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個人年金保険料控除とは?利用条件や手続きの方法および他の保険を紹介

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個人年金保険は、民間の保険会社が提供している保険商品の一種です。

保険料支払い期間終了後、一時金あるいは年金の形式で保険金を受け取れるもので、将来の生活資金などの確保を目的にして利用できます。

個人年金保険を利用する際は、本来の資金確保の目的に加えて、個人年金保険料控除が受けられます。

個人年金保険料控除とはどのような手続きかわからず、手続きを失念してしまっている人もいるかもしれません。

今回は、個人年金保険料控除とはどのような手続きであるのかを解説します。

保険料控除が利用できる条件や、具体的な手続きの方法などについても紹介します。

  • 個人年金保険料控除とは所得控除が受けられる処理
  • 個人年金保険料控除を受けるためには保険料払込期間など条件を満たす必要がある
  • 個人年金保険料控除には税負担軽減などの利点がある
  • 控除手続きを目当てにしないなど取り扱いの注意点もある
  • 年末調整あるいは確定申告を自身で行う必要がある
  • 保険料控除は個人年金保険以外でも受けられる

今回紹介する内容を参考にして、個人年金保険を上手に活用してください。

    1. この記事でわかること
  1. 個人年金保険料控除とは所得控除を受ける処理のこと
    1. 所得控除の処理により税金負担を軽減できる
    2. 上限が設定されているためすべての保険料が適用されるわけではない
    3. 旧制度と新制度の違いがある
      1. 両方の保険に加入している場合には保険料の金額により判断
    4. 個人年金保険料控除を適用した場合の計算例
  2. 個人年金保険料控除を受けるためには各種要件を満たす必要がある
    1. 年金受取人が契約者またはその配偶者
    2. 年金受取人が被保険者と同じ人
    3. 保険料の払込期間が10年以上の保険
    4. 年金受取開始が60歳以降かつ受取期間が10年以上であること
      1. 変額個人年金保険は対象外
  3. 個人年金保険料控除には利点が多い
    1. 税負担の軽減が図れる
    2. 老後の資金確保の目的で運用できる
    3. 生命保険など他の保険とは別枠で控除が受けられる
  4. 個人年金保険料控除において注意したいポイントもある
    1. 一括払いの場合は個人年金保険料控除の対象外
    2. 控除を目当てにして保障内容を決めない
  5. 個人年金保険料控除を受けるには自分で手続きを要する
    1. 保険会社からの生命保険料控除証明書が必要
    2. 会社員や公務員の場合は年末調整で処理される
    3. 自営業などの場合は確定申告を行う
      1. 会社員や公務員でも確定申告で手続きが可能
  6. 個人年金保険料控除の申請には生命保険料控除証明書が必須
    1. 生命保険料控除証明書には保険の内容が明記されている
    2. 受取方法は郵送かデータダウンロードが多い
    3. 毎年10月以降に受け取りが可能な保険会社が多い
  7. 所得税と住民税の税額計算の仕組みを理解しよう
    1. 所得税は年末調整および確定申告を実施して決まる
    2. 1年間の収入から経費と所得控除を差し引いて所得額を算出
    3. 所得額に所定の税率を乗じて算出
    4. 住民税は居住地の自治体が算出
  8. 個人年金保険とは老後資金の備えになる保険
    1. 公的年金と違い任意保険で加入は自由
    2. 個人年金保険は受け取り方によって主に3種類に分けられる
      1. 一定期間受け取り可能な確定年金
      2. 生存中所定の期間年金が受け取れる有期年金
      3. 生存中継続して年金が受け取れる終身年金
    3. 資金の運用方法では主に2種類に大別できる
      1. 受取年金保険額が確定している定額個人年金保険
      2. 運用成果によって受取額が変動する変額個人年金保険
    4. 外貨建ての個人年金保険という選択肢もある
  9. 個人年金保険の活用には多くの利点がある
    1. 貯蓄が苦手でも老後資金を計画的に準備できる
    2. 個人年金保険料控除が受けられる
    3. 健康状態に不安があっても利用できる可能性が高い
  10. 個人年金保険の利用には注意しておきたい欠点もある
    1. 解約の時期によっては元本割れする可能性がある
    2. インフレリスクがある
    3. 受取年金は課税対象になる
  11. 個人年金保険の選び方
    1. 老後に必要な資金を試算して判断する
    2. 年金の受取期間や受取方法を確認する
    3. 年金保険料の払込方法を検討する
    4. 公的年金を補う目的での利用を想定する
  12. 個人年金保険料控除が受けられる保険商品9選
    1. 明治安田生命/明治安田の長期運用年金は年金増加の可能性と最低保証が両立している
    2. フコク生命/みらいプラスは加入年齢や性別にかかわらず保険料が一律
    3. 住友生命/たのしみワンダフルは保険料の金額次第で割引が受けられる
    4. 日本生命/ニッセイみらいのカタチ年金保険は受取条件を自由に変更できる
    5. 三井住友海上あいおい生命/&LIFE個人年金保険は契約者配当金の制度がある
    6. 太陽生命/個人年金保険は月額5,000円からスマホで始められる
    7. マニュライフ生命/こだわり個人年金(外貨建)は外貨運用による高い利回りが期待できる
    8. プルデンシャルジブラルタファイナンシャル生命保険/そだてる年金USは米ドル建ての運用ができる
    9. 三井住友海上プライマリー生命保険/あしたも充実2は自由度の高い外貨建て商品
  13. 個人年金保険料控除以外の保険料控除などもある
    1. 生命保険の支払いに適用される一般生命保険料控除
    2. 医療保険などの支払いに適用される介護保険料控除
    3. 地震保険の支払いに適用される地震保険料控除
    4. 個人負担の社会保険料支払いに適用される社会保険料控除
    5. iDeCoの支払いなどに適用される小規模企業共済等掛金控除
  14. 個人年金保険に加入する前に公的年金について理解しよう
    1. 国民年金と厚生年金の2段階の内容で構成
    2. 被保険者は働き方によって3種類に分類できる
      1. 国民年金のみに加入する第1号被保険者
      2. 厚生年金にも加入する第2号被保険者
      3. 第2号被保険者に扶養されている配偶者の第3号被保険者
  15. 公的年金を受け取れるのは3つのパターンがある
    1. 老後の生活資金となる老齢年金
      1. 老齢基礎年金は国民年金加入者が対象
      2. 厚生年金加入者が対象の老齢厚生年金
      3. 付加年金や国民年金基金で受取年金額を上乗せできる
      4. 老齢年金で受け取れる金額を知っておこう
      5. 受取時期の繰り上げや繰り下げが可能
    2. 病気やケガが原因で障害認定を受けた場合に受け取る障害年金
      1. 障害基礎年金と障害厚生年金で対象範囲が異なる
      2. 障害年金の受け取りには3つの要件を満たす必要がある
      3. 障害年金として受給できる金額を知っておこう
    3. 年金加入者の家族を支えるための遺族年金
      1. 遺族基礎年金と遺族厚生年金が用意されている
      2. 遺族年金として受け取れる年金額を把握しよう
      3. 子どものいない配偶者に対する死亡一時金と寡婦年金
    4. ねんきん定期便で自分の年金関連情報を確認できる
  16. 個人年金保険料控除をもれなく活用して税負担を減らそう

個人年金保険料控除とは所得控除を受ける処理のこと

個人年金保険料控除とは、所得控除を受ける処理のことです。

1年間の支払保険料の金額によって、所定の計算に基づいて所得額を減らせます。

日本では、年末調整あるいは確定申告をして、1年間の所得から所得税額を算出する処理が義務付けられています。

個人年金保険料控除により、所得の金額を減らして税負担を抑える効果が得られるため、漏れなく行うのがよいでしょう。

個人年金保険料控除の詳細について、以下の4点を中心に解説します。

  • 所得控除の処理により税金負担を軽減できる
  • 上限が設定されているためすべての保険料が適用されるわけではない
  • 旧制度と新制度の違いがある
  • 個人年金保険料控除を適用した場合の計算例

個人年金保険の契約をする前に、控除手続きとはどのようなものであるかを理解しておきましょう。

所得控除の処理により税金負担を軽減できる

個人年金保険料控除の実施により、所得控除が受けられます。

その結果、税金の負担が軽減され、納税額を抑えられます。

所得税の計算は、収入から経費や控除できる金額を差し引いて算出された所得に、一定の税率をかけるのが一般的な方法です。

保険料控除は所得控除できる項目として認められており、所得税を抑える効果があります。

さらに、所得税の計算に伴って住民税の納税も同時に行われるので、所得税と住民税両方で節税効果が期待できます。

保険商品によって、個人年金保険料控除に利用できるものとできないものがあるため、契約前に確認しておくとよいでしょう。

保険会社に問い合わせをすると、個人年金保険料控除に利用できる保険かどうかを回答してもらえます。

上限が設定されているためすべての保険料が適用されるわけではない

個人年金保険として支払った保険料の全額すべてが、個人年金保険料控除に利用できるわけではありません。

保険料控除として処理できる金額には上限が設定されているため、保険料全額を控除できない場合があります。

上限額を超過して支払った保険料は、いくら支払っても控除額に影響を及ぼさない点は理解しておきましょう。

上限額や控除額の計算方法は、保険加入を行った時期により異なります。

個人年金保険は、加入時期によって旧制度と新制度の2種類に分けられ、控除の計算方法に違いがあります。

旧制度と新制度の違いについては、以下で解説しますので参考にしてください。

旧制度と新制度の違いがある

個人年金保険には、旧制度と新制度の違いがあります。

2011年に発表された税制改正により、民間の保険に関する見直しが実施されました。

2012年12月31日以前に契約した各種保険は旧制度に、2013年1月1日以降に契約した場合は新制度に区分されます。

税制改正の内容の要点は、旧制度においては一般生命保険であったものを、内容により一般生命保険と介護医療保険に分類した点です。

個人年金保険に関しては、内容の変更はありません。

生命保険料控除の計算方法は、以下のとおりです。

<新制度:所得税>

年間支払保険料個人年金保険料控除額
2万円以下払込保険料全額
2万円超~4万円以下払込保険料÷2+1万円
4万円超~8万円以下払込保険料÷4+2万円
8万円超一律4万円

<新制度:住民税>

年間支払保険料個人年金保険料控除額
12,000円以下払込保険料全額
12,000円超~32,000円以下払込保険料÷2+6,000円
32,000円超~56,000円以下払込保険料÷4+14,000円
56,000円超一律28,000円

<旧制度:所得税>

年間支払保険料個人年金保険料控除額
25,000円以下払込保険料全額
25,000円超~5万円以下払込保険料÷2+12,500円
5万円超~10万円以下払込保険料÷4+25,000円
10万円超一律5万円

<旧制度:住民税>

年間支払保険料個人年金保険料控除額
15,000円以下払込保険料全額
15,000円超~4万円以下払込保険料÷2+7,500円
4万円超~7万円以下払込保険料÷4+17,500円
7万円超一律35,000円

