

重複した内容であっても、万が一の際にどちらも支払われるのであれば良いかもしれませんが、高い保険料をムダに支払っているケースが大半です。

保険に加入して万が一起こるかもしれない未来に備えることも大切ですが、今の生活に必要な資金を確保することも同様です。

現在加入している保険は本当に必要か、ムダな保険はないかを今一度見直してみましょう。

まとめ

保険は生命保険や医療保険、損害保険と種類も多いため、今の自分や家族にとって本当に必要な保障が受けられるかを見極めるようにしましょう。

家族が増えることでライフプランも変化し、必要な資金も異なります。

万が一に備える生命保険から、将来に向けて資金を貯蓄する養老保険や学費保険、老後を充実させるための個人年金保険など、自身にとってどんな商品が必要かを考えてみましょう。

既に加入している保険は、現在でも十分な保障内容か定期的に見直すことも大切です。

家族で生命保険の話をするうちに、将来どういう風に生きていきたいか、どんな形で財産を残していきたいかといった意見交換もしやすくなります。

今後のライフプランを支えてくれる保険にはどんなものを選んだら良いのか、ぜひこの記事を参考にしてみてください。

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