保険料全額控除をできる範囲は限られており、一定額を超過すると一律の控除料金が適用される点を押さえておきましょう。

両方の保険に加入している場合には保険料の金額により判断

複数の個人年金保険に加入し、かつ旧制度と新制度の両方の保険が含まれている場合は、それぞれの保険料の金額により判断します。

旧制度と新制度の保険それぞれで控除額を算出し、合算したうえで上限4万円とするのが基本的な考え方です。

一方、旧制度単体で控除額上限の5万円に達している場合は、旧制度の5万円が採用されます。

複数の個人保険契約をしている人は、新旧の区分を確認して上限額を算出する必要があります。

計算が複雑になるため、あらかじめ計算をしておいて上限額をつかんでおくとよいでしょう。

個人年金保険料控除を適用した場合の計算例

個人年金保険料控除を適用した場合の計算を、具体的な数字を例示して解説します。

年収:500万円(所得税率10%、住民税率10%として)
個人年金の年間支払保険料:50,000円

所得税における所得控除額:50,000÷4+20,000=32,500円
控除額に対する所得税額:32,500×10%=3,250円
住民税における所得控除額:50,000÷4+14,000=26,500円
控除額に対する住民税額:26,500×10%=2,650円

以上の結果、軽減できる税金額は5,900円(3,250+2,650)となります。

手続きを怠ると得られない税制面の優遇であるため、もれなく処理するように心がけましょう。

個人年金保険料控除を受けるためには各種要件を満たす必要がある

個人年金保険料控除を適用して税制面での優遇を受けるためには、一定の要件を満たす必要があります。

個人年金保険料を支払えば誰でも所得控除が受けられるわけではなく、定められたいくつかの条件を満たさないといけません。

所得控除を受けられるかどうかは、保険契約をする際に決まるため、契約時に慎重に内容を精査して確認する必要があります。

個人年金保険料控除を受けるには、個人年金保険料税制適格特約のある保険への加入が必要です。

個人年金保険料税制適格特約への加入が認められる要件を、以下に4点紹介します。

  • 年金受取人が契約者またはその配偶者
  • 年金受取人が被保険者と同じ人
  • 保険料の払込期間が10年以上の保険
  • 年金受取開始が60歳以降かつ受取期間が10年以上であること

保険料控除ができるかどうか判断が難しい場合は、保険契約時に担当者に確認するとよいでしょう。

年金受取人が契約者またはその配偶者

個人年金保険の年金受取人が、契約者あるいはその配偶者でないと、保険料控除を受けられません。

個人年金保険に加入する際は、満期保険金である年金の受取人を設定する必要があります。

一方、契約者とは保険契約をする際に設定するもので、保険の契約を締結し保険料を負担する人のことです。

個人年金保険料控除を受けるためには、この年金受取人と契約者が同一である必要があります。

契約者の配偶者が年金受取人である場合も、保険料控除が適用されます。

子や兄弟など家族であったとしても、年金受取人が本人または配偶者以外の場合には保険料控除が受けられない点は理解しておきましょう。

年金受取人が被保険者と同じ人

個人年金保険の年金受取人が、被保険者と同一人物でないと、個人年金保険料控除を受けられません。

被保険者とは、保険の対象となっている人のことで、個人年金保険においては年金開始年齢を設定している人のことです。

個人年金保険の契約時に、契約者と被保険者および年金受取人の三者を設定します。

被保険者と年金受取人を同一にするケースが一般的ですが、異なる人に設定するのも可能です。

たとえば、契約者と被保険者を夫に、年金受取人を妻にする家庭も多いでしょう。

被保険者と年金受取人を別人にした場合は、個人年金保険料控除が適用されず、一般生命保険料控除の対象となる点は理解しておきましょう。

保険料の払込期間が10年以上の保険

個人年金保険料税制適格特約への加入が認められるには、保険料の払込期間が10年以上である必要があります。

個人年金保険の保険料払込期間は、原則的に契約者側の判断で任意設定が可能です。

数年で払い込みを終える契約にするのも可能ですが、10年未満の期間に設定した場合は保険料控除が受けられません。

年金保険の場合は、商品によって払込可能年齢が65歳までなど年齢制限が設けられているケースもあるため、契約年齢が遅いと保険料控除が不可能となり得ます。

個人年金保険料控除を受けながら保険契約を継続したい場合は、払込期間を考慮する必要があります。

年金受取開始が60歳以降かつ受取期間が10年以上であること

個人年金保険料控除を受ける条件として、年金受取開始の年齢と受取期間も考慮されます。

年金受取開始の年齢が60歳以降で、かつ年金の受取期間が10年以上であるのが条件です。

年金の受け取りを開始する年齢や年金受取期間は、契約者の任意で決められます。

個人年金保険料控除を受けたい場合は、契約時に受取開始年齢と年金受取期間に配慮しましょう。

実際に満期保険金を受け取る際は、一時金での受け取りでも問題ありません。

契約時に条件を満たしている場合は、保険金の受取方法に関係なく保険料控除が受けられます。

変額個人年金保険は対象外

個人年金保険料控除は、変額個人年金保険は対象外です。

個人年金保険には、資金の運用方法によって以下の2種類に分類できます。

  • 定額年金
  • 変額年金

定額年金は、契約時に保険会社が定めた予定利率によって運用する保険であるため、将来受け取る年金額が確定するのが特徴です。

一方、変額年金は積立金を株や債券など運用商品によって運用し、高い利回りを狙います。

運用成績によって受け取る年金額が変動するのが特徴で、将来の年金額が大幅に増える可能性がある反面、元本割れしてしまうリスクもあります。

変額個人年金保険は、個人年金保険料控除の対象外であり、一般生命保険料控除の対象です。

個人年金保険料控除には利点が多い

個人年金保険料控除の適用には、多くの利点があります。

条件を満たした年金保険に加入した場合は、漏れなく実施するほうがよいでしょう。

中には、保険料控除の手続きを忘れてしまっている人もいるかもしれません。

個人年金保険料を支払った年度には、保険料控除の手続きが必要であると認識するのが大切です。

個人年金保険料控除の利点として、主なものを以下に3点紹介します。

  • 税負担の軽減が図れる
  • 老後の資金確保の目的で運用できる
  • 生命保険など他の保険とは別枠で控除が受けられる

以上の利点を十分理解して、税制優遇制度を最大限活用してみてください。

税負担の軽減が図れる

個人年金保険料控除を適用すると、手続きを行った年度の税負担の軽減が図れます。

前述のとおり、保険料控除の手続きにより所得税と住民税の納税額を減らす効果が得られます。

個人年金保険の利回りは、契約期間中一貫して、契約時の予定利率によって決定するのが一般的です。

そのため、低利率のタイミングで契約をした場合には運用商品としての魅力が薄れてしまいます。

一方、保険料控除による所得税と住民税の軽減効果は、税制が改正されない限りは保険契約期間中一貫して継続するのが特徴です。

確実に節税効果が得られるのに加え、総所得が増加して所得税率が高くなった場合に得られる節税効果は増加します。

たとえば、保険料控除を4万円得られていた人が、所得税率が10%から20%に増加した場合は、所得税の減額が4,000円から8,000円に増えます。

安定した税負担軽減効果は、個人年金保険料控除の利点といえるでしょう。

老後の資金確保の目的で運用できる

個人年金保険料は、老後の資金確保という明確な目的をもって運用できる保険商品です。

中には、個人年金保険料控除が受けられる点に魅力を覚え、保険加入を決める人も多いでしょう。

加入のきっかけは人それぞれですが、運用を続けた結果、現金や預貯金で貯蓄するよりも老後の生活資金としての認識を持つケースが多いです。

個人年金保険には、受取開始から10年や15年といった一定期間年金を受け取るタイプがある一方で、一生涯年金受け取りが継続する終身タイプもあります。

終身タイプの場合は、支払保険料が高い欠点があるものの、一生涯収入が確保される点において将来の経済的な不安を解消できる保険商品です。

老後の資金に不安を覚える人には、保険料控除を受けながら資金準備ができる個人年金保険が向いています。

生命保険など他の保険とは別枠で控除が受けられる

個人年金保険料控除は、一般生命保険など他の保険とは別枠で保険料控除が受けられます。

保険料控除には、個人年金保険料控除以外に以下の2種類の制度が設けられています。

  • 一般生命保険料控除
  • 介護保険料控除

いずれも民間の保険に加入すると適用される所得控除のルールで、3つの組み合わせが可能です。

3種類の保険料控除の合計で、最大12万円の所得控除を受けられます。

3種類のうちどれか1種類の保険に偏るのではなく、すべてをまんべんなく利用すると税制面の優遇を最大限得られます。

保険への加入を検討する際には、保険で得られる保障を確認しながら行うのが一般的です。

加えて、所得控除を最大限に得られるように考慮すると、税負担を最大限に抑えて結果的に運用成果を高められるでしょう。

個人年金保険料控除において注意したいポイントもある

個人年金保険料控除は、以上のように税負担の軽減や老後資金の確保などいくつかの利点があります。

保険付保に加えて保険料控除を行えるのは、効率のよい活用方法です。

一方で、個人年金保険料控除を行う際に注意しておきたいポイントも存在します。

利点ばかりではなく、理解しておきたい注意点もあるため、利用する前に把握しておくとよいでしょう。

個人年金保険料控除を利用する際に注意したいポイントを、以下に2点紹介します。

  • 一括払いの場合は個人年金保険料控除の対象外
  • 控除を目当てにして保障内容を決めない

個人年金保険料控除を最大限に利用するため、注意点について理解したうえで手続きをするのがよいです。

一括払いの場合は個人年金保険料控除の対象外

個人年金保険の支払いであっても、保険料を一括で支払う形式の場合には、個人年金保険料控除の対象となりません。

前述のとおり、個人年金保険料控除が適用される要件の1つに、保険料の払込期間が10年以上というものがあります。

一括払いの場合には保険料支払期間が条件を満たしていないため、個人年金保険料控除の対象外です。

一方、個人年金保険料控除の適用が認められないものの、一般生命保険料控除は受けられます。

一般生命保険料控除が適用されるのは保険料を支払った初年度のみであるため、個人年金保険料控除のように長期的な利点が得られない点は理解しておきましょう。

個人年金保険料控除を受けたい場合は、支払方法についても注意して契約する必要があります。

控除を目当てにして保障内容を決めない

個人年金保険に加入する際は、控除を目当てにして契約しないようにします。

個人年金保険料控除は、税制面で利点が得られる手続きです。

しかし、保険料控除を目当てにして保障内容を決めるのは本末転倒といえます。

年金保険に限らず各種保険は、もしもの時に備えたり、将来の資金準備をしたりするなどそれぞれの目的をもって加入するのが大切です。

保障内容は、保険会社や商品によってさまざまなものがあります。

保険の加入を決める際は、保障内容を中心に考え、保険料控除は付随する利点と考えるのが一般的です。

個人年金保険料控除が適用されないのを理由に、理想的な保険の契約を中止するのは避けましょう。

ほぼ同じ内容の保険で迷っている場合には、有利に保険料控除が受けられるほうを選択するのは得策です。

個人年金保険料控除を受けるには自分で手続きを要する

個人年金保険の契約をしたのちに、保険料控除を受けるためには自分で手続きをする必要があります。

保険契約を行ったからといって、自動的に保険料控除が受けられるわけではありません。

個人年金保険料控除の手続きは、会社員と自営業など事業形態によって違いがあります。

保険料控除の手続きについて把握するには、自分が働いている形態を確認して正しい方法の理解が必要不可欠です。

個人年金保険料控除の手続きについて、以下の3点を中心にして解説します。

  • 保険会社からの生命保険料控除証明書が必要
  • 会社員や公務員の場合は年末調整で処理される
  • 自営業などの場合は確定申告を行う

保険契約をした際は、確実に保険料控除が適用されるよう、手続き方法を理解するとともに失念しないように対応する必要があります。

保険会社からの生命保険料控除証明書が必要

個人年金保険料控除を始めとした保険料控除を受けるには、保険会社から生命保険料控除証明書を受領する必要があります。

保険会社は、保険契約者に対して毎年10月頃に生命保険料控除証明書を発行します。

生命保険料控除証明書とは、当該1年間に支払った保険料が明記され、保険料控除を受けられる金額が証明された書類のことです。

10月頃に発行されるため、保険契約を年末まで継続するのを前提として、予定額を証明額とします。

従来では、保険契約時に申告した住所に書面で郵送されるのが一般的ですが、近年はインターネット経由でダウンロードする形式が増えてきました。

証明書には、一般生命保険や介護保険および個人年金保険など、適用される控除の種類も明記されています。

郵送などで生命保険料控除証明書を受領した際は、紛失しないように大事に保管しておきましょう。

会社員や公務員の場合は年末調整で処理される

会社員や公務員など、企業や行政に雇用されている人は、年末調整の手続きで処理されるのが一般的です。

年末調整とは、雇用側が労働者の1年間の所得および納税額を確定させる手続きのことを指します。

会社員や公務員は、勤務先から求められる年末調整用の書類を記入し、生命保険料控除証明書を添付して提出します。

年末調整においては、雇用側は労働者本人の収入金額を把握しているため、扶養状況などの所定の項目を確認するのが一般的です。

雇用側の確認事項の中に、保険料控除の適用可否も含まれています。

雇用側から確認を求められるため、保険料控除の手続き忘れは少ないといえるでしょう。

しかし、生命保険料控除証明書の紛失などがあると手続きできないため、忘れずに保管しておくのが大切です。

自営業などの場合は確定申告を行う

一方、自営業など何らかの団体との雇用契約がない人は、確定申告の際に手続きを行う必要があります。

確定申告とは自営業の人が行う手続きで、1年間の所得金額および所得税納税額を算出し、自ら所轄の税務署に申告する手続きのことです。

自営業者のみでなく、年末調整のみで手続きを終えられないなど、何らかの理由のある会社員や公務員も確定申告を実施します。

1年間の収入および所得から所得税額を算出し、その内容を確定申告書に記載して税務署に提出します。

個人年金保険料控除を受ける際は、作成した確定申告書に生命保険料控除証明書の添付が必要です。

オンラインで申告をするe-taxを選択している場合は、生命保険料控除証明書の提出は不要ですが、5年間の書類保管が求められます。

一般的に、自営業の人は確定申告の際に提出が必要であると認識しておくとよいでしょう。

会社員や公務員でも確定申告で手続きが可能

会社員や公務員など被雇用者の場合でも、確定申告の実施により保険料控除の適用が受けられます。

前述のとおり、会社員や公務員は年末調整時に保険料控除の手続きをするのが一般的です。

しかし何らかの理由で生命保険料控除証明書の発行が間に合わなかったり、年末調整時に手続きを失念してしまったりした場合には、確定申告を実施すると保険料控除の適用が受けられます。

寄付金控除や医療費控除など、年末調整では雇用側に処理してもらえない手続きがある場合には、保険料控除もまとめて確定申告で処理する人もいるでしょう。

年末調整でも確定申告でも、どちらで保険料控除の処理をしたとしても結果的には同じです。

被雇用者であったとしても、年末調整にこだわらず確定申告を実施するのは問題ありません。

状況に応じて、保険料控除の手続き方法を選択してください。

個人年金保険料控除の申請には生命保険料控除証明書が必須

前述のとおり、個人年金保険料控除をはじめ保険料控除の申請をするには生命保険料控除証明書を用意する必要があります。

生命保険料控除証明書は、保険契約を保有している保険会社が発行する書類で、原則的には再発行ができない貴重な書類です。

書類の形式はハガキや封書など保険会社によってさまざまあり、初めて受け取る人の場合は見過ごしてしまうかもしれません。

個人年金保険料控除を確実に受けるために、保険契約を行った年度には取得する書類を意識して確認するほうがよいでしょう。

生命保険料控除の詳細について、以下の3点を中心に解説します。

  • 生命保険料控除証明書には保険の内容が明記されている
  • 受取方法は郵送かデータダウンロードが多い
  • 毎年10月以降に受け取りが可能な保険会社が多い

書類の内容や受取時期について理解しておくと、見過ごす恐れを減らせて安心です。

生命保険料控除証明書には保険の内容が明記されている

生命保険料控除証明書には、契約した保険の内容が詳細に明記されています。

証明書の形式は保険会社によってそれぞれ異なりますが、基本的に記載されている内容は同一です。

生命保険料控除証明書に記載されている内容を、以下にまとめますので参考にしてください。

  • 保険種類:加入している保険商品の名称
  • 契約日:加入している保険を契約した日
    (契約日によって新制度または旧制度の対象の判別を行う)
  • 控除の区分:加入している保険商品がどの控除区分に該当するのか
    (一般生命保険、介護保険、個人年金保険など)
  • 払込保険料:毎月の払込保険料および証明書発行時点の支払い済金額に加え1年間に払い込む予定の保険料が明記される

保険料控除で申告する金額は、払込保険料のうち1年間に払い込む予定になります。

以上の他、保険会社や保険商品によっては以下の内容が記載される場合もあります。

  • 保険期間
  • 配当の有無
  • 保険料払込方法

以上のとおり、生命保険料控除証明書には保険料控除の手続きに必要な情報が網羅されています。

受取方法は郵送かデータダウンロードが多い

生命保険料控除証明書の受取方法は、郵送あるいはデータのダウンロードの形式が一般的です。

以前は郵送による書類発送のみでしたが、近年はダウンロードの形式を採用する保険会社が増えてきています。

保険会社によっては、郵送による書類発送あるいはデータダウンロードを選択できる形式としているケースも多いため、契約している保険会社に確認するとよいでしょう。

データダウンロードの形式の場合、PDFデータを印刷して年末調整時に勤務先に提出あるいは確定申告書への添付が一般的です。

一方、近年は電子データのまま提出できる仕組みが用意されています。

年末調整の場合は勤務先に電子データで提出し、確定申告の場合はe-taxを用いて電子データを送付する形式での対応が可能です。

e-taxを用いない場合や、勤務先が電子形式での証明書受け取りに対応していない場合は、書面での準備が必要となります。

毎年10月以降に受け取りが可能な保険会社が多い

生命保険料控除証明書は、前述のとおり毎年10月以降に受け取れるケースが多いです。

郵送の場合は登録している住所に直接届き、データダウンロードの場合は保険会社から10月頃にダウンロード可能の旨の連絡が来ます。

証明書の発行時期は、保険会社や保険への加入時期および保険料の払込方法などによって違いがあるため、不安に思う人は加入した保険会社に問い合わせるとよいでしょう。

引っ越しなどで住所が変更になっている場合、保険会社に連絡をしておかないと生命保険料控除証明書が届かない恐れがあります。

証明書が発行される時期を迎える前に、住所をはじめ登録内容を確認しておくのがよいです。

データダウンロードの場合も、連絡を受けるために登録したメールアドレスが受信可能となっているか確認しておきます。

場合によっては迷惑メールに振り分けられている可能性もあるため、十分に確認するのがよいです。

所得税と住民税の税額計算の仕組みを理解しよう

個人年金保険料控除により、税制面での優遇が受けられる点は前述のとおりです。

保険料控除を実行すると、所得税と住民税において節税効果が得られます。

個人年金保険料控除の手続きにより、具体的にどのような流れで節税効果を得られるのかを理解するには、年末調整および確定申告の内容について理解する必要があります。

年末調整や確定申告について理解が深まると、保険料控除のみでなく他の税務関連の処理にも活かせるでしょう。

所得税および住民税の税額計算において、以下の4点に焦点を当てて解説します。

  • 所得税は年末調整および確定申告を実施して決まる
  • 1年間の収入から経費と所得控除を差し引いて所得額を算出
  • 所得額に所定の税率を乗じて算出
  • 住民税は居住地の自治体が算出

以下の内容を参考にして、所得税や住民税が決定される仕組みについて把握し、その中での保険料控除の効果について理解を深めてみてください。

所得税は年末調整および確定申告を実施して決まる

所得税は、年末調整あるいは確定申告の実施により算出され決定されます。

そもそも所得税とは、1月1日から12月31日までの1年間の所得に対して課せられる税金のことです。

獲得した所得に対して所得税の納税を行うのは、日本国民としての義務として定められています。

前述のとおり、会社員や公務員は年末調整によって、自営業などは確定申告によって1年間の所得および所得税額を確定させます。

自営業などの場合は確定申告を行い自分で納税を行う一方で、会社員や公務員は勤務先である企業や団体が従業員への給料支払時に源泉徴収を実施し、代理で納税を行うのが一般的です。

源泉徴収は毎月の給料支給時に実施され、年末調整により年間での納税額を確定させます。

そのため、場合によっては年末調整を実施する最後の給料支給時に所得税の還付を受けるケースも多いです。

1年間の収入から経費と所得控除を差し引いて所得額を算出

当該年度の所得額を算出するためには、1年間の年収から各種経費および所得控除を差し引く必要があります。

各種経費とは、事業を遂行するために要した費用のことです。

事業主の場合は、販売用商品の仕入代や交通費および各種備品代などが該当します。

会社員や公務員の場合は、給与所得控除額と呼ばれる年収額に連動する金額を費用として差し引きが可能です。

収入から差し引きできる所得控除には、さまざまなものがあります。

保険料控除以外では、以下のようなものが該当します。

  • 基礎控除
  • 配偶者控除
  • 扶養控除
  • 寄付金控除
  • 医療費控除

以上のような経費と所得控除を差し引いて残った金額が所得となり、所得税計算の根拠となります。

所得額に所定の税率を乗じて算出

以上のように算出された所得に対して、所定の税率を乗じて所得税が算出されます。

所得から所得税を算出する際の計算方法は、以下のとおりです。

所得金額税率控除額
1,000~1,949,000円5%0円
1,950,000~3,299,000円10%97,500円
3,300,000~6,949,000円20%427,500円
6,950,000~8,999,000円23%636,000円
9,000,000~17,999,000円33%1,536,000円
18,000,000~39,999,000円40%2,796,000円
40,000,000円~45%4,796,000円

*2025年1月現在
*2037年までは上記税額に復興特別所得税(原則基準所得税額の2.1%)が加算

所得金額が増すごとに税率も高くなるため、税負担を抑えるには可能な限り所得控除を行って所得額を減らすのが大切です。

住民税は居住地の自治体が算出

住民税の場合は、居住地の自治体が算出して納税通知書および納付書が個人に対して発行される流れが一般的です。

自治体は、各個人の確定申告の情報を税務署と共有しています。

会社員や公務員の場合は、雇用側の会社や団体が各自治体に給与支払報告書という書類を発行します。

以上により、各自治体は住民の所得が把握できるため、住民税の計算が可能です。

そのため、各個人が居住地の自治体に申告などを行う必要はありません。

納税方法は、会社員の場合は所得税と同様、会社側が源泉徴収を行い代理で納税を行うのが一般的です。

各自治体から会社に対して、各従業員の税額が記載された納税通知書が送付されるため、源泉徴収する金額がわかります。

事業主の場合は、納税通知書とともに納付書が届き、自分で納付する必要があります。

個人年金保険とは老後資金の備えになる保険

個人年金保険とは、主に老後における生活資金を備えるために利用される保険商品のことです。

民間の保険会社が提供している保険商品で、現在数々の保険会社がそれぞれの特徴を打ち出した商品があります。

個人年金保険には、受取方法や受取期間などによりいくつかの種類があります。

個人年金保険を利用する際は、商品ごとの違いや特徴を理解して、自分の生活や目的に見合ったものを選ぶのが大切です。

個人年金保険の特徴について、以下4点の内容を解説します。

  • 公的年金と違い任意保険で加入は自由
  • 個人年金保険は受け取り方によって主に3種類に分けられる
  • 資金の運用方法では主に2種類に大別できる
  • 外貨建ての個人年金保険という選択肢もある

個人年金保険に関する理解を深めて、利用するかどうか決めてみてください。

公的年金と違い任意保険で加入は自由

個人年金保険は、公的年金とは異なり任意保険であるため、契約者が自由に加入するかを決められます。

公的年金とは、国の政策により加入が義務付けられているもので、老後や障害の備えとして用意されている制度です。

一方、個人年金保険は民間の保険会社が管理運営する保険商品であり、任意で加入できます。

主に老後の生活資金の備えである点も、公的年金とは異なります。

現在の生活状況においては、公的年金のみでは十分な生活資金を確保できない場合も多いです。

将来の生活資金に不安を覚える人が、個人年金保険を利用して将来に備えるケースは増えてきています。

個人年金保険は受け取り方によって主に3種類に分けられる

個人年金保険は、年金保険額の受け取りの方法によって主に以下の3種類に分類できます。

  • 一定期間受け取り可能な確定年金
  • 生存中所定の期間年金が受け取れる有期年金
  • 生存中継続して年金が受け取れる終身年金

加入する個人年金保険を決める際は、自分の希望する運用方法に見合った商品を選ぶ必要があります。

特に、年金の受け取り方は商品の特徴を左右する重要な要素であるため、慎重な検討が肝要です。

以下で、3種類の年金保険の特徴について解説するので、加入する保険商品を選ぶ際の参考にしてください。

一定期間受け取り可能な確定年金

確定年金は、被保険者の生死にかかわらず、一定期間年金が受け取れる保険です。

年金保険の受け取りが開始してから、年金受取期間が終了するまでの間に被保険者が亡くなった場合は、被保険者の遺族に残りの年金が支払われます。

継続して年金の形式で受け取るか、一時金として支給されるのかは、保険商品によって異なります。

年金の受取期間は、5年や10年および15年などから選択するケースが多いです。

公的年金の支給開始のタイミングとの関連を考慮しながら、希望の時期に決まった金額の年金が受け取れるタイプの保険であるため、計画的な資産運用に適しています。

生存中所定の期間年金が受け取れる有期年金

有期年金とは、契約時に定めた期間中に年金が受け取れる保険商品のことです。

契約時に定めた期間において受取年金が保証されていますが、期間の途中で被保険者が亡くなった場合は、その時点で支給が止まります。

遺族に対しての保険金支払いも行われないのが、確定年金との違いです。

被保険者が亡くなった場合に保険金支給が止まるため、その分支払保険料が安く抑えられている商品が多くみられます。

一方、保険商品によっては保険期間中に被保険者が亡くなっても、遺族が一定期間の保険金を受け取れる場合もあります。

有期年金は、契約時に定めた一定期間に限定して年金保険を受け取りたいと考える際に適した保険商品です。

生存中継続して年金が受け取れる終身年金

終身年金とは、被保険者が生存中は継続して年金保険の受け取りができる保険商品のことです。

被保険者が生存している限り、ずっと保険金が受け取れるため、保障内容が手厚い保険といえるでしょう。

保障が手厚い分、確定年金や有期年金よりも支払保険料が高く設定されているケースが多いです。

年金の受け取りが始まってから被保険者が亡くなった場合は、年金保険の支給が止まります。

被保険者の遺族に対しても、支払いは行われません。

一方、保険商品によっては被保険者が亡くなった後、一定期間遺族に保険金が支払われるタイプのものもあります。

終身年金は、生存中の生活資金を永続的に確保したいと考える人に適した保険です。

資金の運用方法では主に2種類に大別できる

個人年金保険は、上記のような受取方法による分類に加え、保険料として支払った資金の運用方法においても分類ができます。

個人年金保険は、支払った保険料に保険会社による運用益が上乗せされて年金保険金を受け取るのが一般的です。

保険会社が契約者から受け取った保険料を運用する際の考え方によって、以下の2種類に分類できます。

  • 受取年金保険額が確定している定額個人年金保険
  • 運用成果によって受取額が変動する変額個人年金保険

個人年金保険を利用する目的や、生活資金の状況を考慮して、自分に見合った種類を選ぶのが大切です。

受取年金保険額が確定している定額個人年金保険

定額個人年金保険は、将来受け取れる年金保険の金額が確定している保険商品です。

契約時点で返戻率および利回りが約束されている年金保険であるため、資金の計画が正確に立てられます。

個人年金保険料控除が受けられるなど、利点の多いのも特徴です。

一方、保険商品としての利回りは市場の動向などさまざまな要因を加味して決定されます。

低金利の時代においては、利回りが低く設定されているケースが多いため、返戻率が悪い商品が多いです。

保険料支払期間の途中で解約した場合は、解約返戻金を受け取れるものの、元本割れする可能性が高い点も理解しておく必要があります。

定額個人年金保険は、将来受け取れる年金額を確実に確保したい人に適した商品といえるでしょう。

運用成果によって受取額が変動する変額個人年金保険

変額個人年金保険は、保険会社の運用成果によって年金保険金の受取金額が変動する保険商品です。

変額個人年金保険は、投資信託と年金保険が合わさったような性質を持っています。

保険会社の運用結果によっては、将来的に年金を受け取る時点で元本割れしてしまうリスクがあります。

しかし、大きな利回りを得られた場合は高い返戻率で年金が受け取れる可能性がある商品です。

投資信託とは異なり、運用の結果還元される利益は付加税の扱いとなります。

通常、資産運用を行って得た利益には所得税などの税負担が発生しますが、年金保険で得た利益は非課税扱いです。

変額個人年金保険は、支払った保険料を大きく超えた返戻率の高い商品を探している人に適しています。

外貨建ての個人年金保険という選択肢もある

個人年金保険の保険料を外貨建てで支払いする、外貨建て個人年金保険もあります。

保険料を外貨建てで算出された金額を支払う商品で、為替相場の影響により支払う保険料の金額が変動するのが特徴です。

日本円の金利よりも外貨の金利のほうが高い場合は、相対的に保険料が割安になるケースが多くなります。

外貨建て個人年金保険は、ベースが外貨であるため為替相場の変動によっては支払う保険料が高くなったり、受け取る年金額が下がってしまったりするリスクがあります。

一方、為替相場の影響によっては高額の利回りを得られる可能性のある商品です。

外貨建て個人年金保険は、一定のリスクがあったとしても高い返戻率を狙いたいと考える人に適した個人年金保険といえるでしょう。

個人年金保険の活用には多くの利点がある

個人年金保険の活用により、多くの利点が得られます。

日本には、国民年金保険や厚生年金など公的保障制度が充実しており、老後の生活資金が確保されています。

しかし、公的保障のみでは豊かな生活を送れないのが現実です。

個人年金保険を上手に活用して、老後の生活に備えたいと考える人が増えています。

さらに、個人年金保険の特徴を活かした利点もあるため、状況に応じて加入を検討するとよいでしょう。

個人年金保険の活用に得られる主な利点として、以下に3点紹介します。

  • 貯蓄が苦手でも老後資金を計画的に準備できる
  • 個人年金保険料控除が受けられる
  • 健康状態に不安があっても利用できる可能性が高い

個人年金保険の利点を理解して、ぜひ最大限に活かしてみてください。

貯蓄が苦手でも老後資金を計画的に準備できる

個人年金保険を活用すると、貯蓄が苦手な人でも老後の生活資金を計画的に準備できます。

定額個人年金保険を選択した場合は、契約時に将来受け取りたい金額をあらかじめ決めておくと、確実に希望する老後資金の確保が可能です。

保険料支払いも、自分での振込手続きなどは不要で、銀行口座からの自動引き落としを選択できるため、支払忘れなどの心配もありません。

個人年金保険料として支払った金額は、契約の解約をしないと手元に戻らないため、簡単に引き出しができる銀行預金に比べると確実に資金を貯められます。

さらに、銀行預金よりも高率の利回りを得られる点も魅力です。

老後の生活に不安を覚えるものの、貯蓄が苦手であると感じる人は、個人年金保険への加入を検討してみましょう。

個人年金保険料控除が受けられる

個人年金保険のうち、所定の条件を満たした契約内容のものを選ぶと、個人年金保険料控除が受けられます。

個人年金保険料控除とは、前述のとおり、年末調整や確定申告の際に所得控除として算入できる税制上の優遇措置のことです。

通常の生命保険料控除とは別枠で控除が受けられるため、すでに生命保険に加入している人でもさらに節税効果が得られます。

所得控除により、所得税と住民税両方での節税効果が得られ、税金の納税額を抑えられます。

個人年金保険料控除を受けるには、定額個人年金保険を選んだり保険料払込期間を10年以上にしたりするなど、細かな条件の充足が必要です。

個人年金保険料控除が受けられる年金保険商品を確実に選びたい場合は、契約前に保険会社に問い合わせをするとよいでしょう。

健康状態に不安があっても利用できる可能性が高い

個人年金保険は、契約者本人の健康状態に不安があったとしても、契約できる可能性が高い保険商品です。

通常の生命保険の場合は、健康状態の告知や医師の診査を求められる場合が多く、その結果が悪いと契約ができません。

一方、個人年金保険では告知や診査なしで契約できる商品が多いです。

個人年金保険は、死亡保障が付与されているものの、払い込んだ保険料以上の死亡保障はありません。

高度障害状態に該当した場合などに適用される保険料払込免除もないため、告知や診査を求められないケースが多いです。

持病持ちの人など、通常の生命保険への加入が難しい人でも、個人年金保険は活用できる可能性があります。

保険商品によっては告知や医師の診査を求める場合もあるため、契約の前に確認するとよいでしょう。

個人年金保険の利用には注意しておきたい欠点もある

先述のとおり、個人年金保険には利点が多くあります。

一方で、利用前に理解しておきたい欠点が存在するのも事実です。

老後の生活資金確保を目的にして加入したものの、状況によっては後悔してしまう場合もあり得ます。

思わぬ負担を強いられてしまう可能性もあるため、後悔しないよう事前に注意点や欠点を理解しておきましょう。

個人年金保険の主な欠点として、以下に3点紹介します。

  • 解約の時期によっては元本割れする可能性がある
  • インフレリスクがある
  • 受取年金は課税対象になる

個人年金保険への加入前に、ぜひ今回の内容を理解しておいてください。

解約の時期によっては元本割れする可能性がある

個人年金保険の多くは、保険料払込期間の途中で解約をした場合に、元本割れする可能性があります。

個人年金保険は貯蓄性の高い保険商品であるため、解約返戻金があります。

しかし、払込期間が短期の場合はほとんどが支払保険料よりも少ない金額のみの解約返戻金になってしまうでしょう。

個人年金保険として支払った資金はすべて積み立てられているわけではなく、保険会社側の経費に保険料の一部を使っています。

特に契約初期においては保険料に占める経費部分の割合が大きいため、解約返戻金は少なく設定されています。

個人年金保険を利用する際は、途中で解約せずに継続できるのを前提にして計画的に用いましょう。

契約前に、解約返戻金の推移の確認をするのも大切です。

インフレリスクがある

個人年金保険には、インフレリスクがあります。

インフレとは、お金の価値が下がり、物価やサービスの価格が上昇する現象のことです。

個人年金保険は、契約時に定められた利率で運用されるため、将来に受け取る年金保険額が決まっています。

インフレが起こり物価が上昇しても、受け取る金額は変化しません。

そのため、個人年金保険の場合はインフレが発生した際には、相対的に保険金の価値が目減りしてしまいます。

インフレに強い投資手法として代表的なのは、不動産投資です。

保有不動産は物価上昇に伴って価値が上昇するため、インフレが起こりお金の価値が下がっても資産価値は下がりません。

将来の生活資金に備える目的において、個人年金保険にはインフレリスクがある点を理解しておきましょう。

受取年金は課税対象になる

個人年金保険に加入して将来受け取る年金は、所得税と住民税の課税対象です。

個人年金は、税制上は雑所得に分類され、年間の収入に組み込む必要があります。

年金受取人と保険料支払人が同一の場合は、以下の計算方法で所得額の算出を行います。

雑所得=総収入額-必要経費

個人年金保険における必要経費は、以下の計算式で算出します。

必要経費=その年の年金受取額×(払込保険料の総額÷年金総支給見込額)

つまり、個人年金保険の利回りが大きいほど、経費として処理できる金額が少なくなる計算になります。

さらに、年金受取人と保険料支払人が異なる場合は、初年度に贈与税が課せられます。

2年目以降は、年金受取人と保険料支払人が同一の場合と同様に所得額を計算するのが一般的です。

個人年金保険で受け取る年金額は、所得税と住民税の課税対象になるのを理解しておきましょう。

個人年金保険の選び方

現在、数多くの保険会社がそれぞれ複数の個人年金保険の商品を提供しています。

自分に合った保険商品を選ぶには、商品ごとの特徴を理解し、保険に加入する目的や将来必要な資金の規模を考慮しながら決めるのが大切です。

自分に合った個人年金保険の選び方として、重要な点を以下に4点紹介します。

  • 老後に必要な資金を試算して判断する
  • 年金の受取期間や受取方法を確認する
  • 年金保険料の払込方法を検討する
  • 公的年金を補う目的での利用を想定する

個人年金保険の加入には、総額でみると高額の保険料負担を必要とします。

個人年金保険の利点を最大限に活かすために、ぜひ自分に合った保険商品を選んで活用してください。

老後に必要な資金を試算して判断する

個人年金保険の商品を選ぶ際は、老後に必要な資金を試算して、加入する商品をどのようにするのか判断するのが大切です。

老後の生活を豊かに過ごすために必要な資金を、国民年金保険や厚生年金などの公的年金を含めて試算します。

老後に豊かに過ごす生活資金は、人によって異なります。

定期的に旅行に行きたいと考える人や、子供や親類にプレゼントをしたいと考える人など、希望や状況はそれぞれ異なるでしょう。

最低限の生活に加えて、さらにゆとりのある生活を送りたい場合には、保障が手厚い年金保険に加入する必要があるかもしれません。

老後の資金の試算に自信がない人は、保険会社やフィナンシャルプランナーなどの専門家に相談してみる方法もあります。

年金の受取期間や受取方法を確認する

個人年金保険を選ぶ際は、年金の受取期間や受け取る方法を確認しましょう。

個人年金保険を老後資金に活用する際は、目的を明確にして、資金受け取りの時期を検討する必要があります。

公的年金のみでは不十分な生活資金を補ったり、退職してから公的年金の受け取りを開始するまでの生活費にしたりするなど、人により個人年金保険を利用する目的はさまざまです。

それによって、適切な年金の受け取りを開始する時期や受取期間は異なります。

さらに、保険金の受取方法も配慮するのが大切です。

場合によっては、年金形式よりも一時金として受け取ったほうがよいケースもあるでしょう。

自分に適した個人年金保険を選ぶには、受取時期や受取方法を検討して、最適な運用ができる商品にするのが大切です。

年金保険料の払込方法を検討する

個人年金保険を選ぶ際には、年金額などの保障内容に加えて、保険料の払込方法についても検討する必要があります。

個人年金保険の保険料は、毎月一定額を支払うケースが多いです。

月払い以外では、年払いや契約時の一括払いおよび任意のタイミングでの支払いなど、他の選択肢もあります。

外貨建て個人年金保険の場合は、為替相場が支払保険料に影響するため、相場が有利になったタイミングで支払いをするという考え方もあるでしょう。

一般的に、毎月払いよりも年払いや一括払いのほうが、支払総額を少なく抑えられます。

まとまった資金を用意できる場合は、一括払いなどを選択するのも1つの考え方です。

支払方法を決める際は、個人年金保険料控除の有無も含め、資金面と相談しながら検討する必要があります。

公的年金を補う目的での利用を想定する

個人年金保険は、公的年金を補う目的での利用を想定し、選ぶのが原則です。

公的年金で受給できる年金額は、現役世代の頃の保険料支払い実績によって変動します。

人によって受取額が異なるため、自分が公的年金で受け取れる金額を把握するところから検討するのが大切です。

公的年金のみで十分な生活が送れるのであれば、個人年金保険で上乗せをする必要がないかもしれません。

一方、現行の公的年金制度が将来にわたって継続しないリスクも考えられます。

個人年金保険を選ぶ際は、公的年金で不足する部分を補うという考え方をメインにしながら、公的年金制度の改正にも備えて手厚くするかどうかを考えるのがよいでしょう。

個人年金保険料控除が受けられる保険商品9選

個人年金保険は、現在はさまざまな保険会社が提供しています。

それぞれの商品には特徴があり、自分に合ったものを選ぶのが大切です。

前述のような個人年金保険の選び方を参考にして、ぜひ自分と相性のよい商品をみつけてみてください。

以下に、個人年金保険料控除が受けられる個人年金保険商品を9種類紹介します。

商品名払込方法受取期間受取タイプ
明治安田の長期運用年金月払い口座振替10年間年金払い
一括支払い
みらいプラス月払口座振替5年間
10年間
5年年金払い
10年年金払い
一括払い
たのしみワンダフル月払口座振替
年払い
半年払い
全期前納
5年
10年
15年
年金形式
一括受取
ニッセイみらいのカタチ年金保険月払
年払
5年
10年
15年
年金形式
&LIFE個人年金保険月払
口座振替
10年
終身
年金形式
個人年金保険月払
クレジットカード払い可能
10年
15年
年金形式
一括受け取り
こだわり個人年金(外貨建)月払
前納一括払い
5年
10年
年金形式
一括受取
そだてる年金US月払
年払
クレジットカード払い可能
10年
20年
40年
100歳
年金形式
一括形式
あしたも充実2月払
半年払
年払
前納
5年
10年
15年
20年
終身
年金形式
一括形式

*2025年1月現在の情報です

各商品の特徴を理解して、個人年金保険に加入する際の参考にしてください。

明治安田生命/明治安田の長期運用年金は年金増加の可能性と最低保証が両立している

商品名払込方法受取期間受取タイプ
明治安田の長期運用年金月払口座振替10年間年金払い
一括支払い

*2025年1月現在の情報です
*参考:明治安田生命公式HP

明治安田の長期運用年金は、将来受け取れる年金額が増加する可能性と、金額減少に備えた最低保証の両面が充実している年金保険です。

定額個人年金保険は、一般的に契約時に適用される予定利率が契約期間中継続します。

一方、明治安田の長期運用年金では、予定利率が定期的に更新されるのが特徴です。

予定利率が当初利率よりも高くなる場合は、受取年金額の増加が見込めます。

当初利率よりも低くなる可能性があるものの、最低保証利率が設定されているため、元本割れするリスクはありません。

さらに、金利キャッチアップ配当という仕組みがあり、契約期間中に金利が上昇した実績がある場合に受取年金額に上乗せがなされます。

個人年金保険料控除の対象でもあるため、保険料支払いにより節税効果も得られます。

明治安田の長期運用年金は、将来の生活資金の補填に焦点を当てた、貯蓄性の高い個人年金保険商品です。

フコク生命/みらいプラスは加入年齢や性別にかかわらず保険料が一律

商品名払込方法受取期間受取タイプ
みらいプラス月払口座振替5年間
10年間
5年年金払い
10年年金払い
一括払い

*2025年1月現在の情報です
*参考:フコク生命公式HP

フコク生命のみらいプラスは、加入年齢や性別にかかわらず、保険料が一定に設定されている個人年金保険です。

保険料は、月額5,000円と7,000円および10,000円の中から選択します。

希望に応じて、より高額の保険料も設定できます。

高い返戻率が確保できる点も魅力で、契約内容次第では130%以上の返戻率で年金の受け取りが可能です。

0歳から加入可能である点や、年金開始年齢を1歳単位で設定できるなど、自由度が高い点も特徴として挙げられます。

年金の受取方法の選択肢も多く、一般的な5年間や10年間に加え、一括払いや年金受取期間の前半に受取額を多くする設定も用意されています。

受取期間を繰り下げて保険の据え置きをすると、受け取る年金額のさらなる増額も可能です。

支払保険料を活かして個人年金保険料控除を受けられるため、節税効果を得ながら老後資金の準備ができます。

自分の状況に応じて受取方法や期間を自由に変えられる、選択肢の幅が広い点がフコク生命のみらいプラスの魅力といえるでしょう。

住友生命/たのしみワンダフルは保険料の金額次第で割引が受けられる

商品名払込方法受取期間受取タイプ
たのしみワンダフル月払口座振替
年払い
半年払い
全期前納
5年
10年
15年
年金形式
一括受取

*2025年1月現在の情報です
*参考:住友生命公式HP

たのしみワンダフルは、大手保険会社の住友生命が提供する個人年金保険です。

確定型の年金保険商品であるため、契約時に受け取れる年金額が確定します。

将来の生活資金を計画的に準備したい場合に、適した保険商品です。

たのしみワンダフルでは、条件次第で支払保険料の割引を受けられる制度があります。

月額換算で15,000円を超える保険料を支払う場合、一定の割合で割引が受けられます。

保険料の割引は、実質的に返戻率を高める効果があるため、積極的に活用するとよいでしょう。

個人年金保険料控除の対象で、節税効果を得ながら老後資金の準備ができるのも魅力です。

受取期間の据え置きを選択すると、年金額を増やす選択肢も用意されているため、状況に応じて受取金額や期間を調整できます。

確実に老後資金を確保したい人や、保険料支払い中の割引を重視したい人にとっては、住友生命のたのしみワンダフルは相性のよい商品です。

日本生命/ニッセイみらいのカタチ年金保険は受取条件を自由に変更できる

商品名払込方法受取期間受取タイプ
ニッセイみらいのカタチ年金保険月払
年払
5年
10年
15年
年金形式

*2025年1月現在の情報です
*参考:日本生命公式HP

ニッセイみらいのカタチ年金保険は、保険業者最大手の日本生命が提供する個人年金保険です。

ニッセイみらいのカタチ年金保険では、契約時に設定した受け取りの条件を、自由に変更できます。

たとえば、65歳からの受け取りを予定していたところ、70歳まで働けるようになったため、受取開始を70歳からに変更するといった対応が可能です。

受取期間の変更も可能で、10年から15年に変更といった自由な判断ができます。

公的年金制度との兼ね合いを考えながら保険受取の条件を設定するなど、自由度の高い保険商品といえるでしょう。

受取年金額が契約時に想定できる確定型の保険であるため、将来の計画を明確にできる点も魅力です。

個人年金保険料控除の対象商品であり、支払保険料を節税対策に利用できる点も見逃せません。

保険受取条件の自由度や、大手の信頼性を重視したい場合は、日本生命のニッセイみらいのカタチ年金保険の利用を検討してみてください。

三井住友海上あいおい生命/&LIFE個人年金保険は契約者配当金の制度がある

商品名払込方法受取期間受取タイプ
&LIFE個人年金保険月払口座振替10年
終身
年金形式

*2025年1月現在の情報です
*参考:三井住友海上あいおい生命公式HP

三井住友海上あいおい生命の&LIFE個人年金保険は、契約者配当金の制度が適用されます。

保険契約期間中、5年ごとに配当金が受け取れます。

受け取った配当金は、原則将来受け取る年金に上乗せされるため、受取額の増額が可能です。

配当金は、希望するタイミングでの受け取りも選択できます。

&LIFE個人年金保険では、終身タイプの選択も可能です。

生存中継続して年金を受け取れるタイプで、厚生年金を受け取れない自営業の人など将来の収入を長期間確保したい人に向いています。

終身タイプを選択する際は、保険料が高額になる場合が多いため、費用負担にも配慮しながらの選択が重要です。

個人年金保険料控除の対象商品であり、保険料の支払いで節税効果を得られる利点もあります。

配当金でお得に将来の資金を用意したい人や、終身タイプの個人年金商品を探している人は、三井住友海上あいおい生命の&LIFE個人年金保険を検討するとよいでしょう。

太陽生命/個人年金保険は月額5,000円からスマホで始められる

商品名払込方法受取期間受取タイプ
個人年金保険月払
クレジットカード払い可能
10年
15年
年金形式
一括受け取り

*2025年1月現在の情報です
*参考:太陽生命公式HP

太陽生命の個人年金保険は、月額5,000円の保険料から加入できる手軽な個人年金保険です。

確定型の個人年金保険であるため、将来に受け取れる年金額を確実に把握できます。

返戻率は100%以上が保証されているため、将来の生活資金確保に有効な保険商品です。

申し込みは、インターネットから行って完結でき、自宅にいながらすべての手続きを行えます。

スマートフォンからの申し込みも可能であるため、手軽に契約できるのは魅力です。

保険料の支払い方法にクレジットカードを選択できるのも特徴で、銀行口座振替を避けたい人に向いています。

個人年金保険料控除の対象であるため、貯蓄目的で資金を運用しながら節税効果を得られる効率性の高い商品です。

申し込みの手軽さや、支払方法にクレジットカードを選択したい人は、太陽生命の個人年金保険をチェックしてみてください。

マニュライフ生命/こだわり個人年金(外貨建)は外貨運用による高い利回りが期待できる

商品名払込方法受取期間受取タイプ
こだわり個人年金(外貨建)月払
前納一括払い
5年
10年
年金形式
一括受取

*2025年1月現在の情報です
*参考:マニュライフ生命公式HP

こだわり個人年金(外貨建)は、マニュライフ生命が提供する個人年金保険商品です。

日本円で保険料を支払い、運用は外貨建てで行う点に特徴があります。

契約通貨は、米ドルまたは豪ドルのいずれかの選択が可能です。

毎月の支払円貨は一定で、為替相場によって購入できる外貨額が変動する仕組みとなっています。

つまり、外貨の相場が上がると購入通貨数は減り、相場が下がると購入通貨数が増えます。

積立方式で継続して外貨を購入すると、相場の変動の平均を捉えられるドルコスト平均法の仕組みが適用され、為替変動リスクの抑制効果が得られる点が魅力です。

外貨は日本円よりも利率が高いケースが多いため、高い運用益が期待できます。

年金を受け取る際は、年金形式と一括方式の選択に加え、円貨あるいは外貨の選択肢もあります。

個人年金保険料控除の対象であるため、節税効果を得ながら高い運用益を目指したい人は、マニュライフ生命のこだわり個人年金(外貨建)の利用を検討してみてください。

プルデンシャルジブラルタファイナンシャル生命保険/そだてる年金USは米ドル建ての運用ができる

商品名払込方法受取期間受取タイプ
そだてる年金US月払
年払
クレジットカード払い可能
10年
20年
40年
100歳
年金形式
一括形式

*2025年1月現在の情報です
*参考:プルデンシャルジブラルタファイナンシャル生命保険公式HP

プルデンシャルジブラルタファイナンシャル生命保険のそだてる年金USは、米ドル建てで資産運用を行う個人年金保険商品です。

外貨建てで保険料を運用するため、為替相場次第で高い運用成果が期待できます。

年金受取も外貨を選択できるため、年金を受け取るタイミングまで利益が生まれる可能性があります。

運用途中で獲得した利益は保証されるため、将来の運用益がマイナスになったとしても受取資金が減少しません。

個人年金保険料控除の対象商品でもあるため、支払保険料は所得控除に適用されるのも魅力です。

米ドルによる高い運用結果を期待したい場合は、プルデンシャルジブラルタファイナンシャル生命保険のそだてる年金USの活用が適しています。

三井住友海上プライマリー生命保険/あしたも充実2は自由度の高い外貨建て商品

商品名払込方法受取期間受取タイプ
あしたも充実2月払
半年払
年払
前納
5年
10年
15年
20年
終身
年金形式
一括形式

*2025年1月現在の情報です
*参考:三井住友海上プライマリー生命保険公式HP

三井住友海上プライマリー生命保険のあしたも充実2は、外貨で資金を運用するタイプの個人年金保険商品です。

保険料の支払いは円建てで行い、最低5,000円から開始できます。

一定額の円貨で相場の変動に伴って外貨を購入するため、相場の平均を捉えたドルコスト平均法の効果が得られます。

外貨は、米ドルと豪ドルから選択可能です。

いずれも利率が日本円よりも高いため、円建ての年金保険よりも多くの運用益が期待できるでしょう。

年金受取の据置期間の設定や、保険料支払いの一時停止など、自由度の高さも魅力です。

為替相場や生活資金の状況によっては、途中で保険料支払いを中断して、タイミングを見計らって再開するなどの対応ができます。

高い運用益の期待できる外貨建て商品を、状況を見ながら活用したい人に適した個人年金保険です。

個人年金保険料控除以外の保険料控除などもある

個人年金保険料控除は、生命保険会社が提供する個人年金保険に加入すると適用される控除です。

保険料控除には、個人年金保険料控除以外にもいくつかの種類があります。

各種保険料控除は、組み合わせて適用されるため、可能な限り活用して税負担を軽減しましょう。

個人年金保険料以外の保険料控除として、以下の4種類を紹介します。

  • 生命保険の支払いに適用される一般生命保険料控除
  • 医療保険などの支払いに適用される介護保険料控除
  • 地震保険の支払いに適用される地震保険料控除
  • 個人負担の社会保険料支払いに適用される社会保険料控除

さらに、保険料控除とは異なるものの、iDeCoなどを利用していると所得控除が適用されるため、忘れず手続きをするのが大切です。

生命保険の支払いに適用される一般生命保険料控除

一般生命保険料控除は、各種生命保険の支払いを行った際に適用される控除制度です。

主に死亡保障を得るための保険に加入した際に適用されるもので、2012年1月1日以降に契約したものは新制度に区分されます。

旧制度の場合は、一般生命保険料控除が後述の介護保険料控除と合算の扱いとなっていました。

新制度の場合には、一般生命保険料控除で最大4万円の所得控除が受けられます。

個人年金保険料控除の際と同様、発行される控除証明書が必須となるため、紛失しないように大事に取り扱いましょう。

一般生命保険料控除は、民間の生命保険会社との契約に加え、農業協同組合との生命共済契約などさまざまな保険が該当します。

自分が加入している保険を確認し、可能な限り所得控除を受けられるようにするのが大切です。

医療保険などの支払いに適用される介護保険料控除

介護保険料控除は、医療保険に加入した際に適用される保険料控除の一種です。

介護保険料控除が適用される保険の例としては、介護保険や医療保険およびがん保険などが挙げられます。

近年商品が増加している就業不能を保障する保険も、介護保険料控除の対象になるケースが多いです。

介護保険料控除も、一般生命保険料控除と同様、新制度の場合は最大4万円の所得控除が受けられます。

なお個人年金保険料控除と一般生命保険料控除および介護保険料控除の3種類が、ひとまとめにされるのが一般的です。

3つの控除を合計して、最大12万円の所得控除が受けられます。

最大12万円という上限は、新旧制度が混合している人にとっても同様です。

旧制度では1種類の控除で最大5万円の所得控除が受けられるものの、3つを合算して12万円の控除が限度である点を理解しておきましょう。

地震保険の支払いに適用される地震保険料控除

地震保険料控除は、所有する不動産に対する災害に備える地震保険に加入すると適用される保険料控除です。

以前は損害保険料控除に分類されていましたが、2006年の税制改正により廃止となりました。

経過措置として、2006年12月31日以前に契約した10年以上の契約期間が設けられている長期損害保険については、地震保険控除の対象として認定されます。

地震保険料控除の対象となる保険は、主に以下の2種類です。

  • 地震保険料:火災保険と組み合わせて契約する地震保険の保険料
  • 旧長期損害保険料:2006年12月31日までの契約および満期返戻金があるのを条件とした10年以上の長期損害保険の保険料

地震保険料控除では、最大5万円の所得控除が適用されます。

5~10年などの期間の補償を一括で払ったとしても、対象期間で案文して毎年保険料控除が受けられるケースが一般的です。

個人負担の社会保険料支払いに適用される社会保険料控除

社会保険料控除は、健康保険料や厚生年金料などの社会保険のうち、個人負担部分の支払いに対して適用される保険料控除です。

会社員や公務員など被雇用者の場合は、会社側が計算してくれるため、年末調整や確定申告において社会保険料控除の手続きをする必要はありません。

本人の社会保険料のみではなく、配偶者の社会保険料や国民保険料の前納および過去の未納分の支払いなどでも、社会保険料控除の対象となります。

社会保険料控除が適用されるのは、以下のような名目で支払った保険料の全額です。

  • 国民年金保険料
  • 厚生年金保険料
  • 国民健康保険料
  • 健康保険料
  • 労災保険料
  • 雇用保険料
  • 介護保険料
  • 国民年金基金や厚生年金基金などの掛金
  • 後期高齢者医療保険料

会社員でも場合によっては確定申告により社会保険料控除を追加で受けられる可能性があるため、自身の支払い状況を確認するとよいでしょう。

iDeCoの支払いなどに適用される小規模企業共済等掛金控除

小規模企業共済等掛金控除は、iDeCoなどの支払いをした際の掛金に適用される控除制度です。

近年は、iDeCoを利用して老後資金の貯蓄を行っている人も多いでしょう。

iDeCoで支払った掛金は、全額が所得控除として適用されます。

小規模企業共済等掛金控除には、iDeCoの他に以下のような項目も含まれます。

  • 小規模企業共済
  • 企業型確定拠出年金(企業型DC)
  • 障害者扶養共済制度の掛金

小規模企業共済は、会社員のように退職金がない個人事業主にとって、老後の生活資金を確保するうえで有効な手段と考えられています。

多くの個人事業主が小規模企業共済に加入し、社会保障の不足を補っています。

小規模企業共済等掛金控除は、貯蓄などの目的で活用しながら、同時に所得控除を受けて税負担を軽減したい人に適した税法上の優遇制度です。

個人年金保険に加入する前に公的年金について理解しよう

個人年金保険は、老後の生活資金の確保において有効な手段の1つであるのは間違いありません。

しかし、日本国民は公的年金の加入が一般的であり、一定の老後資金の保障がなされています。

個人年金保険に加入するには、総額でみると高額の保険料負担が必要です。

公的年金の保障内容について理解せずに、やみくもに個人年金保険に加入するのは得策ではありません。

自分が公的年金でどれほどの保障を得られるのかを理解したうえで、個人年金保険の加入を検討するのが正しい順番です。

公的年金の概要について、以下の2つの視点を通して紹介します。

  • 国民年金と厚生年金の2段階の内容で構成
  • 被保険者は働き方によって3種類に分類できる

個人年金保険の加入を決める前に、公的年金の理解を深めるための参考にしてください。

国民年金と厚生年金の2段階の内容で構成

公的年金とは、そもそも国が運営する年金全体のことです。

日本では、「国民皆年金」という言葉があり、20歳以上60歳未満のすべての国民が公的年金に加入します。

公的年金は、国民年金と厚生年金の2段階で構成されています。

国民年金とは、すべての日本国民を対象とした公的年金のことです。

一方、厚生年金は会社員や公務員など、何らかの組織に雇用されている人が国民年金と合わせて加入します。

自営業者など厚生年金に加入していない人は、国民年金のみでは老後が不安であると感じる場合も多いかもしれません。

自営業者などが任意で加入できる付加年金や国民年金基金などの制度もあり、公的年金制度に含めて考えるケースも多いです。

年金制度は、公的年金に加えて3階部分と呼ばれる私的年金もあります。

厚生年金基金や確定拠出年金などが該当し、勤務先や個人単位で取り組み、老後の生活資金を充実させるための制度です。

被保険者は働き方によって3種類に分類できる

公的年金の加入者は被保険者と呼ばれ、以下の3つの種類に分類されます。

  • 国民年金のみに加入する第1号被保険者
  • 厚生年金にも加入する第2号被保険者
  • 第2号被保険者に扶養されている配偶者の第3号被保険者

日本国民は、原則的に全員が公的年金に加入するため、以上3種類のいずれかに該当します。

どこに含まれるかによって、支払う保険料も将来受け取る年金も違いがあるため、自分がどの分類に含まれるか把握するのは大切です。

被保険者の3つの種類について、それぞれの特徴を紹介するので、自分の状況を把握するためにしっかりと確認してください。

国民年金のみに加入する第1号被保険者

第1号被保険者とは、国民年金のみに加入している人のことです。

自営業者や農業従事者など何らかの団体に雇用されていない人が該当し、学生や無職の人も含まれます。

国民年金の保険料は全員一律で、毎年市場の物価や賃金の変動などを加味して決定されます。

2024年度の保険料は、月額16,980円です。

国民年金保険料は、半年分や1年分および2年分を前納できます。

前納を選択すると、若干の割引が受けられるため、資金に余裕がある場合は検討するとよいでしょう。

支払方法は納付書での支払いやクレジットカード払いの他、銀行口座からの振替設定も可能です。

前納かつ振替を選択すると、さらに割引率が高くなる利点があります。

厚生年金にも加入する第2号被保険者

第2号被保険者とは、国民年金に加えて厚生年金にも加入している人のことです。

会社員や公務員など、何らかの団体に雇用されている人が該当します。

厚生年金の保険料は、被保険者の収入によって変動するため、一定ではありません。

保険料の納付は勤務先が行い、勤務先と被保険者本人が半額ずつ負担する労使折半という仕組みが採用されています。

保険料の負担は、勤務先から給料を支給される際に源泉徴収される形が一般的です。

名目としては厚生年金となっていますが、国民年金保険も含まれています。

会社員や公務員となると、雇用側の団体が被雇用者を手続きする義務を負っているため、勤務開始と同時に自動的に第2号被保険者となります。

第2号被保険者に扶養されている配偶者の第3号被保険者

第3号被保険者とは、専業主婦など第2号被保険者に扶養されている配偶者のことです。

第3号被保険者は、第1号被保険者と同様、国民年金保険のみの加入となります。

第2号被保険者である配偶者の扶養に入っているため、保険料負担はありません。

しかし、扶養者である配偶者が退職したり65歳になったり、扶養者が亡くなったりした場合は第1号被保険者となり保険料負担が発生します。

第3号被保険者本人の収入が増えて、配偶者の扶養から外れる場合にも、同様に第1号被保険者となります。

第1号被保険者となる場合は、自分で居住地の市区町村に届け出が必要です。

勤務先で第2号被保険者となる手続きをしてくれる場合には、自分で届け出をする必要はなくなります。

公的年金を受け取れるのは3つのパターンがある

公的年金は、老後の生活に備えた制度であるという印象を持っている人も多いでしょう。

実は、公的年金制度でお金を受け取れるケースは、老後のみでなく全部で3パターンあります。

場合によっては高齢に達する前に需給が開始するケースもある点を理解しておくと、いざというときに慌てず対処が可能です。

公的年金を受け取れるパターンとして、以下に3つのケースを紹介します。

  • 老後の生活資金となる老齢年金
  • 病気やケガが原因で障害認定を受けた場合に受け取る障害年金
  • 年金加入者の家族を支えるための遺族年金

さらに、自分の公的年金の加入状況や将来受け取れる年金の状況を確認できる年金定期便についても解説するので、ぜひ参考にしてください。

老後の生活資金となる老齢年金

老齢年金は、老後の生活資金の柱となる年金制度です。

公的年金といえば、老齢年金を連想する人が多いでしょう。

公的年金制度の中でも、最も利用する人が多い制度であると考えられます。

基本的に、老齢年金制度は老齢基礎年金と老齢厚生年金の2種類で構成されています。

老齢年金は、原則的には65歳に達した時点で受け取れる年金です。

受け取りを開始するタイミングは、任意で選択できるようになり、自由度が増しています。

現役時代の働き方によって、受け取れる年金の種類や金額に違いがあるため、自分が受け取れる年金がどれくらいであるのか確認しましょう。

老齢基礎年金は国民年金加入者が対象

老齢基礎年金は、国民年金に加入している第1号被保険者が受け取りの対象者となる老齢年金です。

前述のとおり、国民年金の保険料納付義務は20歳以上60歳未満の40年間と定められています。

老齢基礎年金の受給開始は、原則的には65歳です。

以前は、原則的には25年間納付を継続しないと老齢基礎年金の受給が受けられませんでした。

受給の権利が得られるのは、2025年1月現在では10年間(120ヵ月)以上となっています。

しかし、納付するほど受け取れる年金額が増加するため、10年間の納付実績では少額の金額のみとなってしまいます。

自営業者などの第1号被保険者は、老齢基礎年金のみを受給するケースが一般的です。

厚生年金加入者が対象の老齢厚生年金

老齢厚生年金は、第2号被保険者である厚生年金加入者が対象の老齢年金です。

第2号被保険者は、老齢基礎年金に加えて老齢厚生年金を受給できます。

老齢厚生年金は、厚生年金保険料の支払い実績が1ヵ月でもあれば、受給が可能です。

ただし、老齢基礎年金の受給資格を得ているのが前提となっているため、老齢基礎年金を受け取れない人は老齢厚生年金の受給を得られません。

なお、老齢厚生年金で受け取れる年金額は、保険料の支払期間と金額が多いほど増加します。

支払保険料は、給料の金額によって決まり、比例報酬部分と呼ばれます。

老齢厚生年金の受給が開始するのは、原則的に老齢基礎年金と同様65歳です。

自分が第2号被保険者である場合には、老齢厚生年金の受給が受けられる点を理解しておきましょう。

付加年金や国民年金基金で受取年金額を上乗せできる

老齢基礎年金の金額のみでの生活は十分ではないため、第1号被保険者向けに対して保障の上乗せができる付加年金や国民年金基金の制度が用意されています。

付加年金とは、国民年金保険の保険料に月額400円の付加保険料を納付する仕組みのことです。

付加年金を納付すると、老齢基礎年金に加えて以下で算出される年金額が上乗せで受給できます。

付加年金額=200円×付加保険料納付月数

国民年金基金は、上限68,000円の掛金を納付して、老齢基礎年金の年金に上乗せできる根金制度です。

掛金は全額所得控除が得られるため、節税効果が期待できる制度でもあります。

付加年金と国民年金基金は、どちらか一方のみの選択制となっているため、自分の状況に適したほうを選択しましょう。

なお、付加年金と国民年金基金は老齢基礎年金の受給資格がないと受給できません。

老齢年金で受け取れる金額を知っておこう

個人年金保険の商品を選択するうえで、老齢年金で自分がいくらくらいの年金を受け取れるのか、把握するのは重要です。

特に、個人年金保険で老齢年金の受取額を補填しようと考える場合には必須といえます。

老齢基礎年金で受け取れる年金額は、保険料支払回数により決まり、40年間納付をした人は満額が受け取れます。

老齢基礎年金の満額とは、2025年度においては816,000円のことです。

納付回数が少ないほど、受け取れる年金額が減少する仕組みになっています。

一方、老齢厚生年金は勤務期間の収入額によって受取年金額が変動します。

厚生年金保険料を納めた期間の平均標準報酬月額に、被保険者期間および給付乗率をかけて算出されるのが老齢厚生年金額です。

老齢厚生年金の受取金額の算出は、平均標準報酬月額の算出や給付乗率の取り扱いなど専門的な要素が多くあります。

自分で計算ができない場合には、社労士やファイナンシャルプランナーなど専門家に相談するとよいでしょう。

受取時期の繰り上げや繰り下げが可能

老齢年金は、受取開始時期の繰り上げまたは繰り下げが可能です。

本来、老齢年金は65歳から受け取るのが原則ですが、繰り上げにより最速で60歳から受け取りができます。

繰り下げを選択すると、最長75歳まで受給開始の先延ばしが可能です。

繰り上げを選択した場合には、以下の計算式で算出された減額率により受取年金額が少なくなり、その金額が一生涯継続します。

減額率=0.4%×繰上げ請求月から65歳に達する日の前月までの月数

繰り下げを選択した場合の増額率は、以下の計算式で算出されます。

増額率=0.7%×65歳に達した月から繰下げ申出月の前月までの月数

勤務先を60歳で退職して収入が無くなり生活が苦しい場合には繰り上げを選択したり、65歳以降も継続して収入があるなど余裕がある場合は繰り下げを選択したり、状況に応じた判断をするのが大切です。

病気やケガが原因で障害認定を受けた場合に受け取る障害年金

公的年金制度には、老後の生活資金の確保のみでなく、病気やケガなどが原因で障害認定を受けた場合に年金が受け取れる障害年金制度もあります。

障害年金の受け取りに関しては、障害認定の程度など細かな条件が設定されています。

障害年金の受取金額の決定に際しても、障害等級の認定が重要になるため、正確に理解しておきましょう。

障害年金を説明するにあたって、以下の3点に焦点を当てて説明します。

  • 障害基礎年金と障害厚生年金で対象範囲が異なる
  • 障害年金の受け取りには3つの要件を満たす必要がある
  • 障害年金として受給できる金額を知っておこう

病気やケガは、いつ自分に降りかかってくるかわかりません。

障害年金について理解しておくのは、もしもの事態に備える意味で重要です。

障害基礎年金と障害厚生年金で対象範囲が異なる

障害年金には、障害基礎年金と障害厚生年金の2種類があります。

障害基礎年金は国民年金から、障害厚生年金は厚生年金から、それぞれ給付されます。

どちらの障害年金からどの程度の年金が給付されるかは、等級と呼ばれる障害の重さにより決まるのが一般的です。

障害年金における等級は、以下の3つが設定されています。

等級定義
1級他人の介助を受けないと自分のことができない状態
2級必ずしも他人の助けを必要とはしないものの日常生活を送るのが極めて困難で労働により収入を得られない状態
3級労働に著しい制限を加える必要がある状態

障害基礎年金の対象となるのは、1級と2級の等級です。

障害厚生年金は、1級から3級までが対象となります。

さらに、障害厚生年金が適用された場合で軽度な障害が残る場合には障害手当金が支給される場合もあります。

障害の程度に関する定義は、適宜見直しが行われているため、以前は障害年金の対象外であった状態も障害として認定されるかもしれません。

障害年金に関する手続きをする際は、最新のルールを確認しながら進めるのがよいでしょう。

障害年金の受け取りには3つの要件を満たす必要がある

障害年金を受給するには、以下の3つの要件を満たす必要があります。

  • 障害要件:障害の等級ごとの認定要件に当てはまっている
  • 初診日要件:初診日に国民年金あるいは厚生年金に加入している
  • 保険料納付要件:次の2つの要件のうちいずれかを満たしている
    ①初診日の前々月までの加入期間のうち3分の2以上で保険料納付を行っている
    ②初診日に65歳未満であり前々月までの1年間に保険料の未納がない

障害年金は、老齢年金と納付期間の基準が異なっている点を理解しておく必要があります。

老齢基礎年金は保険料納付期間が10年以上で受給できるのに対し、障害基礎年金は過去の加入期間中の未納期間の有無により受給の可否が決まります。

病気やケガなどいざというときに障害年金を受給できるよう、未納期間を作らず継続して納付をするのが重要です。

障害年金として受給できる金額を知っておこう

障害年金で受け取れる年金額は、以下のように算出されます。

等級障害基礎年金障害厚生年金
1級993,750円+子の加算報酬比例の年金額×1.25+配偶者の加給年金
2級795,000円+子の加算報酬比例の年金額+配偶者の加給年金
3級なし報酬比例の年金額最低保証額:596,300円
障害手当金なし報酬比例の年金額×2最低保証額:119万2,600円

*2023年度の実績
*2023年1月時点で67歳以下の人に適用

障害等級1級または2級で障害厚生年金を受給する場合は、同時に障害基礎年金部分も需給が可能です。

障害基礎年金で適用される子の加算とは、障害年金受給者に子供がいる場合に加算される年金額のことを指します。

第1子および第2子にそれぞれ228,700円が、第3子以降には76,200円が加算されます。

加算対象の子とは、18歳到達年度の末日(3月31日)を経過していない子、もしくは20歳未満で障害等級1級または2級の障害者のことです。

障害厚生年金に適用される配偶者の加給年金とは、障害年金受給者に配偶者がいる場合に適用され、228,700円が加算される制度のことを指します。

年金加入者の家族を支えるための遺族年金

公的年金には、遺族年金という制度もあります。

遺族年金とは、加入者が亡くなった後に残された家族の生計を助けるために給付される年金のことを指します。

民間の生命保険の契約内容を検討する際に、遺族年金として受給できる内容は重要です。

遺族年金に関しての説明をするうえで、以下の3点を中心に解説します。

  • 遺族基礎年金と遺族厚生年金が用意されている
  • 遺族年金として受け取れる年金額
  • 子どものいない配偶者に対する死亡一時金と寡婦年金

自分や大切な家族にもしもの事態が訪れる場合に備え、遺族年金についての理解を深めておくとよいでしょう。

遺族基礎年金と遺族厚生年金が用意されている

遺族年金には、遺族基礎年金と遺族厚生年金の2種類が用意されています。

遺族基礎年金は国民年金から、遺族厚生年金は厚生年金から、それぞれ給付されます。

遺族基礎年金と遺族厚生年金の受給要件や対象者に関して、以下でまとめているため参考にしてください。

受給の要件受給対象者
遺族基礎年金①国民年金の被保険者が亡くなったとき
②老齢基礎年金の受給者が亡くなったとき
③老齢基礎年金の受給資格期間が25年(300ヵ月)以上ある人が亡くなったとき
死亡した被保険者に対する
①子どものいる配偶者
②子ども
遺族厚生年金①厚生年金の被保険者が亡くなったとき
②老齢厚生年金の受給者が亡くなったとき
③老齢厚生年金の受給資格期間が25年以上ある人が亡くなったとき
④厚生年金の加入期間中に初診を受けた傷病が原因で初診日から5年以内に亡くなったとき
⑤障害年金1級または2級の受給資格者が亡くなったとき
死亡した被保険者に対する
①妻
②子ども
③孫
④55歳以上の夫
⑤55歳以上の父母
⑥55歳以上の祖父母

*2025年1月現在の情報

遺族基礎年金および遺族厚生年金を問わず、受給対象者の年収が850万円以上の場合には、遺族年金の受け取りはできません。

遺族年金として受け取れる年金額を把握しよう

遺族年金として、被保険者の遺族が受け取れる年金額は、以下のとおりです。

  • 遺族基礎年金:795,000円+子の加算
  • 遺族厚生年金:報酬比例の年金額×4分の3

子の加算は障害基礎年金と同様の内容で、第1子および第2子には各228,700円、第3子以降は各76,200円が加算されます。

子の定義に関しても障害年金の取り決めと同様で、18歳到達年度の末日(3月31日)を経過していない子、もしくは20歳未満で障害等級1級または2級の障害者です。

遺族年金を受け取る人の年収が850万円以上の場合は、遺族基礎年金および遺族厚生年金ともに受け取りができません。

遺族年金は、遺族の子どもの人数や被保険者の存命中の勤務状況によって変化する複雑な仕組みであるため、事前に確認し把握しておくといざというときに焦らなくて済むでしょう。

子どものいない配偶者に対する死亡一時金と寡婦年金

先述のように、遺族基礎年金は子どもがいないと受け取れない仕組みです。

そこで、救済措置として死亡一時金と寡婦年金という制度が設けられています。

死亡一時金とは、被保険者が保険料を支払った期間から計算し、12万円~32万円を一度だけ支給する制度のことです。

寡婦年金は、遺族側の妻が60歳から65歳の間に受け取れます。

被保険者である亡くなった夫が受け取る予定であった、老齢基礎年金の4分の3に当たる金額を、毎年受け取れる制度です。

死亡一時金と寡婦年金は、どちらか一方のみの選択制であるため、どちらが自分の生活に適しているかをしっかりと考えたうえで決定しましょう。

ねんきん定期便で自分の年金関連情報を確認できる

自分の年金に関連する情報は、ねんきん定期便で確認ができます。

ねんきん定期便とは、日本年金機構が公的年金の加入者である被保険者に対し、毎年1回誕生月に郵送する資料のことです。

ねんきん定期便には、過去の年金加入記録や将来の年金受取額が掲載されています。

例年でははがきの形式で郵送されますが、35歳と45歳および59歳の時には詳細な内容が記載されている封書の形式で届きます。

日本年金機構は、ねんきん定期便の電子版としてねんきんネットと呼ばれるインターネットサイトの提供も行っており、タイムリーな加入状況の確認が可能です。

自分の公的年金の状況についてねんきん定期便で確認し、個人年金保険の加入内容を検討する材料としてみてはいかがでしょうか。

個人年金保険料控除をもれなく活用して税負担を減らそう

個人年金保険料控除は、民間の保険会社が提供する個人年金保険に加入した際に適用される制度です。

節税効果があるため、将来の生活資金を確保しながら税負担を軽減できます。

個人年金保険料控除を受ける際は、保険料全額が適用されるわけではない点や適用されないタイプの保険商品もあるなど、あらかじめ理解しておきたい注意点もあります。

個人年金保険料控除には節税効果の他に、一般生命保険料控除など他の保険料控除と別枠で適用されるなど、利点が多いです。

一方で、保険料の払込期間が10年以上必要であり、一括払いの場合には適用されないなどの注意点も存在します。

保険契約前に、保険料控除が適用される要件をしっかりと確認しておきましょう。

個人年金保険料控除を受けるには、自分で手続きをする必要があります。

該当の保険に加入したからといって、自動的に適用されるわけではありません。

保険会社から生命保険料控除証明書を取得し、年末調整あるいは確定申告で手続きをする必要があります。

所得税と住民税両方の負担を軽減する効果があるため、手続き漏れをせずに確実に処理するのが大切です。

個人年金保険の利用前に、公的年金の仕組みについても理解し、最適な保障内容になるように工夫してみてください。

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